第75話『生き地獄(ニンマリ)』
私は遠慮なくあのロン毛を焼き払う事にした。
「ぎゃあああああああああああああああっ!」
「………………………ハァッ」
嘘だよ。
青い炎が消える。
炎の後には………口から泡を吹いて倒れるイケメンが全裸でぶっ倒れていた。
そしてそのロン毛は……ツルツルのハゲになっていた。焼き払ったのはロン毛と衣類である。
本当は殺した方が後腐れもないし、簡単なのは、分かってる。
こう言う時に出来る事が多いのって面倒だよ、だって普通なら殺すしかない場面でもどうにか助ける事が出来るんだから。
正直このロン毛を生かすならラグナを生かした方が良かったって思う。
けどなぁ……あのオヤジは本当に色々と……っま当人の意思を尊重した結果だ、結局は自己満足でしかないけどな。
もちろんタダで生かした訳じゃないよ?、コイツには少々きつめの地獄を見てもらう。
まずあの青い炎は、私が燃やす対象を決められる。だからロン毛からは色々と没収する事にした。
まずはあの
次にダークエルフとして生まれ持った魔力、これも燃やし尽くた。今のコイツは魔力ゼロだ。更に今後その魔力が回復する事はない。
私の炎はゲームで言うところのMPの上限値の方をゼロにするのだ、つまりMPを回復させる魔法もアイテムも上限値がゼロならゼロのままになってしまうのさ。
最後にこのロン毛が今までの人生で会得した魔法、それらに関して記憶を弄くる魔法でそれらの情報を全て消しといた、けど魔法を覚えていた記憶はあるので当人は生き地獄である。
………何故こんな回りくどい真似をしたのか?。
フッフッフ、それはね……このロン毛がイケメンだからである。多くの人達を殺めたとか抵抗もしていない相手を
まぁそれもあるけど……今は棚に上げよう。
私的なこのイケメンの最たる罪。それは……。
このイケメンが……………モテまくっていた過去である!モテに!モテまくっていた過去である!。
イケメンめっ本当にイケメンってヤツは……死すべし!死すべし!死すべし!。
私は心意看破の魔法でこのイケメンエルフの過去を見た、その先に衝撃の光景を目にした。
その内容は様々である。
「全く!こんなイケメンが客だった事に感謝しろよ?」
「僕の女になれるんだぞ?世の中にこれ程名誉な事はないだろう?」
「女に困った時?そんな期間あるわけないだろう?だって………この僕だよ?」
こんな…こんな素人童貞野郎には死刑すら生ぬるいわ!地獄じゃ!生き地獄を味あわせてやるのじゃ!。
よってこのイケメンには自分が破壊しようとしたダンジョンに引き渡しの上、金髪ボブちゃん達からそれはもう素晴らしい目に合わせていただこうじゃないか?異論はないな?だって気絶してるからして。
あっ……これも発動しとこ。
【世界に蔓延る悪鬼魔獣を等しく滅し封じよ。
以上、ロン毛への罰則である(ニンマリ)。
「さてっ残るのは貴方だけですね……確かダルロスさんでしたか?」
ロン毛を封殺した私はワニ頭の方に視線を向ける、すると少しビクッてなったな。
……そりゃあそうだな、ついさっきの自身の所業を思い出す、もしも私が同じ立場ならお漏らしして命乞いをするだろうな。
しかしワニ頭は少しビビっただけで毅然としている。一応ロン毛が生きている事で少しは冷静になったか?それか自らの死を覚悟しているモノノフの様な感じある。
「あのラバスの魔法が全く意味を成さないか、ラグナのヤツもお前がやったのだろう?」
「………はいっ彼は、私が
「フッそうか、ならばオレの首も持っていけ、勝利したのはお前だオレは往生際は
ワニ頭が膝をついて頭を下げた、私が首を落としやすく的な事だろうか?。
勿論コイツもかなりの命を奪ってきた手合いだ、しかしそれは戦った相手のみ、勝った者が負けた者を殺すまでが勝負という風に考えてるが故だ。
………う~んこう言う流儀とか矜恃みたいなのを持っているタイプってあのハゲイケメンと違ってトドメのハードルが高いんだよな……。
よしっここは。
「と言っていますよ暗夜皇女様、どうしますか?」
「こっここでアタシにふるの?どう言う性格してんのよアンタ……」
そう言えばこの金髪ボブちゃんって最初にあった時はこちらを
まっ良いんですけどね……。
私はワニ頭の方を向く。
「ダルロスさん、貴方の処遇は1番の被害を受けたこのダンジョンのダンジョンマスターであるこちらの暗夜皇女様に任せます。その意思に従って下さい……勿論逃走すれば私が始末しに現れますのであしからず」
「………分かった、自ら首をかき切れと言われても従おう」
「あっそれとあそこで倒れてるダークエルフも暗夜皇女様のお好きにして下さい」
「……………ふぅ~~ん?」
私と金髪ボブちゃんの視線が交錯する。
彼女はニンマリ、私もニンマリ……どうやら私の意思が伝わった様だな。
ワニについてはその戦闘力については弱体化はしていない、そっちの方があのイケメンが目覚めた時に更なる苦しみを……フフフッ。
「分かったわぁ、それはもうこき使ってあげるわよ~~」
「………何でも言ってくれ、従おう」
精々有能性を示してハゲイケメンの無能っぷりを引き立たせてくれたまえ。
「お願いします、暗夜皇女様……」
ワニ頭は知らんけどあのハゲイケメンには厳しい労働環境をお願いします。
「あっそれと、今回の戦闘への参加した報酬なんですけど」
「えっええ、確か珍しいお酒が欲しいんだったわよね?まぁこのダンジョンを救ってくれた訳だし…」
「はいっそのお酒もそうですが……このダンジョンの宝物庫のお宝の八割を貰いますね?」
「……………………なっハ!?」
何を驚いてんの?ダンジョンの危機救われといて酒1つで報酬が済むわけないでしょうに。
ちゃんとお酒とは別に働いた報酬はキッチリ貰うって言っといただろうに、見た目15、6歳くらいだけど本当にそのくらいの年齢なのかね?。
考えが甘いと言うか何というか……。
「そっそんなに持って行かれたら新しいモンスターを雇えなくてダンジョンが廃業しちゃうじゃない!?もしそうなったらお母様に本気で折檻されてしまうわぁっ!」
子供も折檻って……毒親なのかな?。
「それなら、新しいモンスターを雇う必要がなければどうですか?」
「……は?そりゃあ経営次第ではどうにかなるでしょうけど……」
「そうですか、分かりました……」
「……?」
私は魔法を発動させる。
【生命の再生を、死者復活の奇跡をここに。
この魔法はラブーンで死んでいたアースってモブキャラを生き返らせた魔法である。
死者蘇生の魔法である。
正直あまり多様したくはない魔法だけどな。
死んだ者をお手軽に蘇らせる事が出来るなんてのは他人に知られたくはない、面倒事しかよってこないから。
しかしこの魔法なら少し前に死んだばっかりのダンジョンに雇われたモンスター達を全員生き返らせる事が出来る。
ダンジョンが生み出した戦うしか能がないタイプのモンスターは蘇生させないけどな、そっちはダンジョンの方でまた生み出してほしい。
私の死者蘇生の魔法がダンジョン下層全域に青い光の波となって広がっていく。
「……こっこれは?静かだけど、途方もない魔力を感じるわよ?」
「先に1つ言っておきます、この魔法については決して貴方達以外に話すことはしないで下さい…」
金髪ボブちゃんとワニ頭にそう話す、……そう言やネズミオッサンはいつまで退避してるつもりなんだろうか、後精霊幼女はあの部屋に置き去りしてきた事を今さら思い出した。
これ後でネチネチ言われたりするのかな?。
「この魔法は死者を蘇生させる魔法です、死体がどれだけ損傷していようとも無傷の状態で復活させます」
本当は死体なんて残って無くても一目その姿を私が見ていれば復活出来る、魔法で生前の姿を知ってる人の記憶を覗くだけでもいけるってのは内緒だ。
まぁ転生なんてのが実装されている世界だから、魂が転生していない事が大前提の話だけどな。
「しっ死者を蘇生!?そんな奇跡が……」
「しっ信じられん、お前は神の使途が何かなのか!?」
「…………………」
さっきまで互いに命掛けの戦いをしてた連中が同じ様なリアクションをしているのが妙にツボに入った。なんかとてもコメディだ。
やがて光の波は収まる、私の魔力感知によると死んでいたダンジョン雇いのモンスター達はゾロゾロと復活してきている。
「はいっこれでダンジョンのモンスター達は復活しました、嘘だと思うならあの部屋で確認をしてみれば分かると思いをます。それとさっきの報酬はここまで込みでの請求になりますので」
「わっわかったわ確認がつき次第用意するわよ……そこのワニ男!さっさとついてきなさい!行くわよ!その転がってるのも担いで来なさい!」
「わっ分かった!」
「アンタがアタシのダンジョンに与えた被害を完全に補填するまでは絶対に死なせないわよ!馬車馬の様に働かせるから覚悟しなさい!」
「それでは私はギストさんと合流して1度ダンジョンから出ようと思います」
(コイツ、当たり前の様に転移魔法をつかってるのよねぇ……)
「はいはい、それじゃあ連絡はあの自称モンスターの商人を使ってほしいわね、それとさっきの一瞬現れて消えた人間達は?」
「私の魔法で異空間に送っています、魔法で気絶させてますから後で記憶に干渉する魔法でこのダンジョンでの出来事をわすれさせてから地上に戻します」
「………殺さないの?その方がこっちも安心出来るんだけど」
殺すわけないだろ、確かに今は鎧だけのモンスターだし、このダンジョンを守る為に頑張った私だが別にモンスターの味方になった訳でもないし、冒険者を大量殺戮なんて真似までする訳ないだろ。
「…お断りします。これ以上の働きは宝物庫の残り財宝では割に合いませんので」
私は傭兵とか殺し屋じゃない、どれだけ大金やそれ以外の報酬を積まれ様が自分自身に恥じる行いはしないと………出来るだけしないと決めたんだよ。
だからそこまではしませんよ金髪ボブちゃん、悪いね。
「………ハァッわかったわ、貴方が何者かは聞かないけど、手抜かりが無いように頼むわよ?」
「はいっ分かりました」
金髪ボブちゃんはワニ頭と共に魔法で姿を消した。恐らくダンジョンマスターは特権か何かでダンジョン内でも転移魔法が使えるんだろう。
まっ私も普通に使ってるけど、ダンジョンの力で私の魔法を抑え込むなんて無理だからだ。
…………ん?この魔力は。
(姿は見えませんが……ラブーンさんですね?)
(…………フッバレたか)
バレたかじゃないよ、ここにいるって事はやっぱり自分だけでも転移出来たんだな。
私はあの映像が宙に浮かんでる部屋に置いてけぼりにしたことを何か言われると思った。
しかし当の精霊幼女は何故かご機嫌でニマニマしているぞ?。
(1人で先走ってしまいすみません、戦いに巻き込む可能性が高くて心配で……)
(そっそうなのか?まあそれは別に構わない、いやっどうせお前に任せれば私がする事なんて何もないだろう?だから余所様のダンジョンをこの機会に観光していたのだ)
(………………)
何それ羨ましい!私だってこのファンタジーゲームの中みたいな幻想的なダンジョンをピクニック気分で探索したかったのにさ~。
まぁ精霊幼女も楽しいそうだからよしとするか…。
(それは良かったですね)
(うむっ私も元はダンジョンマスターだが、こんな広大なダンジョンは始めて見たぞ!)
そりゃああの小さな島でずっとダンジョンに引きこもってたらね、もしかして今回の騒動で1番楽しんだのはこの精霊幼女かもしれないな。
そして魔力感知でネズミオッサンを補足した私は転移して数秒で合流に成功。
これにてダンジョンでの防衛イベントは終了したのだ。
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