第73話『ダンジョンコアを掛けた戦い』
私はダンジョンコアについてイオに話しましたっと言ってもあのダークエルフの心や記憶を読んで得た知識を話すだけなんですけどね。
ダンジョンコアとはダンジョンの核でありダンジョンの心臓部です。
ダンジョンもまた生物、モンスターですのでそう言った器官みたいな物があるんでしょう。
ダンジョンコアはこの恐ろしく広大なダンジョンの至る所にモンスターを生み出す力があったりします、そしてそのダンジョンコアを下手に破壊するとダンジョンは死んでただの空洞になるので下手をするとその空洞が崩れて生き埋めになります。
それにダンジョンがなくなればこの迷宮都市の様にダンジョンに用事がある冒険者が産業を支える様なダンジョン持ちの都市は一気に衰退してしまうでしょうね。
そんな話をリエリはイオにしました。イオも難しい顔をしながら話を聞いていました。
そして道中を飛んで移動しながら私達は
要はダンジョンの壁とかも素通り出来るので先に向かったダークエルフとワニ頭に直ぐに追いつけると言う訳です。
移動する事暫く、私達は連中に追い付きました。
その場所には……話に出ていたダンジョンコアにしか見えない大きな球体が奥に鎮座ししていました、広間の様な場所です。何故ダンジョンコアがあるのかと言うと……。
「くっ!まだ残党が残っているなんてね!このダンジョンマスターである私が直々に始末してあげるわぁっ!」
「上等だよこの糞ガキが!ダルロス!壁になって僕を守れっ!僕が魔法で仕留める」
「全く!オレが戦斧を失っているからといってこんな真似を……」
少女が幾つもの魔法陣を展開して攻撃魔法を放ってますね。
図体のデカいワニ頭がその魔法を身体で受け止めて、ロダークエルフがその後ろから魔法で反撃をしていますね………。
ドゴォンッ!ドガァアンッ!バガァアンッ!。
激しい魔法の撃ち合いです。
……………まぁアレです。結論から言うと、全く間に合ってませんでした。
既にこのダンジョンの命運を掛けた戦いが始まっている様です、あの金髪のボブカットの少女が恐らくダンジョンマスターです、だって本人がそう叫んでましたからね。中々の使い手だと見受けられます。
対するあの2人はワニ頭とダークエルフも中々のチームメイトですね、ワニ頭は納得してない感がヒシヒシと感じますね。
ダークエルフは魔法よりも口の方が動いていますね、さっきから罵詈雑言を喋っていて五月蝿いです。
「あの……これって完全に出遅れましたね。リエリさん、ユーリさん…」
「確かに、ダンジョンのモンスターが現れると戦いを邪魔されたり、下手をすると囲まれてしまうからあの2人がダンジョンコアとやらに近付く前に倒す予定だったのですが……」
「……仕方ありませんリエリ、イオ、ここは少し様子を見ましょう。見たところあのワニの様な頭をした男も手負い、ラバスとやらもダメージが残っている様ですしね」
「確かに、私もダンジョンマスターを見るのは初めてですが話ではダンジョンマスターになる者は、強力な個体のモンスターが殆どだと話には聞きます、案外あっさりと倒してしまうかも知れませんしね…」
「その通りです……ではリエリ、イオ。ここは私達はご主人様を探してダンジョンを探索しませんか?」
「「しません」」
全く、どれだけご主人様に会いたいのですか。ユーリの行動力にはリエリも呆れる時がありますよ。
確かに道中にもそれらしい人はいませんでした。そしてこの場にもおられない様子、一体どこに?……おっと私まで思考が離れてしまいました。
ここは万が一にもあの2人がダンジョンコアに近付かない様にこのまま姿を消したままで…。
「ハハハハッ!バカが!油断したなっ!」
「「「……………………」」」
すると戦闘な変化が起きました、何とワニ頭の後ろにいた筈のダークエルフがダンジョンマスターの金髪ボブの背後にあったダンジョンコアの近くに現れたのです。
転移の魔法は使えなかった筈ですが……。
「アレは魔法で姿を隠していただけですね」
「……いえっ気配と身体が出す音も消すようなかなり高等な魔法では?」
こちらの2人が考察しています、恐らくその辺りで間違いないでしょう。
あのワニ頭は恐らくただの囮です、後ろのダークエルフは魔法で創った幻か何かなら攻撃魔法を使えるのはおかしいですし、恐らく……。
「何ですって!?」
「ハハッ!そっちの僕はな、召喚魔法で喚んだ、変身能力を持ったモンスターが化けてたんだよ!」
……そう言えばあのダークエルフは召喚魔法も使ってましたねっというかさっきから私が答えを出そうとしたタイミングでネタバレを喰らってしまっておます。
これは由々しき自体です、ご主人様も常々映画とゲームのネタバレは許せないと言っていました。
今の私なら全く同意見ですと答える事でしょう。
「ふざけ……くっ!?なっこれは……」
そして前後を挟まれた金髪ボブは直ぐにダンジョンコアに近いダークエルフを始末しようと動きました、しかしダンジョンコアに近付こうとした時に、目に見えない何かに阻ままれてしまいました。
あの見えないのに触れるとバチッとなる物には覚えがあります。
不可視の結界ですね。
「っ………!結界が破られた訳ではないと言うの!?ならどうやって……」
「当たり前だ!このダンジョンコアを守る強力な結界を破壊せずに通過する時間を稼ぐ為にダルロスには無理を言ったんだからな!」
フフッどうやら正解の様です流石リエリですね。
しかしあの勝ち誇るダークエルフ、ご主人様なら速攻で結界を破ってあの顔に顔面パンチをするでしょうね。
「この結界を完全な形で残したお陰で僕の儀式魔法の邪魔を誰にもされずに行える!こんな強力な結界をダンジョンコアに使ってくれて例を言うよヴァンパイアのダンジョンマスター!」
「…………おのれーー!」
ダークエルフが両手を頭上に向けます、するとダンジョンコアの真上に十メートル程の紫色に輝く魔法陣が現れました。
その魔法陣の中から何十人もの人々が降りて……いえっ落ちてきました。
「なっ!?どこだよここはっ!?」「俺達はクエストの為に集められたんだよな!?何なんだよこれは!?」「何だあの丸い球体はっ!?とんでもない魔力を感じるぞ!」「ギッギルドマスター!これは何なのよ!説明してよ!」「そっそうだ!俺達はお前に言われて集まって、それから……」「ダメだその先が思い出せねぇ!」「取りあえずギルマスだ!どう言う事だこれはっ!」「ヒッヒイィ!しっ知らん!私は知らんぞ!?」
宙にいる間にしては随分と流暢に話す連中ですね、恐らく自分達がこれから儀式魔法の生贄になる事も知らないのでしょう。
そんな冒険者達と何故かいるらしい冒険者ギルドのギルドマスターにダークエルフは見下した様に話し掛けます。
「やぁ随分とまぁ元気な連中だね、これから死ぬって言うのにさぁ~~ハハッ!」
「キッキサマは!オイッ!これはどう言う事だ!?それにこの私が死ぬだと!?」
「そうだよマヌケ~~これからお前らは僕の儀式魔法でとっておきの切り札を召喚する為の生贄になるんだよーー!」
「ッ!?いっ生贄……だとっ!?き、キサッキサマァアアアーーー!」
嘲笑するダークエルフとギルドマスターの会話に他の冒険者達は顔を真っ青にしています。
「ハハハハッ!人を集めるだけであんな大金を本当に用意する訳がないだろう!そんな事も理解出来ないバカな老いぼれだから秘書にもギルドの連中にも見限られんだよ!……まぁ~金だけ持って夜逃げしようとしたギルドマスターなんてそうされて当然だけどな~~」
「…………ぐぐっ!」
……あのギルドマスター、夜逃げしようとしてたんですか。しかも冒険者ギルドのお金に手をつけた上で、絵に描いた様な禄でもない組織のトップですね。
そんなのが何故にギルドマスターになれたのか不思議です、もしかして親の七光りでしょうか?そうでなければおよそ人の上に立つべき人間には思えませんが。
「お前の夜逃げとタカトビの為の資金の為に僕の魔法の生贄にされる冒険者達には地獄で謝っておけよ~~!?このバカでマヌケな老いぼれ野郎が!」
あのギルドマスター、五十代くらいですが老いぼれ野郎ですか……あのダークエルフは見た目通りの年齢なのか話を聞いて見たくなった私です。
自分の思い通りに事が進んだのが嬉しいのか、ちょっと頭がおかしくなったのでは?っと思ってしまうレベルで笑いながらダークエルフが魔法を発動しました。
「ハハハハッ!異界の門よ開け!我が供物を喰らいその姿を現世に顕現させよ!ヴァニティー・ゲートーーー!」
ダークエルフの呪文に応じる様にダンジョンコアを囲む様に巨大な魔法陣が現れました。
その輝きは紫色の魔法陣です。異質な魔力を感じますね。
「リエリ、そもそも止めないと危険ですよ?ヤツの魔法は以前ナトリスでサハギン達が生贄になった魔法に近い物を感じます」
(生贄を伴う魔法……ラバス、貴方はそこまで堕ちてしまったんですね……)
「リエリさん!早くあの魔法を止めましょう、最早あの男の命を考慮する事も必要ありません。ここで葬り去るべきです」
「…………」
ユーリの予感は恐らく正しいです、そしてイオの意見も最もです。
しかし、恐らく私達の出番は……ありません。
「落ち着いて下さい2人とも、魔力感知です。そうすれば慌てる必要がないことが分かりますから」
「え?………っあ」
「………フッなる程ですね、流石はリエリです」
2人は冷静さを取り戻しました、その理由は簡単です。
このダンジョンコアがある広間、その出入口付近から私達が知っている魔力を感じたからです。
「………これはまた、大変な事になっていますね」
大変な事になっていても、いつも通りの話し方をするご主人様がそこに立っていました。
……ん?隣に何故か小太りの男がいますね、ハゲです。
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