第48話『冒険者アオノ』
そして朝からイオちゃんにユーリにリエリと言った美人達に囲まれた同じテーブルで食事をとりながら会話をして朝食を終えた。
朝の献立は白いご飯に味噌汁に目玉焼きとサラダボールであった、私の出身を考慮して、そして中年の朝の胃の調子を気づかってのチョイスかな?感動した私だ。
そして当たり前の様に美味かった。最高です。
既に何度目かも数えていないけど、この時間は正に至福の時であると断言出来る。
だって本来なら私の人生に絶対に実装される事は無かった筈のモノだから。
異世界転生に感謝である、そして料理を作ってくれたユーリにはそれ以上の感謝を。
「ユーリ、とても美味しかったです。また腕が上がったのではないですか?」
「お褒めに与り光栄です、ご主人様の
そう言いながらもどこなく誇らしげな銀髪巨乳メイドである。
そして昨日の話をしていた通り今日は私とユーリで駆け出し冒険者パーティーに加入し、リエリはイオちゃんとこの迷宮都市で観光である。
………まぁユーリがメイドとして来ると色々問題があるので1つ私からお願いをする予定だけどな。
と言う訳で料理を食べた私とユーリは食器片付け、洗ってから魔法部屋を後にした。
そして魔法部屋から迷宮都市で借りている宿屋の一室に出る。
流石に街の隅で出入りするのもあれだし、出て行った所を人に見られるのも困るので部屋を借りてお掃除は結構ですと伝えてある。
女将さんからの汚したらタダじゃおかないよって視線は今でも鮮明に思い出せる。
そして昨日分かれる際に話をしたら、待ち合わせの場所はこの迷宮都市にあるダンジョンで1番大きいと言われるダンジョン『地下廃道の迷路』の入口に集合だと言われたのでその場所に向かった私だ。
迷宮都市はなんと街中にダンジョンの入口が幾つもある都市なのだ、モンスターとか怖くないのかって思うよな。
まぁダンジョンの入口は普通にかなり規模の大きい洞窟の入口見たいになっている。ラブーンにあったダンジョンと同じ地下領型のダンジョンだ。
ちなみにユーリは人間モードではなく、ビー玉モードでもない。
そうっ新たなモード、それは武器である。
ユーリは今私が装備している刺突剣に化けてもらっているのだ、昨日の話では私に前衛をして欲しそうな感じだったからな、なら武器位装備してないとなって事でユーリに提案したのだ。
ユーリは二つ返事でオーケーしてくれた。
ちなみに剣モードでも独りでに宙に浮いて戦う事も出来るらしい。頼りになるゴーレムソードだ。
街中を歩き、私は合流場所であるダンジョンの入口に移動した。ダンジョンの入口には迷宮都市の衛兵が2人立っている。
ダンジョンの入口には既に昨日あった3人が待っていた。
「すみません、遅れてしまいましたか?」
「おうっアオノ!予定時間より速く来すぎたのはオレ達だし遅れてなんてねぇよ」
「「………………」」
おうっ後ろの美少女2人から無言の圧力が、どうやらまだ中年冒険者がパーティーメンバーになった事に納得していないみたいだ。
まぁそれはしょうがない事だ、少なくとも十代の美少女が三十路中頃のオッサンを同列の人間として認識しろというのが無理がある。
しかもこちらはこの世界ではあまりいないらしい顔面偏差値が殊更低い目鼻立ちの人種だからな。
冴えない中年に命を預けるなんて真似は私だって可能ならしたくはない。人間なら当然だろ。
冒険者なら誰だってパーティーを組むならパッとしない顔立ちの人間よりもすこぶる外見が優れる人間の方が良いに決まっている。もちろん異性な。
だからこそ外見から好感度マイナススタートなんてのは理不尽かも知れないが……慣れてはいる私だ。
大事なのはここから、ここからである。
よしっ先ずは挨拶からだ、昨日は殆ど空気見たいに扱ってしまったからな。
「おはようございます、私は青野と言います。これからパーティーメンバーとしてお力になれる様に頑張っていきますね」
「……………」
「………よっ宜しくお願いします、アオノさん」
「よろしくな!アオノ!」
ちなみに無視したのはパメラちゃんね、マーナちゃんとイケメンフォッシュは挨拶を返してくれた。
マーナちゃんも目をそらしてはいたけどな。
会社に出勤してからの朝の挨拶って普通に無視されると朝から傷付くからやめて欲しいですパメラちゃん。
まぁ得体の知れない笑顔の中年からの挨拶だしな、キモイから無視って気持ちも素直な心情を写し出したモノだと考えよう。
「それではフォッシュさんこれからダンジョンに潜るんですよね?陣形はフォッシュさんと私が前衛で……」
「あぁ~その、ダンジョンに入る前に少しいいか?」
「………はい、何ですか?」
イケメンの言葉に私も話すのを止める、すると無視する系美少女冒険者のパメラちゃんから提案理由があった。
「アオノ、ハッキリ言って私とマーナはアンタの実力が本物なんて信じちゃいないの…」
「……………そうですか」
まぁ確かに、私をヨイシヨしてたのってあの受付のマッチョ位だしな、オッサンの実力を他のオッサンが保証しても若者にとっては眉唾モノだろう。
「だから私達に貴方の冒険者としての実力を見せてくれない?そこがハッキリすれば私達もアンタとパーティーを組んでも良いわ」
「………………」
これまたな提案だ、予想は出来てはいたけどな。
………ハッキリ言えば、たかが駆け出し冒険者がパーティーメンバーにあんまり贅沢を言うのは間違いだ。
そもそも人に何かを求めるだけの能力が当人にある事が前提でその類いの話を進められるのがアタリマエだからな、この美少女はそう言うセリフを吐くのなら、先ずは自分自身の実力を示してから言うのが正解である。
口先だけの人間に命を預けたくないのは向こうもっそして私も同じなのだから。
そもそもここで私が腹を立てて帰ったらまたダンジョンにも行けずに冒険者ギルドでメンバー募集からしなければならない事を彼女は理解してるのか、或いはフォッシュと似たような部分だし似た者同士って事かも知れないが……。
まっ全ては相手が美少女だから仕方ない事だ、プライドとかも普通に高いのだろうさ。
もしかしたら駆け出し冒険者って言っても実はかなりの実力者的な感じかも知れないしな。
少なくとも後ろで両手を合わせて頭をペコペコ下げるイケメンフォッシュに免じてここは私が折れるべきだろう、私はパーティーの新入り、彼女はパーティーの火力担当。
冒険者は全て立場は対等だがパーティーを組めば指揮系統が絡んでくる、上下を設けるのは必要な事だ。
「分かりました、それではパメラさん。私は一体何をして実力を示せば良いのですか?」
「このダンジョンで出会ったモンスターで単独のヤツがいたらアンタが単身で仕留めて見せなさい。それくらい出来なきゃあ実力者なんて認められないわね?」
何だ、そんな事でいいの?。
「オッオイパメラ!?それはいくら何でもよ……!」
「パメラ本気!?そんなの危険じゃない」
え?そんなに危険ではないでしょうに……このダンジョンに出て来るモンスターって基本的に以前戦ったイリーガルバッドとかいうモンスターが普通に出て来るサイズってだけで……。
イヤッ少し感覚がバカになっていたな、あのサイズのモンスターが場合によっては徒党を組んでやって来るんだ。普通に脅威である。
基本的にイオちゃん達が戦って、数が多すぎる時は私が魔法で一掃するという戦法をとっていたので忘れてた、この世界で普通に冒険者をやっている人々にとってはモンスターとは当たり前だが命を脅かす脅威なのだ。
私も何かしらあったらいつポックリ逝くかもわからないんだから。
よしっ緊張感は忘れずに、ベストな働きをしてチャッチャと彼女達にパーティーメンバーとして認めてもらおう。
「分かりました、その条件で良いですよ」
「アオノ…本気にしなくてもいいんだぞ?」
「そうですよ?この『地下廃道の迷路』はダンジョン自体が広大で道が複雑に入り組んでいます、下手をすれば簡単に行き止まりに追い込まれてしまうかも知れないんですよ?」
「そうだぜ?それにこのラビリントルのダンジョンでも強いモンスターが多いのがここなんだぜ?」
「ハハハッまぁやれるだけやってみようかと」
「「……………」」
「ホラホラッ!フォッシュもマーナも、このオッサンがそれで良いって言ってんじゃない。なら何の問題もないでしょう?さっさと行くわよ!」
言うが速いか、後衛職の筆頭である魔法使いのパメラちゃんが先頭になってズンズン進み出した。
急いで後を追う私達である。
そしてダンジョンに潜った私達である。
そう言えば前にラブーンのダンジョンに潜った時も地下なのに当たり前の様にダンジョンの内部が見えていた事を思い出した、何かしらの魔法による効果だと私は見ている。
そしてあの時は自身の実力について説明とか実践して見せるのは時間の無駄だと思っていた私だ。
やはり見せる相手に美少女とか美女がいないとそんな真似をするテンションも上がらないのだから仕方ないのだ。
しかし今回は美少女冒険者がいる、それも2人もである。
おかげで私の冒険者としての実践にも熱が入るってもんだ。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオッ!」
吠えるのは巨大な黄色い人型のモンスター、トロールである。
太りすぎた見た目と裏腹に、直線的なスピードでは人間よりも遥かに速い。そしてその手に持った粗末ながら馬鹿デカい棍棒で冒険者を殴殺するのだ。
そんなのが3体程一気に現れた。
すると駆け出し冒険者パーティーはいきなりパニックに
「なっ!?トットトトロール!?何であんなモンスターがこんなダンジョンの入口付近に!」
「再生能力が高すぎて魔法も碌に効かない化け物じゃない!」
「くそっ普通こんな所じゃなくてもっと深い層にいる筈だぞ!?アオノ!撤退だ!俺達で
なるほど、トロールは駆け出し冒険者パーティーには荷が重いって事か……なら。
「私が前に出ます、フォッシュさんは2人の近くにいて他のモンスターが来ないかを警戒して下さい」
「なっ!……マジで突っ込む気か!?」
「もちろん。私は冒険者ですから」
「ッ!?」
息を呑むイケメンフォッシュを無視して私はトロールに駆け出した。
そして数分後には………トロール達は地に伏していた。
私は魔法使いだけど、普通に戦っても強いんだよ。
あの魔神ともステゴロで殴り合いをしたからね。こんなデカくて少し動きが速いだけのモンスターなら魔法すら必要ない。
ゴーレムソードのユーリの力を借りて、その額に一撃加えただけでトロール達は死んだ。
再生能力がいくら高かろうが脳をやられたらしい生物は流石に死ぬもんだ。身体を全て塵にされても復活してくるあの魔神がおかしかっただけである。
そしてユーリが凄かった、剣を扱う技術なんて何もない私の身体が勝手に動き出した様な感覚があった。きっとユーリがなんかしたのだろう。
おかげで私を舐めプしていた駆け出し美少女冒険者2人に俺ツエェ的な展開をしてしまった。
「あっアオノ……アンタ本当に強いんだな…」
「これでも多少は出来るものと自負していますよ、それよりまだ初戦です気を抜かない様にして下さい。ここはダンジョンの中ですよ?」
「わ……分かった」
イケメンの返事に美少女2人も頷く。
よしっこれで問題なくダンジョン探索……そして美少女2人の好感度アップイベントを開始出来るぞ!。
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