第47話『完璧な理論武装』

そして小一時間程かけて美少女冒険者2人に私のメンバー加入を納得させた所で1度お開きになった。


もちろん美少女冒険者2人からはえ?本当にマジなの?と言う視線がガンガン飛んで来た、しかし少しでもリーダーとして頼り甲斐のある所を私や受付のマッチョに見せたいフォッシュが必死に説得して何とか決まった。


どうやら私と言うよりはあの受付マッチョは人物評価に定評があり信頼されるギルド職員的な立場だった様で、そのマッチョから実力に太鼓判を押された私は少なくともその言葉は信用にあたいすると判断されたのだ。


しかしここで直ぐにでもダンジョンに行きたそうなイケメンに待ったをかけたのが私だ。


曰く元から組んでいるパーティーメンバーに説明するのに時間がいるからと今日中のダンジョンアタックとかは勘弁ですと言外に伝えた。


だって少し前までそのダンジョンに潜ってたんだぞ?また突入とかゴメンだよ。


ただ速く行きたそうな駆け出し冒険者パーティーの面々の為に明日ならと私は説明して冒険者ギルドを後にした。



そして私は今、自身の魔法で創り出した特別な空間である魔法部屋と言う現代の億ションの間取りを再現した様な現代様式なリビングに居る。


イオちゃんとリエリ、ユーリに今回の件を相談……と言うか事後報告する為である。


「と言う訳で暫くの間、その駆け出し冒険者の方々とパーティーを組もうと思っているんです。まぁ数日程の短い間ですが……」


「この数日間で既に十分資金は貯まりましたし、リエリはご主人様の意思に従います」


「ユーリもです」


ゴーレムツインズはやはり私のする事に肯定的である、まぁ事前に駆け出し達との間にあったことは掻い摘まんで話をリエリに念話で伝え済みなので後は細かい話をするだけなのだ。


夏のバカンスの資金にしてもリエリが言った通り、ナトリスで頂いた金貨500枚に今日稼いだ金貨200枚、そしてこの数日で稼いだ金貨が300枚はある。


計1000枚の金貨、前の世界の金額で一千万円位はある、これだけあれば十分これからの一夏を楽しめるだろう。


そこにあの駆け出し冒険者パーティーの美少女2人、パメラちゃんとマーナちゃんを加える為のイベントに私は是が非でも参加する心意気だ。イケメンはいらん。


そんな事を考えてる私にイオちゃんは口を開く。


「無論、私もアオノさんの意見を尊重します。けど事前に相談くらい欲しかったです」


「……すみませんイオリアさん」


もっともである、パーティーを正式に組んだ訳じゃないけど一緒にダンジョンに潜ってモンスターと戦ったのだ、大袈裟ではなく命を預けた相手に相談も無かった私の落ち度である。


しかしあれだけの美少女を抱えたパーティーだ、ほっとけば必ず他の冒険者が名乗りを上げた筈。美少女なパーティーメンバーは早い者勝ちか強い者勝ちぎが世の理。


取り敢えず言い訳しとくか。


「見ていて少し危なっかしい所がある青年達でしたから、つい早まった真似をしてしまいました」


「………まっまぁ駆け出しの冒険者ほどに危なげな存在はそう居ませんし、アオノさんがほっておけないと言うのも分かります」


ちなみに美少女については伏せておく、万が一こちらのパーティーメンバーへの勧誘に失敗したらアレだ、死ぬほど恥ずかしいからね。


「けどっ本来は冒険者は完全な実力主義。勝手にダンジョンに挑み、そして死んだとしても誰も見向きもしないなんてザラにあると聞きますが」


「他の人はそうだとしても、私は多少面倒でもお節介をしたくなる性分なんですよ。あくまで多少ですけどね…」


「………フッ本当に貴方は、それだけの力を持ちながらどうしてそこまで他者に気を向けて生きるのですか?」


社畜やってたからです、一方的に1人の人間として認識すら碌にされない圧倒的底辺として長いこと生きてきたからで~す。


まっ口が裂けても言わないけどな、代わりに格好付ける事にするわ。


「私の魔法は単純な力ではなく、誰かを助ける為に与えられた『機会チャンス』だと思っているんですよ。私はただそれを生かすようにしているだけです」


大きな力があるのなら、他の人よりも1歩大きく広い範囲の人をに手を伸ばせる。


全てを助けるなんてのは当然無理、だからこそその『機会』を大切にするのだ。そんな男に成れたら私は自分を誇れる気がするから。


……これもオフレコだな。


「本当に……貴方は……」


「ムッオッパイ女。さっきからご主人様に文句でもあるんですか?もしもそうなら……」


「違います!むしろ私は彼の様な……ッ!?そっそれよりそのオッパイ女だけは本当に辞めて下さーーい!」


「………………」

(ご主人様、万が一の為にリエリかユーリをご主人様の護衛としてつけて下さい。それさえ可能なら何も言いません)


(分かりました、それならユーリに付いてきてもらおうかと思います。リエリはイオリアさんに付いて彼女と共にこのラビリントルを観光とかして下さい)


リエリとの念話で話をまとめた私が最後にユーリと口論をしてる美しいイオちゃんに声をかける。


「イオリアさん、既にリゾートでの資金もこのラビリントルで過ごす資金も貯まりましたから後は自由にこの都市を楽しんで頂ければ嬉しいです。リエリを付けますので万が一何か起きたら直ぐに私も飛んで来ますから……」


「ッ!もっもう、それじゃあ私が貴方の生徒見たいじゃないですか!」


イオちゃんが教え子とか……最高ですね色々と。


「ハハハッただ無駄に歳を食った私が心配性なだけなのは分かってます、それでもやっぱり貴女に何かあるなんて御免被りますから」


「…………ッ!?」


ん?イオちゃんの耳が赤い?。


「わっ…分かりました!分かりましたから!アオノさんの言うとおりしますから!この話はこっここまでです!良いですね!?」


「はっはいはい、分かりましたから落ち着いて…」


「『はい』は1回が基本です!」


「すっすみませんイオリアさん」


………見間違いかな?。


こんな感じで話はまとまった、我ながら完璧な理論武装だったと太鼓判を押せるね。


◇◇◇


そして翌日、楽しみな事があると朝が早くてもスッキリ起きれる人がいない?私はそうなんだよ。


朝起きて歯を入念に磨き、洗顔からの髭剃りそして保湿効果のある乳液とかよく分からんけどつける。


イオちゃんがこの魔法部屋を訪れる様になってから朝起きのダラダラしまくりな汚い中年は死んだわ、もちろん朝風呂も入る。あらゆる行動をして中年のダメな部分を徹底的に排除する事を朝のルーティンにする私だ。


ましてや今日はイオちゃんだけでなくパメラちゃんやマーナちゃんともダンジョンに行って好感度をゲットするイベントに挑むのだ、歯磨きも更に入念になると言うものだ。


無論私の部屋にはリエリかユーリが掃除する時以外は立ち入り禁止である、これは暗黙の了解ってヤツだ。


……だって私は魔法中年だ、前にいた世界の代物すら魔法でポンポンと出せてしまうな。


つまり……見られたら軽く死ねるタイプのエロ本も多数所持し、隠してあるのだ。


「………何よりはイオちゃんに見られたらアウトだろうしな」


私の視線の先には……金色に光るゴスロリ巨乳の像があった。

そうっあの魔神イシュリアスの美少女バージョンの時のヤツだ、あの激闘の最中に私が回収したヤツである。


あの魔神が自身を不死だの無限の魔力を持っているだの吠え散らかすもんだから、私も少しムキになって。だったら魔力も命も持たない黄金に変えてしまえっとデカい魔法をかましてヤツの美少女バージョンを金ピカの像にする事に成功したのだ。


まぁ結局は本体は別にあって、その本体も私の魔法で無事に倒したから。最早あの巨大シャレコウベの事はどうでもいい。


大事なのはヤツが化けていた美少女はマジで美少女だったと言う事とその姿を見事に保管する事に成功した事実だ。


正直私の魔法なら、この黄金ゴスロリ巨乳の像をゴーレム魔法でゴーレムにしてゴスロリ巨乳を新たな戦力にする事も容易である。


しかしここで1つ問題が現れた。


なんとリエリとユーリが、私が新たなゴーレムを創るとまた自我を持った謎性能のデタラメゴーレムが生まれる事に否定的なのだ。


以前話をした時の事だ、『同じ様なキャラクターを何体も出す必要性がありませんよね?』っとリエリに言われユーリも頷いていた。


確かにキャラかぶりとか嫌だろうな、私もあの島国からこの世界に異世界転生とか転移をしたと言って黒髪黒目の冴えないモブ顔が現れたら……やっぱり嫌だもんな。


自身の個性を大事にしたいと言う気持ちは痛い程によく分かったので今後は私のゴーレム魔法は封印する事にしたと言う訳だ。


だからこの黄金ゴスロリ巨乳の像は今も私の自室にインテリアの如く部屋の隅に鎮座している。


いつの日か、このゴールドゴスロリ巨乳が何かの役に立つ日が来るのだろうか。来ると良いなぁ……。


そんな事を考えながら私は手早く着替えを済ませる、シャツもズボンも来たので後は革鎧を着込んで背中にバックパックを背負えば完璧だな。


しかしその前に……。


「ご主人様~!朝御飯の用意が出来ました~」


「分かりました、直ぐに行きます」


そうっゴーレムツインズの1人、銀髪巨乳メイドに進化したユーリ手作り料理の朝御飯である。


美少女メイドが用意した御飯を朝に食べられる。これだけで異世界に来た価値は十分すぎる程にあると確信している私だ。


常日頃から自らの研鑽に余念の無いゴーレムツインズは私が用意したマンガやラノベ以外の読み物、例えば料理関係の本とかもドンドン読み込んで自身の料理の腕を日々磨いているのだ。


他にもサバイバル関係の本や体術や武器の扱い方を記した指南書までマジで何でもござれな感じで読み込みアップデートを繰り返している。


「………私も何か、新しい事を始めてみようかな?」


いい加減、魔法以外の何かがが欲しくなって来た中年である。


思案中の私は足取りも軽くリビングに向かって行った。















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