第46話『迷宮都市での出会った希望』
それから数日間私達は頑張った。
そして冒険者ギルドに向かう途中、都市の大通りにて……。
「「「グアアアアアアっ!?」」」
「全く、またこの連中ですか?目障り過ぎますね」
「それには同意します、多少痛めつけても構わないですよユーリ」
「あっあのお二人とも死人を出すような真似は…」
「大丈夫ですよイオリアさん。ユーリもリエリも分かっているかと」
天下の往来で我々に絡んできたのは柄の悪い男達だ、この迷宮都市の冒険者である。
この世界において冒険者の
以前私はユーリやリエリの変身能力を使っての日替わり美女引き連れ自慢散歩を夢見ていた。
そしてソレをこの迷路都市ラビリントル実行した(私も似たようなもんである)。
するとまぁ何故か柄の悪い連中が来るわ来るわ私が言うのは違うのは理解しているが、自分達がイオちゃんやユーリとリエリとお近づきになれる側の人間だと思ってるかよ。自己評価の機能がバグってないかい?。
……本当に私が言うのも何だがな、私がこの世界に来ての数々の愚行が……いやっ今度こそは。
話が逸れた。そんな連中からの絡みがこのラビリントルに来てから既に何度目かも数えるのもバカらしくなる位多いのだ。
しかも彼等が必ず口にするのが『こんな冴えないオッサンとかよりオレ達とパーティーを組まないか?』ってヤツだ。
事実だけにヘコむわぁ……。
おかげでユーリが速攻でブチ切れて、今の様にガラの悪い冒険者と言う名のゴロツキ共をコテンパンにするのがこの都市に来てのある種のルーティーンになってる。
「フゥッ……ご主人様、対処が終わりました」
「ありがとうユーリ、しかしこのペースでまた声を掛けられると流石に迷惑ですよね……」
「すっすみませんアオノさん、どうやらこの冒険者達は女性が目的の様です」
「イオリアさん、これは貴女やユーリ達のせいではありませんよ。全て彼らの自業自得です」
「しかし、実際にもう何度もこんな感じに……」
何も悪くないイオちゃんに気を遣わせるなんて、何気に1番ムカつく事をあのコテンパンにされたゴロツキ達は仕出かした。
全く以て罪深いモブ達である。倒れて気絶してる彼らを蹴り飛ばしたくなる。
「全て彼らに非があります、イオリアさんが相手にする必要もないですよ。それとここからは私1人で行こうと思います」
「ご主人様1人で、ですか?」
「そうですユーリ、魔法部屋に先に行って待っててくれますか?」
「そんな、もしもまた同じ様な者達が表れたら…」
「私ならどうとでも出来ますから。それに後はこのバックパックの中の素材を買い取ってもらう為にギルドに行くだけですし」
ぶっちゃけ私1人なら絡まれん可能性がグッと下がる、絡んできても対処も簡単である。
「……そうですね、分かりました。それなら私達は先に戻っていますね」
そしてイオちゃん達と分かれて私は1人、冒険者ギルドに向かって歩きだした。
ちなみにこの数日間の流れはラビリントルのダンジョンで出会うモンスターを退治して素材を回収の繰り返しながらそれを冒険者ギルドに持って行って換金を繰り返した、その結果…。
「はいよっ!換金した金だ。受け取ってくれ」
「ありがとうございます」
「しかしここ数日で随分稼いだなアンタ!」
「ハハハッパーティーメンバーに恵まれたんです」
「そうかっ!仲間は大事にしろよ!あんちゃん!」
ここ数日で顔なじみとなったモンスターの素材の換金受付のマッチョ親父との会話にも柄にもなく花が咲く。
何故なら今回の換金で金貨200枚分は稼いだ、ザッと前の世界で200万円くらいの稼ぎである。
当初の予定としても十分な金額だ、リゾートでバカンスな楽園でも楽しく遊べるだろう……っとリエリが言っていた。
そんな場所でお金を使った経験など皆無の私だ。どんだけ金が入りようなのかはリエリとユーリとイオちゃんの知識頼みである。
しっかし……命懸けの冒険者ってのもやっぱり凄いよな、何しろ学も碌に無いオッサンでもこの位稼げるんだから…本当に凄いよな異世界。
これからは暫くはモンスターとの戦いで疲れも溜まっているだろうし、イオちゃんもリエリもユーリも、そして私ものんびりこのラビリントルで観光でもしようかなっと……。
そんな事を考えながら冒険者ギルドを歩いていると。
「…………ん?」
「なぁ~誰か手が空いてる冒険者とかいねぇの?」
「う~んそんな都合良くは…」
おっ何やらクエストの受付カウンターで若いイケメンが受付のオッサンと話をしている。
まっ私には関係ないけどな、美少女でもないのでスルーしょうと側を通り抜けようとしたら…。
「……おっ!ちょっちょっとアンタ!」
……え?まさか私?なんか受付のオッサンがこちらを見てるぞ?。
「あの、もしかして私ですか?」
「そうそうっ!そうだよ!アンタ今クエスト終わった所なのか?」
「ええまぁそうですけど」
「それならちょっとこの若いのが受けるクエストについて行ってくれねぇか?実はコイツのパーティーメンバーが1人怪我してな……」
話を聞くとどうもこのイケメンがリーダーの駆け出し冒険者パーティーに欠員が出たらしい、しかもそれが所謂タンクの担当で、おかげでイケメンはここ数日碌にクエストに出かけられていないらしい。
「ふ~ん?このオッサン?使えんの?」
私を見て単純に実力は大丈夫かと受付のオッサンに聞いている、見た目では不安しか抱けないのは自覚してるけどそれは私が居ないところで聞いて欲しかったなぁ…。
「フォッシュ、お前はここ数日冒険者ギルドに顔を出してなかったから知らねぇだろうが、コイツはたった数日で『地下廃道の迷路』を始めとした迷宮都市にある幾つかのダンジョンでかなりのモンスターを討伐してる腕利きなんだぜ?」
「なっマジかよ………!?」
ここに来て数日の中年冒険者をヨイショしてもあまり意味はないぞ?。
「おいっオッサン!マジでそんだけの実力があるのか!?」
「ええっまぁ……多少は腕に覚えがあります」
「それなら頼む!オレのパーティーに入ってくれねぇか?」
「……………」
………嫌だよ。誰が人の目の前でこのオッサン使えんの?とか言っちゃう人間と組みたいと思えんの?。
実力がある人間(厚かましい自称です)が駆け出しの冒険者パーティーと組んでみるだけのメリットとか示せるのなら別だけども……。
そもそもイオちゃんを初めとした美人ばっかりの疑似ハーレムパーティーで唯一の野郎と言う恵まれまくりな立ち位置にいる私が、それを捨ててまでこんなイケメンがいるパーティーに入る訳ないだろ。
時間とか色々な物の無駄である。
と言う訳で早急にこの場の空気を無視してお断りしようも口を開こうとした時である。
「どうフォッシュ?新しいメンバーは見つかった?出来れば前衛職が良いけど、ねっマーナ!」
「確かに、私とパメラは後衛の魔法職と回復職ですから。出来ればダンジョンの知識を持って前で戦える人がベストです」
現れたのは2人の十代半ば位の美少女であった。
1人はパメラと呼ばれた黄緑色の髪をセミロング位に伸ばした、如何にも魔法使いですっ!って感じの長い杖を持っている子だ。
スタイル抜群で露出が過多なファンタジーな衣装をしている。素晴らしいですな。
もう1人の子はマーナと呼ばれていた水色の髪のボブカットで如何にも回復魔法が得意です!って感じでプリーストみたいな衣服と短めの杖、ワンドを持っている。
スタイルは普通、しかし落ち着いて清楚な感じの美少女だ。
ほうっほほうほ~うっ。
私はまるでフクロウの様に内心で関心する。
流石はイケメンだな、当たり前の様に美少女がパーティーメンバーとかさっ羨まし過ぎだ。
しかしこれは……フフフッ。
カモがネギを………おっと違う違う。
「……フォッシュさん、このお二人が貴方のパーティーメンバーですか?」
「オウッ!そうだぜオッサン!」
「フォッシュ……いい加減そのオッサンっては辞めろ。ソイツは年齢も実力もお前より遥かに上だ、目上の人間には敬意を示せ」
「……………ッ!」
「いやっ年齢もってのは余計ですよ?事実ですけどね」
私のツッコミに受付のマッチョと私は同時に笑う、フォッシュと言う名のイケメンは自分がからかわれた事を理解したのか少し恥ずかしそうにした。
受付のマッチョなりの合いの手に私がツッコミで乗った形である。
「そっそうだよな、悪いおっ……アンタの名前と、それと前衛か後衛かとか教えてくれないか?」
「そもそもソイツはお前のパーティーメンバーになると返事すらしてねぇぞ」
「…………そっそうだよなぁ。悪い完全にのぼせてたわ」
受付のマッチョに言われて始めて気がつくイケメンだ、きっとダンジョンに行けると浮き足だっていたんだろうな。若さ故のなんとかって事にしとくか。
そして私の答えは……。
「パーティーへの加入、受けましょう。私は青野と言います。前衛でも後衛でもどちらも問題ありませんよ?魔法もそれなりにこなせますから」
内心での結論を180度変える私だ。
だって美少女と冒険とかしてみたいじゃん。
それにイオちゃん達にはもう十分な金額が貯まったから明日からは観光でもしてもらって冒険の疲れを取ってもらい、私は駆け出し冒険者パーティーに泣きつかれて仕方なく云々。
理論武装も完璧じゃね?。
「ほっ本当か!?」
私の言葉に喜ぶイケメン。後ろの美少女達は話に就いて行けずに置いてけぼりだ。
その疑問を持った眼差しも良い。
そうだよ、私は間違っていたんだ。
酒場の看板娘?(マーブルちゃんね)旅をする冒険者に定住など無理なのさ、冒険者は冒険に惹かれるのだから。
貴族の令嬢?(アレリアちゃんな)冒険者は地位なんかに
ギルドの受付嬢(シエラちゃんな)も船乗りレズ美女(タニアちゃんな)も全ては袖振り合っただけの僅かな縁に過ぎなかったのだ。
そうっ最初から答えは出ていたのだ。冒険者は冒険者パーティーに出会いを求める事こそが正解なのだ。だから私は冒険者になったのだから。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?間違ってる訳がないじゃん。
彼の大泥棒の三代目が数多ある映画シリーズで様々な美女や美少女と出会い、やがて終盤でその元を去っていく姿に、今までの自身の幻影を見た。
しかし私は運命的な出会いを果たし、物語をトゥルーエンドにまで持っていくつもりなのでそんな幻とはここで決別しなければならない!。
私は……私は美少女冒険者と言う存在に
「えっフォッフォッシュ!?このオッサンをパーティーに入れるって言うの?本気!?」
「パッパメラ!そんな言い方……」
「「「……………」」」
ヤレヤレ、またここからか。
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