プロローグ
そこは俗にダンジョンと呼ばれる場所である。
レンガの壁に石畳の床と言う何かの建築物の内部で、そこには小部屋に入るドアや上に下にと移動する階段がある。
通路や部屋の広さも中々の物だ、しかしダンジョンなので人間は住んでいないし、モンスターも普通に出て来る。
「キシャォアアアアアアアアアアアアアッ!」
「イリーガルバッドですね、ダンジョンの天井に張り付いて待ち。現れた冒険者を強襲する不意打ちが得意なモンスターです」
「なるほど、大きなコウモリですか」
そのダンジョンを進むのは白いシャツに革鎧を着込み、黒のズボンとブーツをはきバックパックを背負った中年野郎と紫色の髪をシニヨンにした細部に装飾をされたスーツを着た美しいエルフの女性。
そうっ私とイオちゃんである。
私達は今、ダンジョンに潜って冒険者してる、正確にはイオちゃんは冒険者ではないので私はイオちゃんの護衛として共にダンジョンに来ているっと言う体で活動しているのだ。
その辺りの経緯は後に話すとして、我々は絶賛モンスターとエンカウントしていた。
赤い色の体躯を持つ2メートル超えのバカでかいコウモリが天井からドンッと現れたのだ、このデカさで普通に飛ぶなよ。
そんでダンジョンと言う、一応は屋内的な場所だぞ?空飛ぶ系のユニットが我が物顔で出て来んな。
「シャアアアアッ………シッ!」
赤コウモリはこちらに威嚇の咆哮が効果がないと判断したのか開けた口をそのままに突っ込んで来た。
「それではイオリアさん、魔法で倒しますが…」
「……待って下さい、ここは私が倒します」
モンスターを目の前にトークをする、つまりこのモンスターは格下でありイオちゃんも私も余裕を持っている証拠だ。
正直今の私は目の前の赤コウモリよりもあの不能賢者がやらかした。イオちゃんの呼び名をイオさんからイオリアさんに変えた問題の方が気になっている。
あの不能賢者が……私はイオさんの方が愛称っぽくて気に入ってたのに、なんでわざわざイオリアさんに呼び方を変えてんだよ………本当にもうっあの不能が…。
少し距離感を感じてしまっている私だ。
私がひとりでモヤモヤしているとイオちゃんが赤コウモリとバトる。
「キシャアッ!」
「!」
赤コウモリが空中で急ブレーキ、そしてハネをバタつかせて旋回鋭い足の爪でイオちゃんに迫る。
「風の守護よ!我が敵の牙を遮れ!ウィンドシールド・リフレクト!」
イオちゃんの魔法が発動してコウモリの攻撃は風の防御魔法で阻まれた、さらに赤コウモリの足の爪とその足を風の刃がズタズタに切り裂いた。
赤コウモリも痛みで悲鳴を上げる。
「ギッ!ギギシャアアアアアアアアッ!」
「フッ……風も束ねれば立派な盾にも矛にもなるんです」
イオちゃんにはまだ余裕がある、対する赤コウモリは足のダメージから冷静さを失ったのか今度は頭から突っ込んでいく。
ビュゴォッ!って感じでの突進だ。
端から見る私でも普通に怖い剣幕だな。
しかしイオちゃんは冷静に対処をする。
「魔法使い相手に直線的な攻撃は自殺行為ですよ?」
「ギシャアアアアアアアっ!」
その通り、ゲームのボスキャラならともかく、現実にいる生身の生物なら魔法で切り刻まれたり炎の塊をボゴンッとぶつけられればまず死ぬ。
魔法を何十発もぶつけてもHPバーが碌に削れないレイド級とか命のある生物に早々いてたまるかって話である。
そしてイオちゃんが赤コウモリに人差し指を向けるとオレンジ色の野球ボールサイズの魔法陣が出現した。
「魔力の弾丸よ!爆ぜよ!ボム・バレッド!」
魔法陣から球状の光が発射され、そして赤コウモリに……。
ドッガァアアアアンッ!。
イオちゃんの名前に相応しい(…察して)爆発系の魔法がバカ正直に晒した急所の頭を吹き飛ばして戦闘は終了した。
場所は変わらずダンジョン内の部屋である、赤コウモリの死骸から爪やら牙やら
翼膜ってのはコウモリのハネの、見ようによってカッパの水かきみたいな部分の事である、なんか防具とかの材料にもなるらしく売ると金になるらしい。
解体素人の中年冒険者とそもそも冒険者ではないイオちゃんである、我々は魔法で死骸に触らず近づかずで解体をする。魔法マジで便利。
そしてその解体したモンスターの素材をテキパキと更に細かく売れる様に手直しをするのが。
「ユーリ、その眼球は要りませんよ?」
「う~むこの赤い瞳には魔力を感じます、魔法の触媒になるかも知れませんよ?コウモリの肉も売れるんですから……」
「確かにコウモリの肉は迷宮都市でも売り買いされますが……」
そうっユーリとリエリである、しかし聞いて驚け(私は驚いた!)なんとあのゴーレムツインズは遂に余所様のボディにメイド服装備を脱した!。
ユーリはメイド服の露出に更に磨きが掛かり胸の谷間が……いやっそれはどうでもいいのだ、ユーリは銀髪ロングのツインテールに赤い瞳のつり目、そしてスーパーなミニスカとメイド服を装備した巨乳のJkと言う出で立ちだ。
そしてリエリは青色の瞳に黒髪をポニーテールにして黒のシャツの上に白のスーツと言う女秘書のような出で立ちの巨乳である、そして眼鏡までどっかから持参して装備している。更に平然と胸の谷間を強調する着こなしをする恐るべき眼鏡秘書に進化していた。
以前ラブーンにいた時にユーリには銀髪の巨乳メイドキャラが必ず出て来るマンガを数シリーズ程貸し出した、リエリには黒髪の巨乳女秘書が必ず出て来るラノベを数シリーズ程貸し出したな。
共に私の魔法で、前にいた世界にあった物と全く同じ物を召喚した物である。
あの2人の姿を角イケメンの船に乗っている時に
それ以来彼女達は基本的に人間の時はあの姿とビー玉モードの2つをメインで使っている。
ちなみに角イケメン達は国に色々と報告する事があるとの事でナトリスとは別の港町に寄った所でお別れとなった。
まぁ早めに別れた方がイオちゃんがイケメンに横取りされないかを心配する必要が無くなるので、中年野郎の精神衛生上は有り難かったぜ。
「ご主人様、イリーガルバッドの解体が終わりました」
「分かりました、では……」
私はバックパックを置く、そして中にリエリとユーリがモンスターの素材を放り込む。バックパックはまるで容量の限界などないかの様に次から次に入っていく。
「そのバックパックは魔法のアイテムなんですか?」
「いえいえっこれはただのバックパックです、ただ今回の為に私がこれに『
「あっ特殊能力を付与する魔法?そんな事まで出来るんですか貴方は……」
「まぁ魔法使いですからね」
「……………」
おうっイオちゃんのジト目が来ました、ああっそしてイオちゃんには角イケメンと別れてからこちらの信用して貰おうと色々と手札を晒した。
例えばリエリとユーリが自我を持ったゴーレムツインズと言う事も話した。最初は当たり前だが信じてくれなかったよ?2人以外にも別のメイドがいると勘違いされた上にどっかの貴族かと言われた。
ゴーレムツインズが目の前でラブーンに居たときに使っていたアレリアちゃんの姿にリエリとユーリ両方が変身した事で信じてもらえた。
それと魔法部屋の魔法についてである、流石に一緒に旅をするのだからイオちゃんだけ仲間外れにして自分達だけ暖かい食事やら風呂やらトイレやベッドやらを味わう訳には行かないからな。
説明するより実際にって事で私の魔法部屋に招待した、港町から次の街に行くまでも一悶着ありながらもイオちゃんは魔法部屋の利用の仕方に慣れて貰った。
………まぁその後イオちゃんに『何でこんなに便利な魔法があるのに旅をして外で野宿をしたりするんですか?』ッと言われた、冒険者ってそんなイメージがあるからですっとは流石に言えなかった。
いつでもベッドで眠れるから偶には野宿とかもしてみたくなるんで~すっとか死んでも言えなかった私だ。
赤コウモリの素材を回収した我々は小休憩を挟む、魔法で死骸の残りを掃除して血を消してしまえば早々モンスターが別の部屋から来る事は無いとのこと。
「……ではっ次のモンスターを倒しに行きますかアオノさん」
「はいっリエリ、ユーリ準備はいいですか?」
「「はいっ問題ありません」」
おっ久々のハモり。
そして私達は現在、魔法学園都市に行こうってイオちゃんに誘われたのだが何故か迷宮都市ラビリントルの名物ダンジョンの1つ、この国有数の大迷宮『地下廃道の迷路』に挑んでいた。
その理由は簡単である。そうっとても単純で簡単な理由である。
私達は……大金が欲しくてモンスターの素材を集めまくっています。
何故に大金が欲しいのか……ヌフフフッそれはなんと……。
この、ラビリントルの近く……ではないか移動に軽く1ヶ月は掛かるって話だし。
そこには有るんだよ、夏のリゾート地って感じの場所がな。
要はハワイとかバリとかタヒチみたく南国の楽園的な場所だ、バカンスが出来る奇跡の場所である。
そうなんだよ……我々の目的地は魔法学園都市からバカンスへと路線を変更したんだよ。
この世界の夏の時期はまだまだ先だ、だからこそその夏のバカンス、白いビーチに青い海の楽園で遊び呆ける為にはこの
その為に我々はここに今いるのだ。
リエリ、ユーリ、そしてイオちゃんの水着の為に~稼いで稼いで稼せぎまくるぞオラァーッ!。
「ご主人様!一角ナマケモノです!角には薬効の効果があり高値で取り引きされ…」
「分かりました!角以外を断ち切ります!」
気合いを入れ直した私の
さぁ~てっ楽園に向かって頑張って生きましょうかね!。
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