第34話『動き出す者』
「なっ何が起きたんだコレはッ!?」
角イケメンである、私が
彼は普通に鎧と槍を装備していた、そして自分が魔法で呼ばれた事を説明した。
最初こそエレナちゃんを見てかなりバツが悪そうな顔をしていた、まぁ中年にそれとなく村の人を探ってくれとか言ってたからな。
しかし現状はそんな些細な事を気にしている訳にもいかない。
その理由は……。
「アース!?何故お前がっ!?」
どうやらマイク(偽)の本名はアースと言う名前らしい。
ちなみに私は現場をさっさと片付けてエレナちゃんのお家にお邪魔したい本音は……もちろんある。
あるに決まってんじゃん。
しかしこの場でそんな事は言えない、だってマイク(偽)死んでるし。本当にどうしょう。
角イケメンも余裕なんてなさそうだし、これは呼ぶの早まったかもな。
エレナちゃんも呆然としている。
「ビンゴさん、事情を説明します」
「わっ分かった、話をしてくれ……」
と言っても私に分かるのはこのマイク(偽)がモンスターになって襲ってきた。そしてそんな事を知らなかった私が彼を倒したと言う事までだ。
「なッ!?アースがモンスターにっ!?そんなバカな話を信じろと言うのか貴殿はっ!」
「ビンゴさん、少し冷静になって下さい。まずこのアースさんと言う方には恐らく……」
「死体変成系の魔法による使役や支配を受けていた可能性が高い……違いますか?」
「………ッ!」
私が話そうとしていた事を横から解説してきたのはイオちゃんであった。え?どうしてここにイオちゃんがいんの?。
「イオさん?何故ここに?」
「たっ……たまたま散歩をしていました……」
何というヒドイ言い訳だろう。
すると何故かイオちゃんの後ろからメイドが現れた。
あれは……アレリアちゃんメイドになっているのはユーリだな。
近頃は一目でユーリとリエリのどちらが変身してるのか、同じ人物でも分かる様になってきた私だ。
そしてリエリは姿が見えないのは、多分ビー玉モードで
「ご主人様、ユーリはご主人様の後をついてきていたので知っています。その女はご主人様がこの砂浜に魔法で飛んで行くのを目撃してからずっと後をつけていました、そしてご主人様達の話を盗みぎき…」
「なっ!何を適当な事を言っているんですか貴女は!?そんな訳があるわけが……」
言いながらイオちゃんが物凄いあたふたしている。可愛いよねぇ~。
しかしながら直ぐに冷静にになってコホンっとせきをしてクールビューティーに戻る。
萌え~~~(死語?)。
「は……話を戻します。其方の鬼人族の方とは初対面ですね、私はイオリア=マナスクラブ。見ての通りエルフで、職業も魔法に関連したものに就いています」
「俺はビンゴだ……魔法?そうか、済まないが手短に分かりやすく頼む」
「分かりました」
分かりやすくっかもしかしたら角イケメンは魔法にはあまり詳しくはないのか?。
イオちゃんがマイク(偽)の死体に近寄り触れる。
それを私とエレナちゃんとユーリと角イケメンが見守る。
「この魔力の痕跡は……やはり間違いなさそうですね」
どうやらエルフは触れるだけで魔力の痕跡とやらが分かる様である、私?私は見れば大体の魔法を見抜けるよ?魔法関連の知識だけはチート級に持たされているからである。
まるで何かのファンタジーゲームの攻略情報を無理矢理頭の中に刻まれた様な感じだから少し気持ち悪いんだけど。
そんな事を考えていると、イオちゃんが神妙な面持ちで解説を再開してくれた。
「コレは、何らかの魔法で死体に悪霊を何体も無理矢理憑依させ、その死体を異形に変異させてから使役する魔法。先ず間違いなく禁忌とされる類いの物です」
死霊魔法の1種である、人の姿のまま使役するよりもより簡単に戦力アップが出来る代わりに使役する難易度が跳ね上がる魔法だ。
この手の魔法を使うヤツは確かな魔法の実力と腐った神経の持ち主として相手に認識されるので、私は間違っても使わない魔法である。
「しっ死体に?ならば、アースは殺された上に手駒にされたと言う事か!?」
「………はいっその通りかと」
イオちゃんの言葉に、角イケメンは苦虫をかみ潰した様な憤怒の表情を浮かべる。
「アオノ殿……済まない、俺は一瞬貴殿を疑った」
それは仕方ないと思うよ?人をモンスターに変えるなんて魔法以外の手段とか思いつかないし、そして得体は知れなくてもやたらととんでもない魔法を使う私がそこにいたんだ。
私だったらこの冴えないおっさんがそんな感じの魔法使いなら先ず間違いないなく、速攻で容疑者に認定だよ。
「いえっこの状況ではそれも仕方ない事ですよね、もちろん私ではないですけど。それでその何者かを確認したいのです、そこでこのアースさんの髪の毛を少々戴いてもいいですか?」
「髪の毛?それで犯人が分かるのか?」
「はいっそうです、ユーリ頼みますね」
ユーリは返事と同時に動き出す、マイク(偽)の髪を魔法でカットして髪の毛を少し手のひらにのせる。
その髪が青い光の粒子となってユーリの手に吸い込まれていく、これでこのマイク(偽)の記憶をユーリとリエリは自由に共有する事が出来る様になった。
お陰でマイク(偽)をこんなにした犯人についてもまず間違いないなく分かるだろう。
ただこの能力については詳しく他の人達に話すのが少し怖いかもなって考える私だ。
「……………」
「…どうかしましたか?」
「……………シッ!」
少し無言になったと思ったら、いきなり片手を茂みの方に向けて魔法を発動するユーリ。
その行動にみんなビクッてなった。
「ギーーッ!ギーーーッ!ギーーーッ!」
すると茂みの奥から何やらフヨフヨと浮いてくる小さな生物が。
外見は少し大きめのトカゲだ、しかし顔にある目が四個ある、間違いなく異世界産の生物である。
恐らくユーリの魔法に捕まって動けないのだろう。
そのトカゲを更にユーリは魔法で真っ二つに引き裂いた。グロッ……。
それを見てた角イケメンとイオちゃんがコイツマジかよって視線を向ける、けどエレナちゃんはその引き裂かれた生物の死骸を目を見開きながら見ていた。
「まさか、そのモンスターは!?」
「はいっこのトカゲは戦闘力こそありませんが、召喚した者と視覚を共有したり、言葉を伝えたりと多様な用途があるタイプの召喚獣です」
「……私やビンゴさんにも分かる様に説明して下さい、ユーリ」
「はい」
そしてされた話によると、まずマイク(偽)から記憶を覗いた。すると先程のトカゲとマイク(偽)は何度か接触があったようだ。
何のことはない、角イケメンと話していた隠密部隊の裏切り者はこの男だったと言うだけの話だ。
そしてユーリは直ぐにこのトカゲを探す為に感知魔法を発動、すると直ぐ近くにいたもんだから速攻で拿捕したと言う訳だ。
そしてそのトカゲの死骸もユーリは吸収。
そして犯人についての特定も完了した。
「この男を異形にしたのも、島のモンスターを召喚したのもご主人様が会ったと言うダンジョンの奥にいた女で間違いないかと…」
っとうちのゴーレムメイドは判断した様だ、彼女の話によればあの封印されし美女の正体とか目的は不明、流石に召喚されたモンスターの記憶では限度がある様だ。
しかし分かった事もある、どうやらトカゲを使ってあの美女はマイク(偽)を懐柔し私をダンジョンに単身で向かわせたりとかを指示していた様だ。
「恐らく、アースさんの死因ですが……」
「アオノ殿が言っていた、あの解けば死ぬという封印を解いてしまった可能性がある。違うか?」
「………その通りです」
マイクがあの封印魔法について知識を持ち合わせていた可能性は低い、ならその情報を私や角イケメンから共有物される前に行動を起こしたと言う可能性もある。
つまり、あの封印されし美女は既に……。
そう考えた瞬間、この島全体を包み込む様な。強大な魔力が発せられた。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!。
「ナッ!?何ですかこのもの凄い魔力はっ!?」
「くっ!何が起きたと言うのだ!?」
「アオノさん、イオさん、ビンゴさん!これは空間魔法による物です!気をつけて下さい!」
「ご主人様、どうやら向こうは既に何も隠すつもりは無いのかと」
「……………そうですねぇ」
地面が小刻みに震え、空気も震動しているかのようだ、どうやら向こうさんはこちらが手の内をおおよそ理解したと言う事も分かるらしい。
細かい嫌がらせから一転して、一気に攻勢に出て来たんじゃないかね?。
島の上空に巨大の魔法陣が展開、そしてその魔法陣から眩い光が降り注いだ。夜空を染める程の光が美しくすらある。
その光が島とそこにいる私達を包み込んだ。
◇◇◇
そして私が目を覚ますと、そこは真っ白な何も無い空間であった。
「………本当にこんな空間があったんだな」
異世界物のラノベを読んでいた私は良くそんな感じの世界を文章で読んだ事がある、本当に地面も空もない、真っ白な空間である。
ちなみにこの世界、本当に何もないので空気も存在しない、生命がこんな場所に来たら即死してしまうな、なるほどだからあのラノベの主人公はみんな死んでからこの世界に来ていたのか。
私は
私だけこんな所にいるのはわざとだろうか?わざとだろうな。
そしてこの空間から脱出するにはどうすれば良いんだろうか?エレナちゃんは空間魔法とかって言ってたからその辺りの魔法をチョイスしてインストールされた魔法の知識で何とかすれば行けるのかね?。
……ただやっぱりエレナちゃんやイオちゃんついでに角イケメンも心配だな。
ここはまずみんなの安全を確認する魔法を試しに使ってみるか。
【我に世界を見通す瞳の権能を。
この魔法は何処までも遠くを見通す千里眼と魔法で創られた空間を看破する眼力を与える魔法である。
この魔法ならこの真っ白な何も無い空間の外、或いは別の亜空間とかも覗ける。
まぁその為には座標の固定とか概念がなんたらとか鬱陶しいファンタジー用語が飛び交う知識の解説がいるので、その辺りは割愛してしまおう。
そしてその超越眼の魔法を使って皆の安否を確認するために探してみる。
「…………………」
そして魔法の効果は確かであった。
私が覗いたのはもう一つ創られたらしき、亜空間だ。そこは何故か空が真紅に染まり大地は荒野の様に荒廃していた。
そして今、私の視界には結構な数の人々がいる、ユーリに角イケメンやイオちゃん、それにあれは隠密部隊の連中である。連中黒ずくめだから一目でも分かりやすい。
どうやら私以外は皆の同じ場所にいるようだ……ん?いやっエレナちゃんがいないぞ?。
隠密部隊の連中までいるから、てっきり島にいる人々を皆のまとめてあそこに飛ばしたのかと思ったわ、私以外っいやリエリもいないか?。
一瞬彼女たちを探すのを優先するか悩んだが、こちらの観測を優先する、何故なら……。
角イケメンとイオちゃんが、今まさに全ての黒幕と対峙していたんだから。
「………どうやら、アオノ殿の話は全て事実であったと、考えるべきなのだろうな」
「な……なんなの?あの、途方もない魔力は……」
角イケメンとイオちゃん、それに隠密部隊の何十人と言う人々の視線の先にいるのは1人の美しい女性がいる。
ゴスロリドレスの様なフリルがやたらと付いてる服を着たやたらとスタイルが良いの美女だ。ゴスロリ巨乳万歳。
空は赤いが明かりはある、光の下で見るとその美貌もそうだがかなり若々しい印象を受ける。
二十代かと思ってたらまだ十代後半でも通用しそうな見た目である。
封印されし美女は美少女であった。実年齢とかは考えるだけ無駄だ、だってここはファンタジーな世界観であるからして。
スタイルの良さとそれに伴う色気が凄くて勘違いしてたな、まぁ美人は十代でも二十代でもいいもんである。エロいですな。
そんな封印されし美人……いやっ既に封印から解き放たれし美人は口を開く。
『先ずは……そうですね。何か質問でもありますか?善意で答えてあげても良いですよ?今の私はとても気分が良いのです……』
その表情はとても穏やか、しかし瞳の奥には邪悪な悪意に満ちていた。
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