第28話『ダンジョン攻略中』
そして角を生やしたイケメンと共に島のダンジョンに向かう私だ。
この島のダンジョンについての話は大半が島の人々、そして目の前のイケメンから聞いたのだが何でもダンジョンには種類があるらしい。
お城や遺跡などがダンジョンになった物を建築物型のダンジョン、洞窟見たいな地下に広がる様なダンジョンを地下領域型のダンジョンとか言うらしい。
この島のは洞窟だから地下領域型のダンジョンだな。
ああっそれと他にも森や湿原がダンジョンになると魔領域型とかとんでもなく巨大なモンスターの身体の中に創られたダンジョンを魔生物型のダンジョンとか割と細々した分類がある。
………ただダンジョンは全てダンジョンマスターと呼ばれる、強力な力を持った上に特殊なモンスターが生み出す物で何型だろうとダンジョンの最奥地にはダンジョンマスターって言うボスが居るのは一緒なので、基本はみんな同じである。
更に付け加えるならこの島のダンジョンは地下1階しかないダンジョンと呼ばれる中でもショボい部類に入るヤツで、その代わり降りた地下領域は魔法で拡張されて2、30キロ程の広さがあるのだ。
その内部は洞窟ではなく地下の遺跡っといった感じのものらしい。
何故そんな事が分かるのかって?別にイケメンに教えて貰った訳ではないよ?何しろ彼の隠密部隊は島に来てから、島のモンスターにボッコボコにされてまともにダンジョンの中を探索が出来ていないらしいからさ。
なんでも数年前までは殆ど出て来なかったモンスター達だが少しずつ出るようになってきて今は他のダンジョンよりもずっと大量のモンスターがダンジョン内を徘徊してるんだそうだ。
上級魔法でビクともしないモンスターがゾロゾロいるとか、そんなダンジョンには国の兵士さんでも入りたくないよな……話を戻そう。
そうっ私がこの島のダンジョンに詳しい理由、それは!私の持つガイドブックに!様々な情報が載りに載っているからである!。
具体的に言うとダンジョンの階層が何階までとか、ゲーム見たいな感じのマップが本のページにしっかり載っている。
この見た目古文書なガイドブックは本当に使えるよな、そのお陰で私も次の行動に移りやすい。
「もう直ぐ島のダンジョンが見えてくる、先日は大量のモンスターが村に向けて出て行ったので1度数名のパーティーで中を探索しようとしたのだが、まだダンジョンの内部には大量のモンスターがいてとても探索など出来なかった」
「命を無駄にしない、賢明な判断だと思います」
何でもこの角イケメンが率いる隠密部隊は常にダンジョンの入り口に見張りを置いて有事の際に伝令を使って部隊に知らせたりする人がいるらしく、その伝令の話によれば先日の村へ来たモンスターはそのダンジョンから出て来たらしい。
あんな大量のモンスターが出て来るとか、ダンジョンってヤツもゲームと違ってかなり危険な代物である。
「むっ見えてきた、あそこがこの島のダンジョンだっ!」
角イケメンが言う方を見る、そこには高く切り立った岩の壁がありその壁には大きな穴が空いていた。
前の世界なら大きめの立派な洞窟としか見えないんだがこの世界では危険なモンスターを無限に生み出すダンジョンなんだからたまったもんではないよ。
そしてそのダンジョンの入り口には角イケメンの部下らしき黒い鎧一式で固めた黒ずくめの野郎達が数名いた。恐らく彼らがダンジョンの見張り何だろう。
「見張りご苦労、この者はアオノ。先の村の戦いで島のモンスターを圧倒した魔法使いだ。実力は俺が保証する、今回のダンジョン探索では助力を乞うことにした」
「こんにちは青野と言います、よろしく」
挨拶をして軽く頭を下げる。
しかしやはりと言うべきか、黒ずくめ達は無言ながら内心の不平不満が見て取れる。
だって視線がとても鋭すぎて敵意を感じるんだもん。
「……ん?どうしたんだお前達、アオノ殿に何か言いたい事があるのか?」
角イケメンの言葉に黒ずくめの1人が答える。
「しっ失礼ながら、隊長。我らは国の特殊な部隊です、その我らの作戦に部外者を……」
「俺は作戦の成功率を考え、アオノ殿に助っ人を頼んだぞ?」
「ならば我らだけでの作戦の成功率とは」
「ゼロだ、俺達の戦力でこの島のダンジョンを踏破出来る可能性も、作戦を成功出来る可能性も……ない」
「ッ!?なっならばその者が入ればそのゼロの可能性が変わると言うのですか!?その男に一体どれだけの力があると……!」
「俺はついさっき言った筈だ、アオノ殿の実力は俺が保証すると。それが全てだ」
「「「「「…………っ!?」」」」」
この角イケメン、物事をハッキリ言い切れるタイプの人なんだな。
この若さで何十人もの部下を束ねる立場に立つカリスマってヤツである。
これからダンジョンに行きますって時にこの黒ずくめ相手に中年魔法使いの実力云々を語ったり示したりする時間は………まぁ無駄以外の何ものでもないか。
黒ずくめ達に不平不満があろうとも、その一切を黙らせる角イケメンの判断は正しい。
私の実力なんてのはダンジョンに行って、必要じゃ無いなら示す必要はない。逆に必要になった時は遠慮なく発揮して彼らを助けるだけで良いのだ。
それが今回の私の仕事である。
「それではビンゴさん、今からダンジョンに進入するんですか?」
「ああっもちろんそうだ。そして部下は何人くらいを連れて行っていいのか聞いてもいいか?」
「……別に何人でも構いませんよ?」
「……………フッそうか」
(強がりでも慢心でもなし……本気で仮に何人も足手まといが居たとしても、何の問題もないと言う事か……)
ん?何故かビンゴから視線を向けられる、イケメンに見られるなんて中年はゴメンだ。
なのでさっさとダンジョンに向かう。
「それではダンジョンに行きましょうか、ビンゴさんの部下の方で来たい人は後からきてもらって構いませんからお好きにお願いしますね…」
「…………………」
「「「「「………………………」」」」」
そして私はこの世界に来て、何気に始めてのダンジョンアタックに挑む事になった。
◇◇◇
そしてダンジョンにお邪魔した私だ。
ちなみにビンゴとその部下もゾロゾロとついてきている。あの場にいたみんな来たね。
「………それでは、私が少しダンジョンの安全を確保したいと思います」
「ほうっダンジョンの安全を確保とは……」
ビンゴの部下達からはそんな事出来るか的な発言が少し聞こえたけど、無視して魔法を発動する。
【我が力により新たな僕をここに。
なんかこの島に来てから、この魔法を1番多様してる気がする。
だって便利なんだもん。
地面に魔法陣がバーン、その中から人影らしき者が現れる。
今回の召喚魔法で私が召喚したモンスターは、ブラックダイバーと呼ばれる成人男性が全身に墨汁でも被った見たいな真っ黒人間である。
身体だけで無く服装も上も下も黒い。ビンゴの部下も黒ずくめだしなんか変な集団になってきたかもな。
どうして私がこのブラック君を召喚したのかと言うと、ダンジョンにおいて彼らは最高の能力を発揮してくれるのである。
ビンゴの部下がビビって悲鳴とかあげるし武器とか構えてる。まぁ顔には目も鼻も口もないから薄暗いダンジョンで出会ったら私もビビるね。
ちなみにダンジョンには碌に光源がない、しかし私達は普通にダンジョン内部の地形を判別出来る、ビンゴ曰くダンジョンとは魔法によって創られた創世物。
光が無くても見えるくらいは普通とのこと。意味分からんね。
そしてビビりまくる部下を心配したビンゴが代表して私に話し掛ける。
「アオノ殿、その異形は貴殿が召喚した者なんだろう?しかしその一体のモンスターで何を…」
「…では説明します、このモンスターはブラックダイバーと呼ばれるモンスターで……このモンスターはダンジョンの壁に潜る事が出来る能力を持っているんですよ」
「………なに?」
このダンジョンと呼ばれるこの空間にある壁や天井はダンジョンマスターの魔力で創られていると言う話でその壁や天井は基本的に破壊したりする事が出来ないと言う。
しかしこのブラックダイバーは『
つまり壁や天井や床の中に隠された罠とかを発見して破壊したり、敵のモンスターに確実に不意討ちをしたりし放題なモンスターなのだ。
正にダンジョン攻略の為に存在するモンスターである、敵として現れたら悪夢以外の何者でもないな。
「………っと言った感じのモンスターです」
「なっ何と……それはとんでもないな……」
そしてブラック君の紹介をし終わったタイミングで………。
「グゥオオオオオオオオオオオッ!」
ダンジョンでの初のエンカウント。
なんかデカイトロール見たいなのが出て来た、島では1度も見なかった手合いだ。
黄色い肌には親近感を覚えそうになったけど、黄色過ぎるよ普通にレモン並みの黄色さにビックリだ。
しかも鎧一式を着込んでバカでかい棍棒まで装備してるし、なんか戦士っぽい。
「あれはトロールウォーリアー、見ての通り武装したトロールだ、強いぞ。ダンジョン内部のモンスターなのだがあの図体だ全長は軽く十メートル以上はある」
「大きいですね、まさかあんな大きなモンスターまで居るとは……」
「あのデカさだからこそダンジョンから一歩も出れないでいるのさ、お陰でこのダンジョンの中には同じ様に厄介なモンスターの巣窟と化している」
「…………なるほど」
まさか村に来たモンスターがただの下っ端だったとは、これは厄介な事に……。
「グォオオオオオオオオオオオオオッ!」
……うるさいな、先ずはあのトロールを静かにさせるか。
「ブラックダイバー、頼みますね」
「………………ッ!」
ブラック君は黙って頷く。
「………アオノ殿?あのトロールはただのトロールではない、トロール特有の再生能力と腕力。知能は低いが武装して武器も使う、それもあのトロールが思う存分振り回せるサイズのだ。流石にそのモンスター1体ではどうにも……」
角イケメンの言葉を無視したブラック君は数歩前に出る、そして右手をゆっくり向かって来るトロールウォーリアーに向ける。
するとブラック君の人差し指がミョンって伸びた。
その黒い指はそのまま伸びていきトロールウォーリアーのお腹にヒット。
そのお腹の防具もろともお腹を指が貫通した。
「………………?」
トロールウォーリアーはまだ状況を理解出来ないでいる、まさか自慢のでかくて分厚い防具とお腹を易々と貫通されるとは思わなかったんだろうな。
少し待つとトロールウォーリアーの脳天から黒い指がニューっと生えてきた。
その瞬間トロールウォーリアーは鼻や口から血を噴き出してぶっ倒れた。
地響きを立てながら倒れる巨体を前にビンゴとその部下が絶句する。
「ッ!?………………まさか」
「トットロールウォーリアーが一撃で!?」「どうなっているんだよ!」「まさか何かの魔法か!?」「バカな!あのトロールウォーリアーの魔法耐性は島に出て来てるモンスターよりも高いんだぞっ!?」
なんか色々と好き放題要ってるけど、ただブラック君のお腹に貫通した指がお腹の中で方向転換してトロールウォーリアーの頭に向かって伸びただけだ。
その途中で内蔵から喉から脳からまとめて貫通したので流石の再生能力も発揮されずに即死したんだよ。
「………落ち着いて下さい、流石のトロールウォーリアーも脳や喉を貫かれたら死ぬと言うだけですから」
「だっだからそれがおかしいと!……」「トロールウォーリアーの皮は並みの鋼鉄製の防具を超える硬さを誇ります、それをああも容易く……」「ボクも魔法使いだけど自信を無くすわぁ~」
「………………」
とっとりあえず自信を無くしそうな魔法使いの黒ずくめ君、ゴメンね。
けどこれが中年魔法使いの仕事だからさ。
「………まさかこれ程強力なモンスターを使役するとは、貴殿の力は俺の予想以上だ。これなら……」
角イケメンが何か語り出したタイミングで、ダンジョン内に再び地響きがなり始める。
一応魔力感知を使って確認、おうおうっ結構の数のモンスターがこちらに接近中ですな……。
「ビンゴさん、こちらに多数のモンスターが接近しています、その強さはそこのトロールウォーリアーと同等かそれ以上の手合いばかりですね」
「そうか、仲間の死を嗅ぎつけたか?厄介だな」
「厄介ですか、ならそれらも引き続き私が対処しますね」
「…………………何?」
言ったじゃんとりあえずダンジョンの安全を確保するって……私は再び召喚魔法を発動した、魔法を使うので何かアクションをしようかと思って両手をパンパンってやった。
軽い冗談のつもりでパンパンってしたら黒ずくめ達がビクッてなってて少し笑ってしまった。
今後は魔法を使う時は片手を突き出したりかざしたり意外にも魔法発動のポーズとか考えて行きたい私だ。
そして先程ブラック君を召喚したのとおなじ様な魔法陣が地面に大量に、それどころか壁や天井にまでバンバンバンバンと出現しまくる。
これにはビンゴと黒ずくめ達もあ然としてるわ。
そして中から現れるのはブラック君が沢山である。
その数、全部で500体。
そりゃあ壁や天井にも魔法陣が現れるよなって話だ。
現れた漆黒の軍団に呼んだ私も軽く引いている、だって怖いよこのブラック君軍団は。
「………あ、アオノ殿?まさか……」
「はいっこのブラックダイバー達なら縦横無尽にダンジョンを移動出来ます、彼らにダンジョン内部のモンスターの全滅と罠などの破壊を任せてしまいましょう、恐らく2、30分位で終わると思いますから少しゆっくりしましょうか」
「だっダンジョン内部でゆっくりと………か、分かった。貴殿の言葉に従おう……」
イケメンよ口元がヒクヒクしておりますぞ?。
事前に確認したガイドブックに記されたダンジョンの広さならそれくらいで十分だろう。
私はブラック君軍団にダンジョン内部のモンスターの殲滅と罠などの破壊を指示するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます