第22話『魔法で無双』

◇◇◇


転移の魔法で私達はモンスター襲撃事件の現場に到着した。


するといっぱいいるわモンスターが、種族とかも色々で巨大な虫みたいなのから昨日の狼やさっきのクモ、後はシカとかムカデとかを巨大化させた様なモンスターが村を呑み込もうとしていた。


「アオノさん!私はモンスターの相手をします、貴方は村人の救助をお願いします!」


「………分かりました!」


村人は必死に応戦している。

攻撃魔法を使う人や傷付いた人に回復魔法を使っている人もいた、後は村にモンスターが侵入しない様に何人かが集まって結界魔法を発動させたりしている。


みんな熟練の魔法使いって感じの働きだ、まぁ私は一目見たときからこの村の人達の魔力の大きさには気付いてたよ……って今はそんな事を考えてる場合じゃないな。


「くっ!怪我人は下がるんだ!」


「魔力がもうっ……回復魔法を使えません!」


「くっ………!」


【我が力を持って、命ある者を癒やす。回復ヒール


私は回復魔法を発動させてその場の村人の怪我とか魔力とかをフル回復させる。


「なっ!?これ程の回復魔法をっ!誰だっ!?」


さっきから何やらブツブツ話してたおっさんがビツクリしている、おっさんなのであんまり説明とかしたくないな。


「すみません、いきなりでしたが急を要すると判断しまして。回復させてもらいました」


「いっいや、むしろ感謝しかない。ありがとう」


「あっ!この人島のモンスターを魔法で首チョンパしてたって言う魔法使いのおっさんですよ!」


その通りだけど若者野郎におっさんって呼ばれるのはやっぱり嫌な私だ。


そして私はエレナちゃんを探す、この場所に到着して早々に分かれてしまったからな。

そして魔力を感知しての方向を見ると、エレナちゃんがいた。


「ホーリーランス!」


ズドドドドォオオオンッ!。


流石はエレナちゃんだ、伊達にこの島の異常に魔法に長けた人々の中で1番の使い手だと子供達に認知されていない。


他の村人が放つ上級魔法や中級魔法では傷一つつかないのに彼女の光の槍を生み出し、そして撃ち出す魔法が当たったモンスターは一瞬で消滅している。


しかし今のままでは多勢に無勢だ、何しろ魔法が通用するのがエレナちゃんと中年魔法使いしかいないからな。


私も怪我人を見つけたら魔法で怪我を一瞬で治しているが、流石に手間が掛かる。


ならば現状を打破する魔法を使うまでだ。


【我が力により新たな僕を此処に。創造生物召喚サモン・クリエイトモンスター


この魔法、一回発動するだけで此方が欲しい手勢をまとめて無から創造して召喚出来るんだぜ?。


殆ど反則だろ。


ちなみに召喚したモンスターは以下の通りである。


ファントムメイジ、五十体。

ファントムセイバー、五十体。

ファントムウォーリアー、五十体。

ファントムアーチャー、五十体。

ファントムランサー、五十体。

ミミック、五十体。


ちなみにファントムってのはゲームとかでお馴染みの鎧だけが勝手に動いてくるタイプのモンスター達のシリーズである。


以前にも話したけど私は自分が召喚したモンスターとかでもやられて傷付いたり死んだりするのがゲームでも苦手だったので、ファンタジーがリアルになったこの世界では生身のモンスターを召喚するとかは極力避ける様にしているのだ。


そこで考えたのが顔とか表情が一切分からない、そもそも痛覚とか無さそうなこのファントムなんたらってモンスター達の活用である。


例えばファントムメイジ。コイツは魔法使いがよく着てそうな青いローブが誰も着ていないのに勝手にに動いて宙に浮いて、ついでに杖もあって宙にフヨフヨ浮いているモンスターである。


他のファントム達もそれぞれの職業とかクラスの人間が装備してそうな装備一式が勝手に動いて襲いかかってくるのさ。


召喚したモンスターの数を五十体ずつにしたのは区切りがいいからだ。

と言う訳で私の準備も整った。


「……行きますか」


魔法で無双するんでよろしく。



現状この村はモンスターの大軍で囲まれている。

何故なら迫って来たモンスターを前に何人かの島の人々が魔法で村を囲む結界を張ったんだ。


それで大半のモンスターは結界を囲む様な形になったのだが、この島のモンスターは魔法に単に強いだけでなく結界魔法をすり抜ける個体が数は少ないがいるらしい。


私が魔法で治療したのはそのモンスターに怪我を負わされた村人で、エレナちゃんはその侵入したモンスターを瞬く間に駆逐していっている。


そこで私は結界の外にいるモンスターの対処にモンスターを召喚したのだが、まぁ折角召喚したモンスターだからな。


それぞれ一体ずつは結界の中に召喚したのでエレナちゃんが相手をしていない残りでも倒してもらおうかな。


「あっ……あのモンスターは?この島であんなゴーストモンスターはいない筈なのに……」


「アレは私が召喚したモンスターです、皆さんに危害は加えませんから攻撃しないで下さいね」


「なんと、召喚魔法まで使えるのですか?」


「はいっまぁ多少ですが…」


エレナちゃんも召喚魔法には驚いている様だ、それでも魔法で結界に侵入したモンスターを退治している。


「ではっお願いします!」


そして私の魔法によって召喚されてモンスターも戦闘に参加である。


「「「「「……………………!!」」」」」


身体もないから返事とかはないけど、ファントム君達は無言で行動を開始した。


まずはファントムアーチャーだ。軽装の鎧やベストにブーツがまるで透明人間が装備しているかの様に動き、矢が弓につがえられ発射される。


空を切る様な音がすると数体のモンスターの眉間に矢がヒット、絶命させる。


ファントムセイバーは正にリビングアーマーって感じの騎士の鎧だけが動き、その装備した両手剣で無数のモンスターを斬り伏せる。


ファントムウォーリアーは騎士ってより戦士風の装備が動いている、持っている武器は巨大な戦斧で、それを軽々と振るい敵をなぎ払う。


ファントムランサーは兵士的な装備のが動いている。その槍でモンスターを何体も串刺しにしているぞ。


ファントムメイジは私と一緒に怪我人を探して回復作業である。


「………この島のモンスターって魔法には強い代わりに物理攻撃には弱かったりするんですか?」


私は共に村人を回復させているおっさんに聞いてみる。


「まっまさか……少なくとも多少戦闘の経験を積んだレベルではあそこまで圧倒する事は不可能かと……」


なるほど、どうやら召喚したファントム君達の戦闘力は中々の様だ。

今も結界に侵入してくるデカイ虫とか狼とかを殆ど一撃で倒しているし、このまま放っておいてもいけるか?。


結果の外に召喚した殆どのファントム君達もそれなりにモンスターの数を減らしてくれると助かるのだが…。


………ん?なんか大きな魔力を感知したぞ?結界の外からである。

私と同じ様に魔力を感じ取った島の人達が何人か反応している。


そして村の真上、上空に数百メートルサイズのビッグな魔法陣がドドンッて感じで現れた。


「なっなんだ!?この巨大な魔力は!?」「見ろっ!上空に巨大な魔法陣がっ!」「まさか、魔族か何かが超級攻撃魔法でも発動しようとしてるのか!?」「とんでもない魔力だぞっ!」


う~ん、多分だけどこの感じは……。


「もっもうこの村もお終いかっ!?」


「ああっいえ、大丈夫かと……アレは私が召喚した彼らの攻撃ですから」


「………………え?」


あの魔法の名前は魔光弾の雨マジックバレッド・レイン


術者が敵と定めた者だけを撃ち抜く光の魔光弾を無数にあの巨大な魔法陣から撃ちまくる魔法だ。


魔法陣が光を発する。そしてここからだと小さな光が魔法陣から溢れ出し、まるで雨の様に降り出した。

それはまるで意思を持つ様に村を囲んでいる島のモンスターだけを狙って落ちる。


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!。


まるで弾丸……いやっ殆ど光線って感じでパウンっ!て感じで降り注いでいますな。

魔法には強い筈のモンスターが、文字通り粉々になって消えて行く……。


数秒後には村の回りのモンスターは全て消滅し、代わりに村を囲む様に、ドーナッツ状のクレーターが出来ていた。

もう少し加減してくれても良かったのに…。


「ゴォアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」「ジジジジジジジジジッ!」「アアアアアアッ!」「シュルルルルルルルルルルッ!」


あっまだ結界の中にはモンスターが残ってたんだよ、忘れてた。


「ゴォアアアアアアアアアアッ!」


「くっ!油断しちゃった!」


なんかエレナちゃんがピンチである。

……え?まさか結界の外の魔法に意識を向けてたら一撃いいのを貰ってしまった系か?。


もしそうなら非常に申し訳ないんだけど、だってエレナちゃん片腕を押さえながら痛みを堪えてる。

血も流れてるし、それを見てモンスターは咆哮を上げている。


なんかクマをゴツくした感じのモンスターだ。

美女に、エレナちゃんに何してくれてんだよコイツ。


「エレナさん!回復します!」


瞬きの間もなくケガを回復した。


「一瞬で!?流石アオノさん!ありがとう」


エレナちゃんは礼を言うとモンスターから距離を取った。


さてとっやいやいクマ公……。


ゴツいモンスターが美女に悪い事をするのは年齢指定される作品の中でしか許されないんだよ。

よってお前さんとその他残りのモンスター達はここで退治します。


【不可視の刃よ、切り裂け。消失刃ロスト・エッジ


私の怒気を込めた魔法が発動した。

自身の身体から青いオーラみたいなのが立ち上っている時は中年が割と本気で魔法を放っている証拠なのである。


その成果として結界の中にいたモンスターは、その全てがサイコロ状にかなり細かくカットされて絶命した。


あのゴツいクマ公も一瞬でバラバラサイコロカットである、この魔法発動するとまず躱せないし防げないから使う側としては大変便利で助かるんだ。


……使われる側は地獄だろうけどな、まぁ一瞬で死ぬから苦しんだりはしていない事を内心で祈っておこう。


(ご主人様!リエリです。モンスターの襲撃が……もう対処し終わってますね?)


(リエリ、此方はもう終わりました。しかしモンスターがこれで終わりか分かりませんので…)


(……分かりました。なら私は周囲の警戒に当たろうかと思います)


(ありがとうございます。そしてユーリそちらの状況はどうですか?)


ユーリは事前にイオちゃんと合流して子供達を守ってもらう様に言っていた。

まさかとは思うが子供達の身に何かあっては大変だからな、そしてイオちゃんの身に何かあったら最悪じゃん。


そこで万全を期してモンスターを召喚したのではなく、最近モリモリ戦闘力を高めている中年お手製のゴーレムであるユーリに任せたのだ。


………しかし現場は何やら私の予想とは違った方向に転んでいた。


(………ご主人様。少しいいですか?)


ユーリの声だ、彼女は今アレリアちゃんの姿でメイドをしているので金髪ツンデレメイド仕様となっている。


だからそのツンデレな女性の声が妙に低いのでかなりお怒りなご様子なのだ。


何かあったのか?。


(ユーリ何かあったんですか?まさかモンスターの集団がまたそちらにも……)


(そんな事はどうでもいいんです!何ですか!何なんですかあのオッパイ女は!)


…………え?オッパイ女?。


まず間違いなくイオちゃんであろう、彼女がどうかしたのか?。


(それはイオさんですか?)


(名前など知りません!あのオッパイ女、あろうことかご主人様を散々罵倒して来ましたよ!?)


………なっなる程、何がどうやらとか詳しくは分からないけどこの激おこプリプリな感じは間違いない……。


これっ話が長いヤツだ……。












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