第18話『島の悪魔達?』

島の住人達と出会った私達は無事に村に到着した。

途中でモンスターに出くわさなかったのは運がよかったからだろうか。


そして島の悪魔と呼ばれる人々の村についたのだが……。


「お帰り~お腹すいた?」「そんなに疲れてないよ!」「おっ!このフライパンはいいね!」「アタシはこの鍋かな」「とっトイレットペーパーはどこにあるの?」「島の外の食べ物は何かない?」「……このゲスムシの団子を食うがいい」「それ死ぬほど不味かったヤツじゃん!」


……なんか全然そんな感じじゃないぞ、普通に朗らかに話をしている普通の島の住人さん達である。


「あるんだな、トイレットペーパー……」


無論私が知るのよりもかなり質はあれだけど、その手の品物が普通にある事事態に驚いた。

おっと話がそれたな。


あの戦闘の時に見せた上級魔法とかは謎だが、とても人を取って食うようには見えないんですけど。


そんな事を考える一番の理由は……。


「あっ貴方は島の外から来た方ですか?何もないしまですけど、どうぞ寛いで行って下さいね」


「ありがとうございます」


そうっその理由は一目見て綺麗だと感じた……彼女と言う存在である。


桃色の腰まで伸ばしたサラサラの長い髪に、おっとり系の綺麗なお姉さんって感じの美女だ。

服装は普通の村人みたいなのを着ている。


歳は二十歳くらいか?そのおっとりな雰囲気ととても素晴らしい巨乳。身長が百六十くらいなのも丁度良くて、とにかく色々と最高なメインヒロイン候補の登場に、速攻で島の悪魔とかってのを適当なウワサの風評被害だと断定した私だ。


きっと、きっとそうだよ。そして彼女こそメインヒロイン(願望)だと私の直感が言っている。


アレだよ、今まで出会ったアレリアちゃんとかマーブルちゃんとかタニアちゃん達はただの前菜か何かだったのだ、


そうっ全てはこの真のメインヒロインとの出会いを演出する為のな。そうに決まっている。

でなければ私があそこまで裏切られまくるとか意味が分からないじゃないか。


ああそうだっ意味が分からないね…。


彼女をはじめとした島の人々が悪魔?有り得ないわ。だってあれだけ可愛い娘やその他のモブさん達が悪い連中な訳がないじゃない。美女は正義だ。巨乳も正義だ。若さも正義だ。


ならば全てを兼ね備えた彼女は何だ?。


そんなの……神に決まってんだろ。


女神様だよ。


………あっそうだ、女神ちゃんの名前を聞くのを忘れていた。


「あっすみません、名乗るのを忘れていました、私は青野といいます、冒険者でしばらくこの村でお世話になると思いますのでよろしくお願いします」


「冒険者の方なんですね、私はエレナと言います。こちらこそよろしくお願いしますねアオノさん」


エレナちゃんはそう言うと物凄い笑顔でニコリと微笑んでくれた、それだけでオッサンは幸せになれる。


やはり真のメインヒロイン…いやっまだ候補だったな、候補のエレナちゃんは一味違うな。


「おーい、エレナ!来た物資を村の皆に配るから皆に声をかけてきてくれっ!」


「分かりました~、それじゃあ失礼しますねアオノさん」


「はいっそれじゃあまた……」


残念、エレナちゃんが行ってしまった。

まぁ島の村だけあって規模は程々、島の住人も二桁くらいしかいないの狭い村だからきっと直ぐに会えると思うけど……。


期待してるからね、再会テンプレからのヒロイン加入を。


「……取り敢えず私達も冒険者ギルドに行きますか」


「分かりました、ご主人様」


(………………)


アレリアちゃんの姿でメイドに変身したリエリと無言でビー玉モードのままが不満だと訴えてくるユーリである。


一応ユーリには影の護衛的な立場になってもらうのだ、ゴメンね。


リエリの金髪巨乳メイドな姿に癒されながら島の冒険者ギルドに向かう私達である。


◇◇◇


「………冒険者ギルドがない?」


「おうよっここは外からも殆ど誰もこねぇ島だぞ?冒険者ギルドなんてあるわけねぇだろ、ダンジョンなら一応あるけどな」


マジかよ、私は島のオッサンとの話に軽く困っていた。


「……すみません、それなら宿屋の類いは…」


「もちろんねぇぞ?旅の人間が寄り付かないのはそれも理由かもな!ガハハハハッ!」


いやっそれはあんたらが悪魔呼ばわりされてるからだよ。まぁこんな明るい人々が何で悪魔なのか、その詳しく理由とか知らないんだよな。興味もあんまないし。


いやっ今はそれよりも今夜の寝床である。


私達は話を聞いたオッサンと別れてからどうするか話をする。


「……それならご主人様の魔法でどうとでもなるのではないですか?」


「まぁっそうですけど……」


実は私の魔法なら家でも何でも作るくらいならわけないのだ、しかしせっかく文明がちゃんとある異世界に来たわけだしその世界の生活を楽しむという事をしたかった私は、出来るだけそう言う魔法は使わなかったのだ。


しかし今回は冒険者ギルドどころか宿屋もないのならそうも言ってられないか?野宿とかも何度かしたけど毎日は嫌だし。


「……エレナさんの家とかにお泊まりとか出来ればいいんですけどねぇ」


(「捕まりますよ?」)


ゴーレムツインズに突っ込まれてしまった。そんなの知ってますがな。


「ここは村を出たところにでも魔法で住める場所を確保するとします、確かタニアさんも1ヶ月はここに来ないと言ってましたしね」


「そうですね、活動の拠点は必要だとリエリも考えます」


(そしてこの島の生活物資をお金で買い集めるのはあまり好まれないかとユーリは思います)


それはそうだろうな、物資が限られる場所で買い占めとかしたら島の人々に当たり前だが恨まれるよな。


「そうですね、しかしバックパックに入ってる物だけで1ヶ月を生活するのは無理ですから、ここは……」


そうっ私のアホみたいにチートな魔法で……。


(はいっここはユーリとリエリが食料の調達なども任せてくれればと…)


「確かに、私達も今まで多くの人間や異種族やモンスター知識を得てきました、料理などの能力も身につけていますよご主人様」


「ほうっそれは頼もしいですね、しかしユーリには万が一に備えてその存在を隠して欲しいのですが……」


(……ではこの島のモンスターに変身出来る様になればどうでしょうか?)


うーんまぁ私の身は私が守れる、それにユーリも何やら行動したいって事なんだろうな。


魔法については後にするか、ここは好きにさせてあげよう、何か問題が起きたらその時に対処するばいい。


取り敢えずやってみる精神って大事だ。


リスクや根拠の有り無しを理由に、行動を起こすのをモタモタと遅らせる人間じゃこの世界では生き残れないと私は考える。


「フフッではリエリ、ユーリ二人が協力して事に当たるのなら私は何も言いません。但し報連相は忘れないで下さいね?」


(「……はいっ分かりました」)


報連相。報告、連絡、相談だ。

これをしない人は仕事で信用されなくなるからなマジで大事だよ、例え何か失敗してもちゃんと伝えるってさ、シンドイのも知ってるけど頑張ろう。そっちの方が後が絶対に楽になるから。


………まぁそもそも上司が部下とちゃんと人と人との関係を築く努力をしていれば口酸っぱく何度も言わなくても部下も言うことを聞いてって。私がいた会社とは別のずっと大きくて立派な会社で働いていた立派な人(高校時代の先輩)が言っていた。


相手の意思を蔑ろにして言うことを聞かせようなんて考えは態度に出てしまうってさ。


あの先輩に倣うことは多かった私だ。今回も倣うとしよう。


そして私は二人を見送った。


「……後は勝手に自分達の住む場所をつくる訳にもいきませんし、どこか使える場所がないかを村の人に聞くとするか」


時刻ももう少ししたら夕方になるし、少し急ごうかな。


この村って名前とかないのかな、とか考えながら村を歩く、本当に個人の家っまぁ一階建ての家が殆どだな、そんなのがあるばかりで人を呼ぶ様な施設の類いはないらしい。


村を歩くことしばらく、すると小学生くらいの男の子と女の子が集まっていて、そこに一人の大人の女性がいた。


「それでは用意をしてくださーい」


「「「ハーーイッ!」」」


青い瞳と紫色の髪をシニヨン(後頭部に髪をまとめてお団子にするヘアースタイル)にしている、歳は二十代前半くらいか?そしてこの女性。まるでファンタジーな学園物とかで教師キャラが着てそうなカッチリしながらも所々に細かい装飾がされた教師スーツみたいなのを着ていた。


お陰で場の雰囲気が青空教室みたいな感じである。


……しかもである、この女性。胸がとんでもないサイズである、メロンだよメロン。私がこの世界で見てきた中で一番の巨乳である。そのメロンがカッチリしている衣服の胸元を押し上げている。何か、色々とアレですな。


そしてこの世界の黒タイツ?をしており、その脚線美とかも最高だ、そしてそのお顔はキリッとしたクールビューティーな雰囲気でこれまた最高にグッド。


学校にこんな先生がいたらと思うととても勉強とか無理だっただろうな。

まぁ先生に見えるってだけで本当にそうとは限らないけど。


………ってかこの女性、耳が尖ってる、まさかエルフか?いやっそれともラノベでウワサのエロフなのか?後者の可能性が高いな。


そんな感じの事を考えながら思わずジロジロと見てしまっていると……。


「………何ですか?貴方は、私に何か用事でも?」


キリッとした切れ長の目に見られると軽くにらまれる様に感じるよな、或いはさっきの全身チラチラがバレているとか?どうかそれだけは違いますように。


とっとにかく会話をする。


「はいっ実は私は冒険者でついさっきこの島に来た者なんです、それでこの村に宿屋の類いがないと知りまして」


「……成る程、確かにこの村には宿屋はありません。またこのラブーンにこの村以外の村もありませんね、私はこの村で知り合った方に泊めて貰っていますが……」


え?この人も島の外から来たのか?。


「失礼ですが貴方も旅の方なんですか?」


「私は最初からこの島の人々に会うのが目的の旅をしてきました、私の話はいいのです。つまり貴方は今夜からの寝床を気にされていると?」


「はいっ……っあいえっと言うよりもですね」


「………?」


「私の魔法で寝床は確保出来るので、少々この村で土地を借りていい場所に心当たりがないかと思いまして……」


「…………はぁ?」


おやっ何故か巨乳美女に呆れられたぞ、何か変な事でも言ってしまったか?。


「…失礼ですが、貴方は魔法を?」


「ええっはい、私は魔法を主に使って冒険者として活動しているんですよ」


「そうなんですか?私には貴方からそこまでの魔力を感じないのですが……」


「魔力ですか?もしかして貴方は魔法の専門家か何かですか?」


「はいっ私はこの国とは別の国、都市国家としても世界に名を知られるあの魔法学園都市で教鞭を取っております。ですので他者の魔力量や魔法の腕を見る目もあるつもりです」


「……そうですか」


ん~つまりこの巨乳美女の見立てでは私が魔法使いだとはとても思えないくらいに魔力量がショボいって話だな。


それは私が自分自身にかけている魔法鎧の魔法のせいなんだよ、あの魔法は外部からの物理的、魔法的干渉をほぼ全て無効化するんだけど……それと一緒に私自身の魔力を外から観測する事も出来なくなるんだよ。


だから私は多少魔力を出して一般人レベルの魔力量しかないように工夫してるのだ、私もその魔力量で相手の力量とか判断するから分かるけど結構その魔力量で判断するって精度高いんだよな。


多分この巨乳美女もそれを知っている、だからその魔力量がショボい私が魔法使いって名乗っているのに違和感を感じたんだ。


……もしくはただのホラ吹きと思われたかもな。


私は美女にいい格好がしたいおっさんだ、けどここで本当は私凄い魔法とか使えますよっとか言うとぶっちゃけスゴくカッコ悪い。


ものスゴくカッコ悪いんだよ。


「その……貴方からはとても魔法使いになれる程の魔力は感じません、もしもモンスターと戦った経験がなく下級魔法でも戦えると考えているなら危険ですので……」


「あっその辺りは重々分かっています、無理だったなら1ヶ月後には退散しますので」


だからここは私が退こうと思います。大丈夫。だって1ヶ月もあるし村も狭いからきっと彼女の前でも活躍出来る機会とかもきっとある……かもしれない。


気づかいの言葉がここで出る彼女はきっと優しい女性なんだな。


「それでは失礼します」


「……分かりました。確か村の中心の方が村人達はいますからそこに行けば話が聞けるかも知れませんよ」


すると彼女の回りにいた他の子供達が口々に私に話かける。


「この村で知りたい事があるなら村長に聞いたら?」「私もそれがいいと思うなぁ」「この村なら魔法が得意な人が多いから魔法を教えて貰うの?」「魔法使いなんだよね?」「どんな魔法使えるの?」


……なっ何故か私に子供が群がるんですけど、何でだよ、私はロリコンでもショタコンでもないから何も嬉しくないんですけど。


別に子供が嫌いとかでもないのであしからず。


すると巨乳美女が一言。


「はいはーい、魔法の授業の途中ですよ?」


「「「「「「はーーいっイオ先生!」」」」」」


「なっ!だから私の名前はイオリアだと言ってるでしょう!?ちゃんと名前を呼びなさい!」


「「「「「「はーーいっ!」」」」」」


……そういやこの巨乳美女、教鞭を取ってるって言ってたな、本当に教師だったんだ。


しかし別の国ってさっき言ってたよな?まさかこの島に来たのは先生として島の子供達に魔法の授業をするために?。


本当にそうならこの人、いやっエルフかな?とにかくこのイオちゃんって凄い女性なのかもしれない。


「それでは私はその村長のお宅に向かって見ます」


「分かりました、村の中は安心ですから」


「「「「「「バイバイおじさ~~ん」」」」」」


おじさんはやめて……事実だけども。


私はこの島に来てエレナちゃんやイオちゃんみたいな美女に立て続けに会えてテンションが爆上がりだったのに、そしてションボリした私は村長のお宅とやらに向かって歩く。


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