第4話 花束に誓って

 空は青かった。


結婚式最後のイベントを知ってるだろうか?ブーケトス。女性が取ると次に結婚できると言われる習わし的なやつのイベントだ。


 僕たちは教会・・・もとい結婚式場の外に繋がる扉を開くとそこには、青く澄んだ空が真っ直ぐにそして祝福をするような瞳を向けるかのように僕たちをたくさんの人たちが迎えてくれた。

「す、すごい・・・」

「た、確かに。わ、私たちの結婚をこんなに祝ってくれるなんて!」

「う、うん。それにそれが全部笑顔で包まれているっ!」

「私たちは、たくさんの人に笑顔を与えて、私たちは周りの人から幸せを貰ってたんだね。いつのまにか。」

「そうだね。僕たちは幸せを貰っていたんだ!まだなにもなかった子供の頃から今は幸せを与える立場になってたんだ・・・」

そう言って、その景色を2人で見渡す。その時の姿は多分とても笑顔なんだろう。


 全てが暖かい。それを強調するかのように風は幸せを運んでいくように僕たちは最後のイベントに入っていく。

「言葉は伝えるモノなんだ。」

「?急にどしたん仁也。」

「カエデ、今の状態が始まりなんだね。僕たちの結婚生活は。」

「う、うん。そうだね。私たちの生活は今ここから始まるんだね。」

「だからさ、言葉はあるのかななんて?」

「ねぇ、回りくどいことはいいからさ教えて?」

「そうだね。僕たちはなんで言語をもって生きていると思う?」

「うーん、伝えようとするため?」

「うん、そうだよ。だからさ。僕たちは今ある言葉は人に伝えるためなんだ。それは傷つけて、いじめるために使うんじゃないんだ。」

「うん、そうだね。」

「それは、きっと幸せを掴むために使う言葉。そして場を和ませる言葉とか暖かくて・・・そして、愛を伝えるためにあるのかな?」

「!?そ、それって・・・」

「そういえば、僕は恥ずかしくていつも受け身だったから。今日から変わるね。


・・・愛してるよ。カエデ。」

その言葉が言えた時、式場の鐘は響出した。


「わ、私もあ、あ、愛してるよ。し、仁也。」

「うん、ありがとう。」

「っ!?ほんっと、ずるすぎ。なんでこういう重要な時にいつもさぁ・・・」

「ん?なんか言った?」

「ううん、なんでもないよ・・・バカ。」

「そっか。」

そんな、話が少しだけ続いていった。


 鐘は鳴って女性たちが階段下に集まり始め着々とブーケトスの準備が始まっていった。そして、投げる準備を僕たちは始める。

「これから、なにがあっても」

「迷って、喧嘩したり違えようとしても。」

「それが全ての結果が」

「幸せで暖かいそんな日常になることを」

「健やかな時を過ごして」

「少しでも愛を育み、周りにそれが祝福されるくらいの」

「言葉を送りたいと願えるくらいの」

「幸せを願って」

そこから、カエデは花束を空高く投げた。


 今ある言葉は、冷たくて怖くて嫌なことばかりある。でもそれだけじゃないんだ。伝える言葉は暖かくて和めるモノだって沢山ある。宝物のようにそれが隠されているだけなんだ。だからさ、捧げよう。幸せだって思える人生に添い遂げられると信じれる人にアイコトバを送ろう。そうすれば安らかな時間が流れていくと僕は信じたい。

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アイコトバ くうき @koooodai

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