第2話 一つに重なる
「それでは誓いのキスを。」
神父の声と同時に僕はカエデが纏っているベールを静かに捲り上げる。そこには、白い雪のように、その中に林檎のように赤く染まった彼女が微笑んで僕を見る。
「仁也、これからもよろしくね。愛してるよ。」
そんな囁きに僕は
「僕も愛してるよ。これから一緒に歩んで行こう。」
そう言って優しく唇に口づけをした。はぁ〜こんなに大勢がいる中でキスするなんてこれが最初で最後なんだなんて少しだけ達観した。
「ふへへへっ!」
「だ、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ〜少しだけ幸せの余韻に浸ってるだけだから。」
「そ、そう。ならよかった。」
僕は安堵しながら胸を撫で下ろす。
「どうしたの?」
と、僕の顔を下から覗き込むように彼女は見てくる。そんな不意打ちに顔を赤らめて僕は
「な、なんでもないよっ!」
と、少し誤魔化すように僕が言うと彼女ははいたずらをする笑みで
「ふ〜ん・・・ホントかなー?」
と、からかってくるカエデに僕は全身を真っ赤にした。
「披露宴ってこんなにも大変なんだね〜」
「うん、そうだね。」
「でもさ、楽しいね。」
「そうだね、それに・・・」
「うん?」
そう言ってカエデは小首を傾げて少しだけ不思議そうに僕を見つめてくる。僕は彼女の耳元に近づきそっと呟くように
「それに、僕はカエデの可愛い姿を見れて嬉しいよ。だからこれからも・・・よろしくね。」
「っ!?!るふんぎやわあまほ、、」
と、なんか囁いたら声にならない叫びと顔からポンッ!と言わんばかりに顔が赤く染まった。
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