アイコトバ

くうき

第1話 少しだけ

 僕、桂木仁也(かつらぎしんや)は高校から付き合ってる彼女、未空カエデと結婚式を挙げる。そんな僕たちの結婚式でお披露目する前のちょっとした会話だ。


 「はぁ〜ヤバイねこれ仁也。大丈夫?」

「だ、だだ大丈夫だ・・・よ?」

「うわっ、もう、だいぶ顔色悪いじゃん!」

「はははっ・・・久しぶりだしねこんな、人気の多いところは。」

そんな、顔を青ざめているところを彼女に見られて、僕は今できる精一杯の笑顔をするだけで大変だった。


 「はぁ、何気に付き合ってもう5年か〜」

「ちょい、なんでそこでため息吐くん?」

「いやね、カエデと3年の秋に付き合ってもう、こんなに経ったんだなーって。だいぶ待たせたね。」

そんな、僕の言葉にカエデは重ねるように

「うん、待ったよ。たくさん待ったよ。」

「ありがと、待っててくれて。」

そんなしんみりした空気が漂う。

「「・・・・ぶぷっ!あははっ!!」」

そんな僕たちは今日のために着ている服、つまり僕はモーニングコート、そしてカエデはウエディングドレスを着ておめかしもしている。それは僕も同じだ。そんな中で緊張なんて忘れるくらいに笑い合った。

「あ〜、もうさ仁也少しは考えてよ!それは披露宴中に言ってくれればいいのに・・・」

「なんでだろうね、僕は今言いたくて仕方なかったんだよ。」

「ふふっ!なにそれ、変なの。」

「変で結構!それだと、カエデも十分変人だよ。」

「なにそれ〜それが今から結婚する相手に言うセリフ?」

「確かにね。それでも僕は君を愛してるから。」

「さらっと言うね。」

そう言って彼女は無邪気なでもその中に少し頰を桜色に染めた笑顔で僕に返してくる。そんな会話をしているとスタッフ人から準備が整ったので言われ、僕たちは抱きしめ合って一旦離れて、僕は静かに持ち場に向かった。

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