第2話 家族
「ここが俺の家」
小さなアパートの102号室、築40年なので今にも壊れそうだ。
「よもぎ荘」
「そう、よもぎ荘」
「未来にもあった気がする」
「そういえば、未来って何年後なの?」
「10年だよ」
「10年!」
タイムマシンはそんな近未来にできるのか。もっと100年ぐらい先だっと思っていた。
「そういえば自己紹介忘れてたな。俺の名前は吉田浩平。お前の名前は?」
「私は神崎詩織、よろしくね」
「おう、よろしく」
鍵のかかっていないドアを開け、家に入る。
「ただいま、ばあちゃん」
「おかえりなさい、こうちゃん」
いつものように優しく出迎えてくれる祖母。だが今日は一人人数が多いことに気づく。
「後ろの女の子は誰だい」
「こいつは未来人の詩織、今日からここに住むからよろしく」
後ろを振り返ると彼女は驚いた顔してこちらを見ている。
「ちょ、ほかにもっとないの?未来人なんて言っても信じてくれるわけないじゃない!」
「あら、それは大変ね」
「信じるのかよ!」
ツッコミを入れる彼女の姿は様になっている。
「俺の部屋、奥だから、ついてこいよ」
「う、うん」
「ここが俺の部屋」
二畳半の狭い空間に、一畳の押し入れ一つ。とても窮屈な部屋だ。
「俺の家は居間とこの部屋しかないんだよね」
「じゃ私どうしたらいい?」
「うーん」
俺は頭を抱え悩むしぐさを取る。
「そうだ!押し入れ使っていいよ」
「わたしはドラエモンか!」
鋭いツッコミが入る。
「じゃあ、俺の隣に寝るか?」
「いやそれは勘弁」
そのツッコミにはさすがに腹が立つが、ぐっと堪え次のボケに転じる。
「俺が押し入れに寝るわ」
「それが一番いいわね!」
出会ったばかりとは思えないほどの生きぴったりのボケへのツッコミ、彼女はお笑い芸人なんだろうか。
「布団用意しとくからさ、シャワーでも入って来いよ」
「シャワーあるんだ」
「うん、玄関の前に右と左にドアがあっただろ、右がシャワーで左がトイレだから」
「わかった」
彼女はシャワーのある方向へと歩いていく。
「おばあちゃん、シャワー借りますね」
「わかったよ」
ばあちゃんは優しく彼女の頼みを承諾する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます