06
彼が走っている間。
日記をつけることにした。
走り終わった彼。
こちらに向かって歩いてくる。
「走っているのを見るのが、そんなに楽しいものなのか?」
どうやら、彼は走っているあいだ、私のほうを見ることはないらしい。
「たのしいわよ。ひっしそうに走ってる顔とか、だんだん落ちていく速度とか」
「そうか。そういうものか」
日記をつけていたことは、黙っていた。
「あ、脚が」
筋のところが赤く張っている。
「あ?」
「ちょっと。そのまま。見せて」
彼の脚。熱を持っている。
「ちょっと待ってて。氷持ってきてたかな」
「おい。何をする」
「冷やして、テーピング。足がいたくなったら、いやでしょ?」
「そりゃあ、まあ、そうだが」
「あったあった。飲み物の氷だけど」
「つめてえな」
「ちょっとがまんしてね?」
彼の足に、テーピングを施す。
「ありがとう」
「いえいえ」
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