第一話 再会
時は遡り、四月…ぼくは高校一年生になった。
通っている高校はもちろんある少女と約束した高校。
ぼく、唯咲(ゆいざき) ようがある少女に会う為に今日まで頑張ってきた成果だ。
今日の入学式に出会えたら良いなと思いながら過ごしていた。
…おかしい。
この高校に合格した後に別のクラスに彼女の名前がある事を確認したのに今日一日姿を見てない。
入学式も終わってみんな家に帰ろうとしている。
彼女が帰る前に会わないと。
ぼくは校門の前で彼女が通るのを待つ事にした。
…これって側から見たらストーカーなんじゃ…?
しばらく待っても通らないから諦めかけたその時彼女と思われる人が通り過ぎた。
ぼくは急いでその人を追いかけて「かなえちゃん…?」と聞くと、その人は「…もしかしてようくん?」と聞き返してきた。
「かなえちゃん、久しぶり。かなり大人しめになったね。」
「…地味だよね。今時、黒い色の長い髪なんて。」
「いや、そんな事はないよ。小学生のからは男の子の様な格好していたから驚いただけだよ。」
「…ふ〜ん、そんな事思っていたんだ。」
「あ、ごめん。怒ってる…?」
「別に気にしてないよ。私もその頃は男の子の様に活発的だったなと思っていたから。」
久しぶりに会話したけど本当にその頃と比べると大分変わったなぁ。
今は本当に話し方も雰囲気も大人びている気がする。
…中学校で何かあったのかな?
「あ、ほら…周りの邪魔になってるから歩きながら話そう。」
「う、うん…。」
帰り道、いざ彼女と話そうとしたら頭の中が真っ白になった。
本当に彼女と会うまでに色々あったからなぁ。
ある少女こと彼女の名前は葵(あおい) かなえ。
小学生の時に一緒の高校で会う約束した幼馴染み。
その時は男の子とぼくと遊ぶ子だったんだけど…今は女の子と遊ぶ子だと思ってしまう容姿をしている。
「あの、ようちゃん…。」
「な、何?」
急に話しかけてくるから変な声で返事していた。
「?…お姉さんはどうしてるの?」
「あ、姉ちゃん?姉ちゃんとはまた一緒に住んでるよ。」
「そ、そうなんだ…。」
ぼくには一つ上の姉がいる。
姉の名前はゆう、ぼくとは違う高校に通っていてスタイリストを目指している。
「そうだ!久しぶりに家に来なよ。みんな会いたがってると思うから。それにかなえちゃんは今の容姿気に入ってないみたいだし、姉ちゃんに頼んでみれば?」
「えっ…?えっ…!?」
「よし、そうと決まったら姉ちゃんに頼んでみる。日にち決まったら連絡するからID教えてよ。」
「う、うん…。」
「…よし。じゃあ、土日のどちらかになると思うから楽しみに待ってて。じゃあね。」
「うん…じゃあ。」
かなえちゃんと別れてしばらく歩いてから気づいてしまった。
かなえちゃんとぼくの家でまた会う約束をする事ってあり得ない事なのでは?
久しぶり会ってしまったせいなのか小学生のノリに戻ってたんだろう。
…これはとんでもない事をしてしまった!
この恋はかなえよう 迷人 @meizin
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