第3話:条件闘争
「どうです、父上、母上、私が調べさせた通り、最高の令嬢ですよ。
これだけ頭が切れるなら、私達で仕込めば、ソラリス侯爵家を支える侯爵夫人になってくれますよ」
私の推理と返事は、チャネラル卿の予想通りで、彼の条件を満たしたようです。
彼は事前に私を十分調べた上で、自分達の条件にあった政略決婚の相手として、評価してくれているようです。
でも、完全に思い通りに動くのは癪ですね。
「では、最高の令嬢にどんな条件を示してくれるのですか?」
私はできるだけ相手の考えを探ろうとしました。
「早速条件闘争、それもこちらの上限を探りに来たね。
その点は私も評価してあげるけど、でもそう簡単に教えはしないよ。
チャネラルが教える気でも、私には教える気はないんだよ」
ややこしいですね、今度は女傑マルガネラ夫人が相手ですか。
まあ、貴族の条件闘争ですから、そう簡単にはいかないですよね。
「では、分かっている事、決まっている事から話しましょう。
私が愛人との間に子供を作るのはいいのですね?」
チャネラル卿と侯爵は無表情、マルガネラ夫人がわずかに表情を歪めた。
先にチャネラル卿が認めてしまっているから、マルガネラ夫人も嫌々ながら認めるという事ですね。
「ソラリス侯爵家の人間とは認めないよ。
アンタと愛人との子供だと公表して、絶対にソラリス侯爵家とは関わらせない。
それでもいいのなら勝手に生みな」
チャネラル卿と侯爵は黙ってうなずきましたから、私は愛する人との間に子供を作ることができる、これは私の勝ちと言うべきか、チャネラル卿の温情ととるべきか?
「では、その子供の待遇ですが、ソラリス侯爵家の陪臣として取立ててもらえるのですか、それとも領民として金や土地を与えてもらえるのですか?」
「なに図々しい事言っているんだい、あんたと愛人の子供を、ソラリス侯爵家が陪臣に取立てる必要もなければ、金も土地もくれてやる義理はないよ。
アンタと愛人で何とかするんだね!」
「だとしたら、私は子供のためにも、相当な台所領と給与と一時金を、要求しなければいけませんね」
「何だって、図々しい奴だね、自分の今の立場を分かっているのかい?
下手をすれば王都の貧民街で売春婦をさせられる瀬戸際なんだよ。
犯罪者ギルドの取り立てに怯えることなく、奇麗なドレスが着れて、美味しい食事が食べられるだけでも感謝してもらいたいね!」
「私にも覚悟があります。
レイノルズ伯爵家の家名を残して私も幸せになるためなら、両親と兄を殺して、借金の肩代わりを条件に婿を迎える事もやってのけますよ。
犯罪者ギルドでも悪徳商人でも誰でもいい、伯爵の地位を手に入れられるのなら、貴族殺しも辞さない、金も惜しまない者はいるのではありませんか?」
さて、私のハッタリにどう対応してくるのでしょうか?
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