第2話 おまけ・アンジェリカ視点
──舞踏会が始まるちょっと前。
宮廷魔法師団長、アンジェリカは悩んでいた。
それは、今日の舞踏会は王子が花嫁を見つける為に開催されるのだと云う噂を耳にしたからだ。
アンジェリカは王子がずっと好きだったが、身分柄あまりにも一緒に過ごす事が多かったからか、自分が王子に異性として見られていないのをよく理解していた。
だから王子は自分以外のご令嬢を選んで結婚するのだろうな……そう考えると、舞踏会に行きたくない気持ちが止まらなくなってしまったのだ。
しかし今回、何故か王子からドレスを贈られてしまった。今まで散々世話をしたお礼だろうか? それともお前もこのドレスを着て誰か良い男を見付けろと言いたいのか……。
魔法には精通していても、恋愛はさっぱりのアンジェリカには全く王子の考えがわからない。
そうして舞踏会をサボるべきかと悩みながら、仕事ついでにうろついていた時、すごく羨ましそうな目で王宮を見ている少女を見掛けたのだ。
手が届かないものなのに、それでも憧れ、欲してしまう──そんな瞳をした少女が、今の自分と重なったからかもしれない。
アンジェリカは思わず少女に声を掛けていた。
「可愛いお嬢さん、舞踏会に行きたいのかい?」
──結局、素直そうな少女の見た目に騙されたアンジェリカは、舞踏会に参加出来ず仕舞いだったのだが。
「でも、王子がどこぞの令嬢を選ぶ場面を見ずに済んだんだし、これでいっか」
ポジティブなアンジェリカはそう思考を切り替えた。──翌日、超不機嫌な王子と合う事になるとは思いもせずに。
そして登城してみると、いきなり呼びつけられて事情徴収されてしまった。あの時の王子は本当に怖かった……。
──アンジェリカがそんな事を思い出していると、王子がふいに問いかける。
「大方、俺がどこぞの令嬢を選ぶ場面を見ずに済むとか何とか考えていたのだろう?」
「ぐっ……!」
アンジェリカの反応を見て、アンジェリカの気持ちに確信を得た王子は、その端正な顔にふわりと優しい笑顔を浮かべた。
「俺が小細工などせずに直接告白すればよかったのだな」
そして王子は椅子から立ち上がると、アンジェリカの前で跪き、もう一度告白をする。
「アンジェリカ、愛してる──俺と結婚して欲しい」
王子の真剣な顔に、アンジェリカは花が咲いたような笑顔で答えた。
「はい、喜んでお受け致します──殿下」
──その後、王子と宮廷魔法師団長のアンジェリカは結婚した。
生まれた子供達はアンジェリカに似たのか魔力が総じて高かった為、国を挙げて魔法研究に取り組んだ結果、世界でも有数の魔法国家となり、末永く繁栄する事となりましたとさ。
* * * あとがき * * *
お読みいただきありがとうございました。
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「想いが通じる5分前(恋愛)」応募作品です。
メン×コイ
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色々と間違っているシンデレラ デコスケ @krukru
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