ごきげんよう!
前話で、サム先生が自分の恋に決着を付けよう、失恋しようと思っていた意味がようやく分かりました。
涼子様をフォローし治療するという事は、恋敵への献身を余儀なくされるという事。
元より形の上では終わっていた恋人関係とはいえ、意識せずにいられる訳もない。
サム先生の人間性というか、職業倫理が治療を続けるなら必要な事と、心を殺す必要があったんですね。
とはいえ、艦長のベッドの中に入ろうとする辺り、心を完全に殺せてないみたいですが。
癒しを求めずにはいられない行動だったんでしょうかね。
作者からの返信
ごきげんよう、海雀さま。
いつもたくさん丁寧に、じっくりと深くまでお読み下さり、温かな応援やコメント、本当にありがとうございます。
はい、恋心、彼への未練と、医者としての矜持、患者を救わねばならないという思い。
ただその患者が未練を残している彼の恋人。
けれどそれでもサマンサは、医師である自分の全身全霊をもって、そして同時におんなである自分の恋心を削る思いで治療にあたってきました。
だけど気持ちは溢れてしまって、時に彼とは「別れた時」以来、性差を考えさせない悪友的な感じで接してきたこともあって、もう心はぐちゃぐちゃに乱れてしまっていたことでしょう。
艦長はというとベッドにもぐりこもうとする彼女の態度を、以前と変わらない友人としか見ていないのが、サマンサには悔しかったかもしれませんね。
引き続きお楽しみ頂けますならば、こんなに嬉しいことはありません。
ご機嫌よう、お邪魔致します。
艦長に対する、恋心と未練に対する惜別のように、
今からそれを死なせて「あげる」為かのように
艦長に身を寄せるサム先生に、涙を堪え難い自分がいます。
作者からの返信
ごきげんよう、水棲虫。さま。
いつもたくさん、丁寧にじっくりとお読み下さり、温かくお優しい応援やコメント、本当にありがとうございます。
サマンサの為に泣いて下さって、本当にありがとうございます。
サマンサはこの物語の登場人物中、一、二を争う、私が大好きな女性。
涼子の主治医となって、彼女の魂を癒す、その「職務」をサムはどう思って、どう感じていたか。
別れたけれど、でも誰のものにもならないと思っていた彼の心が、とうとう別の女性に移ってしまった、そしてその彼女を助けなければならない自分、きっと血を吐く想いで、涼子とのカウンセリングをしたと思います。
そして何よりも、誰よりも誠実に、涼子に接したと思います。
そんな彼女が、今、涼子をサナトリウムに送り出した後で艦長の病室を訪ねた真意は、もう本当に水棲虫。さまの仰る通りで、自分の想いを殺さなければ、恋に死を与えなければという一心だったことを想うと、もう書いていて、艦長の馬鹿なんでこんなイイ女と別れちゃったのと泣けてきて仕方なかったことを思い出しました。
引き続きお楽しみ頂けますならば、こんなに嬉しいことはありません。
母親であり姉のようでもある温かさ。サマンサ・ワイズマンという一人の女としての投げかけとはいえ、さすがは医師と言わしめる「おやすみ」の一言です☆
作者からの返信
ごきげんよう、愛宕さま。
いつもたくさん、丁寧にお読み下さり、温かくお優しい応援やコメント、本当にありがとうございます。
サムに心を寄せて下さり、嬉しいです。ありがとうございます。
この時の彼女の胸中、おんなである自分と医者である自分が鬩ぎあっていたことと思います。
そして対する涼子へも、患者として接するのか、恋敵として接するのか、とも。
けれどやっぱりサムは、医者としての自分しか、今この場にいて涼子に向かい合うしかないのだと、覚悟を決めて臨んだのだろうな、と。
涼子も、そんなサムの覚悟を、どことなくであるでしょうが感じ取ったのだと思います。
引き続きお楽しみ頂けますならば、こんなに嬉しいことはありません。
サムの献身的なカウンセリングが有り難いです。
彼女も思うところがあるはずなのに。
ここは、涼子さんの症状に対する途中経過の回だと思いますが、サムと涼子さん、精神的に脆い人間と、強く、自分で制御できる人間の対比がなされていて、そこに大きな意味を感じました。
作者からの返信
ごきげんよう、悠木さま。
いつもたくさん、丁寧に、じっくりと深くまでお読み下さり、温かくお優しい応援、コメントを、本当にありがとうございます。
サムの献身は、もちろんひとりの医師として、ということもあるでしょうが、やはりサム自身の人間性と、涼子という人間への愛情がベースとしてあり、そして心のどこかで、小野寺への愛情が(無意識かもしれませんが)影響していると思っています。
サムと涼子の対比についてご考察下さり、本当に嬉しいです。
このシチュエーションでは、医者と患者というある種一方的な関係で描くのではなく、サムというひとりの大人の女性が、傷つき心を痛める涼子を癒す場面を描きたかったのです。そしてその癒す側のサムが、実は恋に破れて傷ついている、そのアイロニーが滲み出れば、と。
以前書いたかもしれませんが、恋が成就したカップル以上に、その陰で恋に破れた哀しみを胸に抱く人物への感情移入が大きい私にとって、サマンサを、なんとかきちんと失恋させてあげなければ、という使命感に突き動かされて以降の物語は進展していきます。
よろしければ、あともう少しお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。
すべてもともと知っていたうえで涼子を愛していた艦長、これは読者から見ても彼が勝者ですね(マヤに対して)。
勝ち負けではないけれど、彼が涼子と結ばれるのが、納得の展開です。
読者に対しても涼子の過去がここまでのものだと隠されていた展開がうまいです!
ごく初期からレイプされた経験があることは分からせつつ、次第に首謀者が伯父でありその家族が離散し(というか実際にはもっときつい結末でしたが)、さらに撮影が繰り返されたうえ、涼子が殺人まで犯していたという衝撃の事実が分かる。
それを実は、小野寺さんは初めから分かっていた、その上で愛していた、という事実が明かされる――構成のうまさが光っています!!
作者からの返信
ごきげんよう、綾森さま。
いつもたくさん丁寧に、じっくりと深くまでお読み下さり、温かな応援やコメント、本当にありがとうございます。
はい、涼子の過去の真実、全てを知った上での小野寺さんの想い。マヤさんには酷だったかもしれませんが、ふたりの愛情の深さを、きっとこの時点のマヤさんなら、哀しみとともに受け入れることができただろうな、と思っています。
この、冒頭から薄っすらと見え隠れしていた「事象」が、そのうち輪郭がぶれだして違和感が漂い始め、それに伴って徐々に新しい事実が見え始める。
このサスペンス的な語り口が個人的にはやりたかったのですが、書き始めてみるとどこまで隠すか、どこまで明かすか、どこに嘘があり、どこで真実が晒し出されるか、この加減が判らずに何度も書き直したことを思い出しています。
そこを綾森さまに丁寧に拾い上げていただき、その上感激の素敵なコメントまで頂けるなんて。
素晴らしい読者様と出会えて、本当に私も、この物語も幸せ者だなぁとしみじみ喜んでいます、本当にありがとうございます。
引き続きお楽しみ頂けますならば、こんなに嬉しいことはありません。