第4話 真実
ある日の事だった。
「…んー」
ふと目を覚ます私。
「きゃああっ!」
「うわあぁぁっ!」
ドサッ
私のベッドに男の子の姿に驚き、男の子が床に落ちた。
「いってーっ!」
ドキッ
「えっ!? 速水ぃっ!?」
「えっ?」
振り返る速水。
「どうして俺の名前……」
「えっ? あっ……」
私は布団を被る。
「部屋間違っていますっ! 早く出て行って下さいっ!」
「……つーか俺の質問に答えろよ!」
「早く出て行けっ! 警察呼びますよっ!」
「はあぁぁぁっ!?」
「……お願い……」
私も突然の事でパニックになってるのもあり何も答えたくないし答えられない。
それにまだ知られたくなかった。
名前を呼んだ以上は速水も後々、気付くだろう?
時間の問題だ。
「……分かったよ……」
「……ごめん……なさい……」
~速水 玲 side ~
「俺の名前を知ってるって……どういう事だよ……」
俺は疑問に思う中
俺の事を知ってる奴は
彼女しかいないと ――――
いつも言い合っている彼女・津谷 蓮霞だ。
だとしたらあれだけ申し分のない容姿を隠す理由が分からない。
一瞬とはいえ彼女は申し分のない美人系だった。
過去に何かあった?
それが一番
妥当の理由だろう……?
「つーか……隣人!?」
俺は、まさかの意外な真実に驚くしかなかった。
彼女は姉もいない、ひとりっ子は情報済みだ。
現在、一人暮らし。
じゃあ、この前の女の人は同一人物。
ただ容姿が違っただけだという事が明らかになった。
そんな私は速水 玲が私の事を色々と知ってる情報だけで私の存在を知った事など知るよしもなく ―――
ある日の朝の事 ―――
「おはようさん。津谷 蓮霞さん」
「おはよう、速水」
「なぁ、お前彼氏いんの?」
「彼氏ぃぃっ!? いるわけないじゃんっ! つーか急に何?」
「いないんだ。まあ、その容姿じゃ無理か」
「分かっておきながら聞くのっておかしくない? どうかしてる」
「じゃあさ、一回出かけね?」
「はっ? 出かける?」
「フレンドデートしようぜ!」
「どうして?」
「良いじゃん! その容姿が気になるなら眼鏡掛けなきゃ出掛ける位良いだろう? お互いの友達連れて遊びに行こうぜ!」
「やだ!」
「どうして?」
「行きたくないっ! 第一、私を誘う理由が全然分からないんだけど!?」
「……じゃあさぁ~選択しろよ!」
「えっ?」
「過去に何があったかを話すか、俺と出掛けるか……この2つの選択肢から選べよ!」
「何それ! 大体、あんたに過去の事を話さなきゃならない訳? それに出掛ける理由が分からないんだけど!?」
エレベーターを降り先に歩き始める私の手を掴み引き止めると、グイッと壁に押し付け行く道を塞がれた。
ドキッ
突然の出来事に一瞬恐怖になる中、胸が大きく跳ねた。
「眼鏡掛けなきゃ誰もが認める美人系のくせに俺が気付いてないとでも思ったか? 津谷 蓮霞」
ギクッ
≪バ、バレてるぅぅぅっ!≫
≪何で??≫
≪いつバレた?≫
「…えっ!?」
「俺も最初は気付かなかったけど……ここ最近、偶然にお前と接する色々な出来事が重なり過ぎて……」
「………………」
「……眼鏡掛けてる理由あるんだろう?」
トクン……
初めて見る彼・速水の優しい対応と優しい眼差しに胸がざわつき胸の奥が小さくノックした。
「……それは……」
「だったら、それを話せば出掛ける理由はねーけど、話したくないなら出掛ける迄。違うか?」
「わ、分かったわよ! 正直まだ話したくないから出掛けてやるわよ!」
「ヤッタ!」
ドキン
無邪気に喜びガッツポーズをする速水の姿が何故か可愛く見えて私の胸が大きく跳ね、ざわついた。
私は速水を押し退け歩き始める。
「それで眼鏡はどうするんだ? 津谷?」
私の隣に来て尋ねる。
「掛けない方が良いんでしょう?」
「出来れば。つーか……あれだけ美人ならその方がお前の身の為だろう? その容姿で出掛けるよりも」
「えっ?」
足を止める私と向き合う速水。
「後、このお下げ髪もな」
ドキン
そう言うと微かに微笑むと至近距離で言いながらも私のお下げ髪を軽く両方持ち上げた。
「だって眼鏡掛けてなくて髪おろしてる時のお前俺のストライクゾーンだし」
ドキッ
意外な言葉に胸が大きく跳ねた。
「えっ?」
「だから出掛けたいのが俺の本音」
「速水」
「予定、友達にも聞いといて。俺も友達(ダチ)に聞いてみるし。また連絡する」
「分かった」
私達は話題を変え学校に向かった。
そして、私は果緒瑠に尋ねた。
果緒瑠から、オッケーの返事を貰い私達は出掛ける事となった。
当日 ―――
私達は男女別行動で待ち合わせに向かう。
待ち合わせ場所は遊園地だ。
速水と速水の友達・弥上 榴馬(やがみ りゅうま)君
私がお下げ髪している女の子と気付かず、聞いた時は、かなり驚いていた。
私達は一日を楽しんだ。
その日の帰り速水と私は一緒に帰る。
「今日はサンキュー」
ドキン
微笑む速水に胸が高鳴る。
「別に」
「だけど、本当もったいねーよな」
「えっ?」
「それだけ美人でさ、眼鏡掛けて真面目女子演じて……俺、本来ならすぐ告るけど眼鏡女子のお前を知ってるから告れねー」
「悪かったな!」
「それにまだ理由聞いてねーから」
「えっ?」
「俺がもし、一目惚れして付き合いたいって、今、マジ(本気)告しても、お前は多分……断る……」
ドキッ
驚きとズバリ本心を見透かされたように胸が大きく跳ねた。
「……だろ?」
「……速水はお見通しだね……」
「何故か不思議とお前の心を詠(よ)めている俺自身が正直こえーよ」
私は笑った。
私達の関係は何も変わらず普通に毎日を過ごしていた。
だけど
私の心に変化が訪れた時
私達の関係は大きく変わる
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