第一章第十八話「画蛇添足」

身体は、硬い甲羅に覆われ、そこから鳥の翼が生え、虎の牙と龍の爪……

(第一章第十七話より抜粋)

先ほど倒した龍が出した黒雲からの雷を動力とし、底なしのエネルギーを持っているというのに、こちらは、フリードリヒ2世が抜け、皇帝ネロ・海賊ドレーク・判官チンギスハンのみ……絶望という言葉がこれほど似合う状況はない。

(第一章第十七話より抜粋)


ネロが、岩の身体で盾を作り出し、歩を守り、

ドレークが、水の身体で雷の方向を反らし、エネルギー源を絶ち、

チンギスハンが、木の身体で周辺の木々を操り蛇のロボット兵士を縛りあげる……

が、決定打がない。

当の歩も、フリードリヒ2世を失ったことに、未だにショックを受けている。

緊急事態だったとはいえ、自分のせいで、フリードリヒ2世を蛇に奪われたのだ……使い方次第では、ロボット兵士を全て倒し、文明の復元もできたかもしれないというのに……


面白いゲームだったが、ここが限界か……


そのとき、蛇のロボット兵士が、歩への攻撃を止めた。両手を天に掲げ、黒雲を消し去り、動きを止めた。

「さあ早く!攻撃するのですよ、お嬢さん!」

フリードリヒ2世が、蛇のロボット兵士の支配を振り切り、一時的に無防備な状態を作り出していた。

歩が、その言葉に小さく頷くと、蛇のロボット兵士に、

流星のような岩の雨、洪水のような激しい水流、枝をしならせた鞭の攻撃が、当たった。

瓦解していく蛇のロボット兵士、

盗みとっていた虎・鳥・龍・亀のコアとともに、蛇の魔物の魂……蛇のコアも抜け落ちていく。

回収されていくコア……蛇のコアも、厳重に管理するため、ネロが、岩の箱の中に、封じ込める。

コアとともに落ちるフリードリヒ2世の魂塊……だが、それは大きく傷付いている。

歩は、自分の選択のミスがフリードリヒ2世を苦しめたことを悔やみながら泣き、

バラバラになったフリードリヒ2世の身体だった蛇のロボット兵士のパーツとともに、魂塊を埋め、小さな墓を建てた。


だが、歩たちはまだ知らない。

この損失が、人類を危機に貶めることを……

残るロボット兵士の数は、五十八体。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る