ツンデレは時代遅れです

西東友一

第1話 今日の天気は強気

「俺、お前のことが好きだ。付き合ってほしい」

「えっ?」

 私は冗談でしょ?って顔でハルトの顔を見てしまう。


「本気?」

「あぁ・・・ずっと、好きだった」

「へぇ・・・」

 私は髪をいじりながら、目を逸らしてしまう。



 ―――5分前


「この後、どこか寄って行かない?」

「いいよっ。カラオケとかは?」

「いいねっ」

 授業が終わり、帰宅部の私は親友のナギサとこれからの予定を相談をしていた。


「ミサキっ」

 二人で話をしていると、ハルトが話を遮って入ってくる。


「あぁ、旦那が来たよ。ミサキ」

「そんな、違うってば・・・」

 私はナギサの腕を叩く。ナギサはごめん、ごめんと言いながら笑う。

「んで・・・何の用?」

 照れもあって、私はぶっきらぼうにハルトに尋ねる。

(ナギサのバカ・・・)

 

 そう、私はクラスメイトのハルトのことが好きなのである。


 そして、このにやにやした親友ナギサもそのことを知っている。ナギサはこうなってしまう私を『かわいい』なんて言って、よくからかう。


「ちょっと、付き合ってくれないか?」

「えっ?」

 私は『付き合う』という言葉に敏感に反応してしまった。

「小柴先生に呼ばれてて、誰かと2人で来いってさ」

(なんだ・・・)

「私、これからナギサと予定あるから。無・・・」

「あ~っ、私。母親に買い物お願いされてたのワスレテター」

 ナギサが両手を叩きながら棒読みする。


「じゃ、ミサキ。あと、ハルト。ミサキを手伝わせるなら、私の代わりにミサキを送ってあげなさい!」

 ナギサは立ち上がり、自分のバックを肩にかけて、びしっと、ハルトに指を差す。

「おっおう・・・?」

 困惑するハルトと恥ずかしくなる私。そして、ミサキは口パクで私に、

『ガンバレ』

 と言って、そのまま教室から立ち去る。


 残された私とハルト。

「じゃあ・・・頼めるか?」

 さっきまでの勢いがなくなったハルト。

「・・・仕方ないわね」

 私は立ち上がる。

「おっ・・・おう」

「なんで緊張してんのよ?」

 先ほどよりもなぜか緊張しているハルト。ハルトが先に行ってしまうので、私もその背中を追う。大きい背中。


 私はこの背中が好きだ。


 ハルトの顔は、見つめ返されるから恥ずかしくて、ずーっと見れない。

 この背中はずーっと見ていても飽きることはなく、私の心はキラキラした気持ちで溢れる。

「ちょっと、歩くの速い」

 でも、今日はハルトの横を歩こう。ハルトが頼んできたんだし、歩く理由があるのだから。誰かに何か言われても大丈夫———

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