第5話 彼の正体

私は一目惚れをしていた。


サラサラな綺麗な黒髪、すべすべそうな肌に綺麗な目。


めちゃくちゃタイプだ...


「大丈夫?凄く大きな音がしたけど...」


(可愛い、何この子...超可愛いんですけど...)


するとその子は私の顔を見つめて固まっていた。


(え!何この子!可愛いすぎるんだけど!!)


少しして、


「はい。大丈夫です。」


と、冷たく言われた気がした。


(あれ...嫌われてる?私の事嫌い...?)


だとしたらものすごくショックだ...


私の顔を見たくないのかもしれない...


なら、この子が可哀想だ...


そう思い私は、


「良かったぁ〜」


「次からは転ばないように気をつけてね」


とだけ言って帰ろうとしたその時。


「あ、あの!ありがとうございました!その、良ければ、えっと、その...」


彼から話かけてくれた。


ただ話し方がぎこちない。


(あんまり会話が得意じゃないのかな...)


(まてよ...それってすごい可愛くない!?)


なんて事を考えていたら、


「あ、あの、お、お名前、聞いてもいいですか?」


名前を聞いてきてくれた。


(あれ、私の事嫌いではないのかな?)


「あ、そっか!言ってなかったね!私の名前は、葵って言うの。よろしくね!」


「君の名前は?」


流れで聞いてみたけど...大丈夫かな...?


気持ち悪いと思われないかな...?


「ぼ、僕は、陽斗って言います、そのよろしくお願いします」


(良かった...嫌われてはないみたい...)


「うん!よろしく!」


これが、彼と私の初めての会話だ。

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