第2話 彼女の正体

僕は一目惚れしていた。


サラッとした長いきれいな黒髪にクリッとした丸い目。


めちゃくちゃタイプだ...


恋すらした事がない僕が初めて可愛いと、美しいと思った。


「大丈夫?凄く大きな音したけど...」


彼女は心配そうな目で僕を見ている。


美しい。美しすぎる。


僕は返事をしていない事を思い出し、咄嗟に


「はい。大丈夫です。」


と、いかにも陰キャなセリフがでてしまった...


嫌われただろうか、


そんな事を思っていたら、彼女は、


「良かったぁ〜」


と、本当に安心したような声で言った。


「これからは転ばないように気をつけて帰ってね♪」


と言って帰っていきそうだった。


助けてもらったのにお礼すら言えてない!


そう思い声をかけようとしたが...


よく考えてみると、彼女の名前すら聞いていなかったから呼ぶに呼べなかった。


なので仕方なく、


「あ、あの!ありがとうございました!その、良ければ、えっと、その...」


ほら出た、僕のダメな所。


絶対嫌われたな...


最悪だ...


「なぁに?」


彼女は待っていてくれた。


「あ、あの、お、お名前、聞いてもいいですか?」


「あ、そっか!言ってなかったね!私の名前は、葵って言うの。よろしくね!」


「君の名前は?」


「ぼ、僕は、陽斗って言います、そのよろしくお願いします」


「うん!よろしく!」


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