第2話 夢への再出発

「なんだこれ!!!」


 思わず叫んでしまった。


「どうしたんだライト!?」

「大丈夫ライト!?」

「だ、大丈夫だよ」

「本当か?」

「もし何かあったら遠慮なく言ってね?」

「わかった」


 まだ確定したわけじゃないし、このことを話しても信じてくれるかわからないから今は黙っておこう。


「それにしてもこれは一体?」


 スキル 立ち向かう勇気 Lv.1


  詳細 対魔族用の勇者固有スキル


 Lv.1   浄  化 ...魔素に汚染されたものを触れた場合、浄化するこが

              できる。尚、浄化したものには神聖力を与えることが

              できる。

 Lv.2  耐魔素効果小...魔素充満区域、対魔族戦時において指定した1人を 

              魔素から守る。

Lv.10  耐魔素効果大...魔素充満区域、対魔族戦時において最大5人までを

              魔素から守る。

Lv.20   ? ? ?

Lv.30  ? ? ?


「これって勇者の固有スキルなんじゃ?どうして農民の僕なんかに?」


 ふとさっきの出来事を思い出す。


「そういえば長老さんが勇者の時も光ったっていてたな」


 これは神様のミスなのか?いや、いくら神様がミスしたって2つも同時にミスはしないだろう。


「とりあえず村長さんに聞いてみよう」


 急いで家を出て村長の家へと走る。


「どうしたのかしらライトったら」

「だが少しは元気が出たみたいだな」


 もし本当に勇者なんだったら僕は村にいるわけにはいかない。

  

 コンコンコン


「誰じゃ?入れ」

「2度もすみません。お聞きしたいことがあって」

「ライトじゃないか。少しは元気が出たみたいだな」

「ま、まあ多少は。それより気になることがあるんです」

「なんだ?言ってみろ」


 先ほど確認した内容を村長に話した。


「そ、それは本当か?」

「はい。僕も信じれられないのですが」

「ならば今お前は浄化とやらが使えるのだな」

「そのはずですが」


 すると村長は奥の部屋へと入っていき何かを持ってきた。


「これは魔族が使っていたといわれる刀じゃ」

「これが魔族の武器……」


 漆黒のその刀からは、まがまがしいオーラがすごく伝わってくる。


「人間が触れるとたちまち消し炭と化すじゃろう」

「ではなぜ村長は触っても何も起こらないのですか?」

「それは聖水をかけているからじゃ。しかし一時的なものにすぎぬ」

「お前が触れるとこの刀は浄化されるはずじゃ。早速触ってみてくれ」

「わかりました」


 本当に浄化できるのだろうか?

 そんなことを思いながらゆっくりと刀に触れる。

 その瞬間


「っ!」


 まばゆい光が放たれ、刀を確認してみると。


「……変わっているのか?何も変わっていないように見えるが」


 確かに見た目は全く変わっていない。

 だが、明らかにあのまがまがしいオーラが消えている。


[神聖力を与えますか?]


「え?」


 突如脳内で流れてきた。


[神聖力を与えますか?]


 また流れてきた。   

 そういえば、浄化には魔素を消した後に神聖力を与える効果もあるんだっけ。


「はい」


 すると、またもやまばゆい光が放たれた。


「なんなんじゃ一体?!」

「神聖力を与えたんです」


 そう言って刀を見るがそこには。


「何も変わっとらんじないか」

「おかしいなぁ……浄化はできているみたいですが」


 相変わらず、漆黒の刀に変わった様子は見られない。


「そうなのか?とりあえずお前の力は本物かも知らんな」

「ステータスも普通の戦闘職よの倍以上はあるみたいじゃし……」

「とりあえずお前の力はわかった。今日はもう帰って休め」

「わしはその力についていろいろと調べてみる」

「わかりました。今日はありがとうございました」


 急いで家に帰った。


「ただいまー」

「お帰りライト。急いで外に出て行ったけど何かあったの?」

「少し村長さんに用があって」


 このことは村長さん以外にはまだ話さない方がいいだろう。

 

「にしても今日は疲れたなぁ」

「浄化って魔力使うのかな?部屋で確認してみよう」


 部屋に着くとベットに座り込んだ。


「よしステータスを……なんだあれ?」


 机の横に何かある。


「なんだあれ」


 近づいてみてみると。


「え!なんでこんなところに?村長さんの家にあったはずじゃ!?」


 なんとそれは、村長の家で浄化した漆黒の刀だった。


「今すぐ返さないと!」


 そう思い刀を持つが、疲れているせいか足取りが重い。


「村長さんには申し訳ないけど、明日返しに行こう」


 そう言って再びベットに戻った。


「魔力を初めて使ったからこんなにも足取りが重いのかな?」

「ステータスを」

「ライトー!村長さんが来たわよー!」

「え?村長さんが?刀を取りに来たのか」


 急いで玄関へと向かう。


「はぁはぁ、ライト。刀を知らないか?」

「やっぱり刀ですね。さっき帰ってきて部屋に行ったら刀が置いてあったんです」

「お前が持って帰ったんじゃないのか?」

「はい。いつの間にか部屋に。すぐとってきますから少し待っててください」

「待てライト!」


 ん?どうしたのだろうか?


「大丈夫だ。あれはお前にくれてやるよ」

「そんな!もらえませんよ!あれは大事なものですよね」

「きっと刀がお前を認めたんだろ」

「刀が僕を認めた?」

「あぁ。刀は持ち主を選ぶという。きっとその刀はお前を認め、お前に使われるために追いかけてきたのだろう」


 頭が追い付かなかった。

 僕に使われるため?どういうことだ?


「まぁその刀はもうお前にしか扱えんから受け取ってくれ」

「わ、わかりました」


 村長さんが受け取ってくれというのだから、受け取るしかないだろう。


「じゃあそろそろ帰るとするかのう」

「送っていきますよ!」

「大丈夫だ……それよりライトお前王都へ行くのか?」


 ドキッとした。

 この勇者の力が本物かもしれないと思い始めていたころから、これなら王都へ行けるかもしれないという思いもでてきていたのだ。


「正直、この力がありますし王都にはいきたいなと思っていました…」

「やはりそうなのか……」

「やっぱりそんなの許してくれませんよね。第一父さん母さんが許してくれませんし……」


 そうだよね。

 いくら力を手に入れたからっていきなり王都に行くって言いだしたら、許すわけ名がないんだ。


「1年だ」

「え?」

「1年だ。1年わしの古くからの友人のところで修業を積みなさい」

「それってどういうことですか?」

「お前が王都に行くには、あまりにも無謀すぎるのじゃ」

「素人のお前が王都を目指してもたどり着く前に着くだろう。少し乱暴だが腕は確かだ」

「1年もあればお前を1人で戦えるくらいにはできるだろう」

「いいんですか?!ですが……父さんと母さんが認めてくれるとは思えません」


 いくら長老の持ちかけてくださった話でも納得しないだろう。


「それなら大丈夫だ。さっき話を済ませておいた」

「では最初から僕を」

「刀が選ぶのは相当な強者だけだ。お前は相当強くなるだろう」

「あ、ありがとうございます!!」

「絶対に夢をかなえて世界の平和をまもります!本当にありがとうございます!」

「まずは1年の修業が先だ。しっかりと頑張れよ」

「はい!」


 まさかこんなことになるなんて……僕はまた諦めていた夢を追うことができるのか……

 絶対になってやる。絶対にならなきゃいけないんだ!

 ロイヤルナイトに!!

 


 









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