幽霊と
ふたり
上を向く。
ぼやけて見える雲がある。
「あの雲に乗って行ったらまた会えるのかな。」
僕の声と同時に涙がでる。
ぼやけて見えた雲がもっとぼやけて見えた。
「ねえ」
後ろから声がした。
「まだ悲しんでるの…?」
透き通った声が疑問を振りかけてきた。
「うん」
当たり前かのように僕は応えた。
「そっかー、私も悲しいけど、、今挫けてたら将来もっと悲しい事があった時立ち直れなくなっちゃうよ!」
「うん」
僕は心のこもっていない返事をした。
「だから、ね?、元気出してよ」
君の声が少し弱って言った。
「元気出せって言ってんのに泣きそうになってどうすんだよ」
僕は君をからかうように呟いた。
「だ、だって…」
涙ぐみながらほっぺを膨らませている君は見えずとも前と変わらず可愛かった。
「ぐすっ、ぐずっ、」
「お、おい、泣くなって、」
「そっちが最初に泣いてたじゃん!」
「あっ、そっか。ごめんな。」
必至に言い訳する君と謝る僕。
「前もこんな事あったよな。」
「う、ぐずん、」
抱きしめられないけど、抱きしめたかのように心は暖かくて、幸せだった。
「ありがとう、立ち直れる気がする。」
ついに僕は言った。
「よかった。」
君は安心したような、にこやかな顔を見せてくれた。
気がした。
「元気でね」
「うん」
「来世で。また会おう」
「ふふっ、どうだろうね」
「会いたいな」
「私も。」
そう言って君は何処かに行った。
顔も見えない君は豊かな表情を見せてくれたのだろう。
もうぼやけない雲を見る。
幽霊と @amaisora
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