番外編 昔話はしない
たまには依頼の来ない暇な日もある。特にアーカイブが立ち上がってからは、優秀な情報屋と関わりやすくなったこともあってか、仕事に差し支えることを心配して依頼を断るということも随分と無くなったものだ。
それでも安価で頼みやすいからと、wáwaに情報収集・情報操作・ハッキングの依頼をする者は後を絶たない。最近は「トランプ兵」と名乗る者達からの依頼が増えた。
曰く、その者達はとある組織の下っ端で、あまり大きな金を頻回に動かすことが出来ないのだという。主には「♣︎」と「♠︎」からの依頼だが、恐らく「♥」や「♦️」も他に居るのだろうなと思う。
別の仕事もしているのでタイムアタックになる仕事は受けられない(つまり時間がかかる)。裏に潜らなければいけないような仕事は受けない(あくまでホワイトハッカーである)。
という最低限のルールさえ破らなければ、アーカイブ内でトップクラスに安く正確に仕事をすると評判も良いのだ。本人に自覚は無いが、ちょっとレベルのおかしい幹部連中を除けばアーカイブ内ではかなり上位に食い込める腕を持っている。
……とにかく、たまのそんなのんびりできる日には、アーカイブ内の雑談スレを覗くのも楽しいものだ。
──────────
53:wáwa
今北
54:名無しの情報屋
おっ、wáwa乙
55:名無しの情報屋
wáwaお久〜
56:名無しの情報屋
わーわーヽ(^Д^)ノ
57:wáwa
そんなに久しぶりだっただろうか?
>>56
特定した
58:名無しの情報屋
三日振りくらいじゃね?
59:名無しの情報屋
俺大体一週間振り〜
60:>>56
すみませんでした
61:名無しの情報屋
>>60
ワロス
62:wáwa
そんなに来ていなかったか。
いや、そろそろ潮時かなと思ってな。準備をしていた。
63:名無しの情報屋
>>60
ばっかでーwww
64:名無しの情報屋
>>60
相手は選べよwww
>>62
潮時とは?
65:wáwa
今の居候先を出ようかと思って
66:>>56
>>64
気を付ける
67:名無しの情報屋
居候
68:名無しの情報屋
wáwaまさかの居候
69:名無しの情報屋
想定外
70:wáwa
ひとつ所に留まっていられないタチでな。長くても数年毎に住処を変えることにしているんだ。
71:名無しの情報屋
wáwa止まると死ぬの?
72:名無しの情報屋
wáwaマグロなの?
73:名無しの情報屋
wáwaはマグロ(意味深)
74:名無しの情報屋
>>73
自ら死にに行くなよ馬鹿だろ
75:wáwa
いや、まあ昔の話ではあるんだが、長居したら面倒が起こったことがあったものでな。
76:名無しの情報屋
昔の話
77:名無しの情報屋
wáwaの言う昔とは
>>77 ゲト
78:名無しの情報屋
具体的に何年前
>>77 おめ
79:名無しの情報屋
wáwaの昔話ktkr?
>>77 おめ
80:ガイスト
やっほー
面白そうな所に来ちゃった?
81:wáwa
昔話はしない。
まあハッカーを始める前の話さ
>>77 おめ
>>80
久しぶり
82:名無しの情報屋
ガイストさんキタ━(゚∀゚)━!
83:名無しの情報屋
ガイストさん久しぶり!
>>81
もしかして:200年以上前
84:名無しの情報屋
えっマジ久しぶりじゃんガイスト
何してたん
>>81
それ何時代?
85:ガイスト
みんな久しぶり〜☆
いやー、鬼上司にめちゃくちゃ仕事振られてたんだよね。自分はサボるくせに。
>>81
wáwaの昔話聞きたいなぁ〜( ˆᴗˆ )
>>84
何www時代www
86:wáwa
詮索する奴は次から依頼料100倍な
>>85
断る。その顔をやめろ。
87:名無しの情報屋
>>85
噂のサボり魔上司w
>>86
それただの相場になるけど
88:名無しの情報屋
>>85
サボり魔な上に鬼な上司w
>>86
勘弁してー💦
安いから依頼出来るのに💦
89:ガイスト
私はwáwaに依頼する必要無いもんね〜☆
天空たんのお得意さんになれてる私勝ち組
90:名無しの情報屋
ガイストさん裏山
91:名無しの情報屋
俺達の天空たん……!
92:wáwa
だからこそガイストからの詮索は心底断る。
前に世話になったから礼はしたいが、その件は是非とも別口で頼む。
>>87
基本的に金に執着はしてないからな
>>88
お前達貧乏人のおかげで私の商売も成り立っているから、今回だけは見逃してやろう。
93:名無しの情報屋
天空たんのお得意さんとか超絶VIP
94:ガイスト
えー、でもwáwaの昔話とか面白そうだし、言い値で買うよ?
というか金に執着しないのは良いけど相場下げるのはやめない?
95:名無しの情報屋
>>92
安いのほんと助かってますwáwa様
てかwáwaってガイストさんと知り合い?
96:名無しの情報屋
>>92
ありがとうwáwa様!今後ともよろしくお願いします!
>>94
言い値という金持ち発言
※ただし相手はwáwa
97:wáwa
>>94
こちらが桁違いのつもりで言ってもガイストは払いそうだから嫌だ。別件にしてくれ。
>>95
間接的に世話になっていたのを後から知っただけだ。知り合いでも無ければ顔すら知らん。
所属だけは気付いた。
98:名無しの情報屋
値上げされると苦しいのであんまwáwaに相場教えないでガイストさん
99:ガイスト
>>95
知り合いではないかなー。知ってるだけー。
>>97
ちぇ。仕方ないから今度考えとく。
私の所属ゲロったら送り返すよ☆
100:wáwa
>>99
金積まれても言わない
101:名無しの情報屋
>>99 >>100
力関係が見えた
102:ガイスト
>>98
ワロス
>>100
おk
103:名無しの情報屋
>>100 おめ
カーストが見えた
104:wáwa
仲間がぐずり出したからあやしてくる
105:名無しの情報屋
あやしてwwwいてらwww
106:ガイスト
またねーノシ
107:名無しの情報屋
おっつー
108:名無しの情報屋
また来いよーノシ
109:名無しの情報屋
wáwaの仲間ぐずるのかーw
今度聞かせてーノシ
──────────
「〔おい、いつまでも遊んでんなよ〕」
「〔今日ハッカーの仕事は無いって言ってたじゃん〕」
パソコンに向かっていると、同期と昔馴染みがすぐ傍まで近付いてくる。基地内でアーカイブに入っているとこういうことがある。
はいはい、と手を止めて画面を切り替えリンは立ち上がった。
「〔明日、居候先を出る。次を見付けるまではここで寝泊まりするから、手合わせしたかったらいつでも来い〕」
「〔いつでもって言うけど、お前仕事があんだろうが。居ないことの方が多いくせに〕」
「〔それはそれ〕」
ぽん、と同期の肩に手を伸ばしてから、コンクリートで囲われた無機質なワンルームの中央へと歩み出る。
そこそこ広い空間の壁や床は剥き出しのコンクリート、地下にあるので一つしか無い扉の向こうは地上への階段だ。片隅に置かれた机の上はパソコンとデスクトップ画面で埋め尽くされている。その横には折りたたみ式の簡易ベッドが開かれたままになっていて、反対側の壁には簡易の棚があり、あらゆる種類の武器が置いてある。棚の横にも剣や他の長物が立て掛けられていて、他には何も物が無い。
食事やシャワー、洗濯は外に出れば良いので心配する必要もない。便利な世の中になったものだ。
コンクリートの床を踏みしめるように部屋の中央付近に立ち、リンは腰から分節棍を抜き取りざまに組み立てた。
「〔さて、お楽しみの時間だ。誰からでも掛かって来い〕」
この基地に来る時の日課となっているメンバーとの手合わせ。リンが居ない時は互いに試合形式でやっているらしいが、リンが居る時はいつも「誰がリンを倒せるか」というゲームのようになっている。
今の所誰もリンに勝った者は居ないし、全員が一斉にかかっても順番にかかっても、疲労の色すら見せない。その間データチェックを兼ねて昔馴染みはパソコンを操作しているが、そこは任せているので何の問題も無い。
ただこの時間が悪くないと、楽しいと思う度に、リンの心は反比例するように蝕まれていった。
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