02 管区機動隊一番二番

「まただ」


 位置情報。


 更新され続ける。


「すごいな、このアプリ」


 まるで、誰かが人力で更新し続けているような精度。


 無線。


『本部から各局。官邸より射殺許可が出た。装備を切り換えて対処せよ』


「管区一番二番、了解」


 無線。切れる。


「射殺って」


「知られたい何かを、そいつが持ってるってことだ」


 運転席の二番。美しい顔に、ちょっと緊張した面持ち。


「一番。殺すん、ですか?」


「いや。俺はこの街の人間だが、この国に思い入れがあるわけではない」


 二番も、この回答を待っているから、緊張しているのだろう。彼女は、緊張するとおなかをさわる癖がある。


「拳銃は使う。ただ、殺さない。撃たないのが理想だな」


「分かりました」


 二番が車の下のほうから、装備を取り出す。


「どうぞ」


「これは?」


 通常の第一段階装備のほかに、弾倉が3つ。


「ゴム弾です。電磁障害EMP効果があって、着弾に反応して数秒、付近60センチメートルの電子機器をブラックアウトさせます」


「ほう」


「本部と管区には、内緒ですからね」


「助かるよ。さあ、行こうか」


「あ、もうひとつ」


「なんだ」


「好きです。一番のことが」


「そうか。俺もだ。死ぬなよ」

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