希望へのvort

春嵐

01 街のしがないハッカーの死

 渦のなかにいる。


 自分の人生。


 無味乾燥な、ものだった。


 昨日の記憶。


 仕事して。コンビニ寄ってごはんとお酒買って。戻って仕事しながら食べて呑もうと思って。


 そうだ。思い出した。耐えられなくて、お酒一缶だけ、開けて呑んだんだった。


 それが致命傷か。


 お酒呑んでしぬんだから、まあ、いいか。美味しかったのかな。味覚えてないや。


 この街で、ひっそりと死ぬことができる。それだけで、しあわせなことだから。


 僕が死んでも、作ったアプリは彼女を助け続ける。死んだ後には、遅効性のシステムが国のシステムをハッキングする。大丈夫。

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