第458話テトリス凸凹問題
「いらっしゃいませー。ゆきでーす♡よろしくねー」
「あ、よろしくお願いしますー」
「さ・え・ば・☆純ちゃんでーす!よろしくねー」
「さえば☆(ほし)純ちゃんですねー。なに飲みますかぁ?」
「とりあえずニャマ!」
「はい?」
「じゃあ自分もニャマで」
「あ、了解でーす♡すいませーん!ニャマ二つぅー!あ、私もいただいていいですかぁ?」
「いいでーす。ゆきさんも飲もーー」
「じゃあ私はぁ。カクテルがいいなあー」
「ミロにしなよー」
「え?ミロってあのココアみたいなあのミロですか?」
「そうだよ。それ以外にあんのかよ。ミロが」
「こらこら。冴羽君。言葉遣いがあれですよ」
「いえ。全然平気ですからいいですよー」
「おらあー、ニャマ持ってこーい!」
「きゃはは!ニャマ持ってこーい!」
「いいですねえ。お姉さん。いける口ですねえ」
「お兄さんたちは今日はお仕事ですかあ?」
「ミッションです」
「へえー。すごーい!」
「ミッションチンポッシャブルぅぅぅぅぅぅぅ!」
「こらこら。冴羽君。いきなり下ネタはよくありませんよ」
「いえいえ。全然平気ですよー」
「ほらあー。お姉さんもこう言ってるじゃないっすかあ。ねえねえー、ゆきさーん。テトリス知ってる?」
「テトリスですかあ?あのオチゲーの?」
「そうそう。あれさあ、なんで凸はあんのに凹はねえのかなあ?」
「さ、さあ?」
「チンポ挿入ぅ出来ねえじゃああああああああああん!ねえ!」
「は、はあ」
「それよりさあ。キャッチのお兄さんから言われたんだけどよぉ。ニュルニュルもし放題でくちゅくちゅもし放題だって?このお店。くちゅくちゅってもしかしてお口くちゅくちゅじゃねえよねえー。そんなの揉んだりだよ」
「お待たせしましたー。生でーす」
「あ?俺が頼んだのは『ニャマ』だぜ」
「そっすねえ。自分も『ニャマ』ですよ」
「お客さーん。勘弁してくださいよー」
そこで運ばれてきた生ビールをボーイの顔面に思い切りぶっかける冴羽。
「これがホントの『ビールかけ』ってかあ?」
当然のようにブチ切れるボーイ。冴羽の胸倉を掴みにかかりながら本性を現す。
「おお、こら。お客さーん。ちょっとお遊びが過ぎますねえ。俺の髪のシャンプー代に服のクリーニング代、店の清掃代。こりゃあ三千円にゼロが三つばかしつきますぜ」
「おお、今時のぼったくりバーは我慢を知らねえなあ。ミロが足りねえんじゃねえの。ミロがよお」
「ガキがぁ!」
パリーン。
ボーイがビールジョッキを机で割り、それを冴羽に突き付ける。しかし、すぐにそれを冴羽が安全靴での強烈なハイキックでジョッキを店の壁へと蹴り飛ばす。
「俺の名前は冴羽純!おおこら兄ちゃん。その辺歩いてる不良少年たちに聞いてこい。十代目『藻府藻府』の冴羽さんと揉めたんですが殺されてもいいですかってなあ!」
「同じく十代目『藻府藻府』の田所もよろしくね」
「ああん?『藻府藻府』だあ?知るか!このガキと7・3パーマがあ!」
そこで田所が言う。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんじゃここでは役不足ですよ。それより隅っこのテーブルで一人で飲んでらっしゃるあの人。あの人がここでは一番つええんじゃないですか?」
田所がタバコを咥えて火を点けながら店の奥のテーブルで一人で飲んでいる男の方へと視線を送る。
「あ?俺か?」
「そうそう。あんたぁここの責任者でしょ。店に入った時からオーラがですね。ヤクザでもねえ。格闘家崩れの用心棒ってわけでもねえ。あんたさあ、なにもん?」
田所たちのテーブルへとゆっくりと歩いて近付きながら田所の言葉を聞いていた男が答える。
「ほう。あんたもただの客じゃねえ。あんたこそなにもんだ?」
グレーのマオカラーに赤シャツ姿の男。どう見ても堅気には見えない。
「さっき言ったとおりだよ。十代目『藻府藻府』の田所だよ。よろしくね」
「…『藻府藻府』ねえ。十代目か。まさかこんなところで現役に会うとはな。お前ら現役だろ?」
「あ?なに言ってんだ?おっさんよお。つうか『藻府藻府』知ってんの?へえー。我ながら名門だねえ。ウチは」
冴羽の軽口に男が薄笑いを浮かべながら答える。
「そりゃあ知ってるさ。『藻府藻府』ってのは名門だからな。十代目ってことは京山の下か?」
「あ?」
「京山は元気にやってんのか?あいつはヤーさんになったって聞いてるけどな」
「冴羽君。ストップ。確かここの不良には『藻府藻府』の七代目がいると」
「ほう。情報も早い。さすが十代目。いかにも俺は七代目『藻府藻府』」
「いきなり大ボスかい…。鷹山正美さんよお」
「なんだ?後輩よ」
かつて七代目として不良界に君臨した男と田所、冴羽が対峙する。
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