第340話ヴァー茶ルボーイ
「おお!すげえ!」
「ふふふ。これはたなりんがママンからの昼食代をコツコツ貯めて…、春休みや夏休みもコツコツバイトして…、マネーを貯めてゲットしたたなりん仕様なり!いんてるこああい7―12700(2・1GHz)搭載なり!メモリーは8G×2!ストレージは1TBのSSD!グラボはじーふぉーすの…」
「すげえ…。俺のはG―ぎあの前のやつなんだよなあ。でも俺のもサクサク動くけど。たなりんのだと…これ『えーあい少女』もぬるぬる動くんじゃね?」
「当たり前なりよ!VRも最新のばいぶなりよ!」
「外部センサーは…あ、あそことあそこかあ!」
「たなりん!宮部っち!田所のあんさんの顔が『?』になってるから!」
たなりんと宮部の会話についていけずポカーンとしていた田所を飯塚が気遣う。
「ちなみに『でる!』のディスプレイにはぷれすて4も繋げてるなりよ。『すちーる』がここまで使えるようになるとは思わなかったなりけど、据え置きゲームの良さがまだぷれすて4にはあるなりね」
「うお!これは初期ロッドの『にんてんどーいっち』じゃねえか!まさかこれ、たなりん」
「ふふふ、それは奇跡的に近くのレンタルショップ屋で価値の分からぬ愚かな店員が一万円以下で売っていたのを即買いしたなり。もちろん改造は…」
「おお!てかこれをネットで売れば結構な値が付くんじゃね?」
「宮部っち!転売ヤーなりか!飯塚さん!宮部っちが転売ヤーを肯定する発言なりよ!」
「まあまあ。それより田所のあんさんにVRのヘッドを被せてさあ。ほらほら田所のあんさん。これを被ってください。そしてこれを両手に持つのです」
「え!え?何ですかこれ?おやじが言ってた『ヴァー茶ルボーイ』ですか!?」
ああ、そんなのあったなあ、昔と思う飯塚。時代を先取りし過ぎてすぐに生産中止になったあれですかとも思う飯塚。
「たなりん。それでは『VRヘイカノジョ』をスタートだ!」
「了解なりー」
そして人生初の『VR』で飛び出すエロゲ―を体感する田所。
「うおおおおおおおおおおお!女の子があああああああああああああああああああああ!目の前にいいいいいいいいいいいい!けしからんです!いけません!いけませんよ!そんなハレンチなあああああああああ!」
「たなりん。どこからスタートしたの?」
「いや…、MODでモザイクをアレして、かなり見え見えでやれることもマックスの状態なりが…」
「田所のあんさん!両手の『バイブ』で操作するんです!」
「え?両手の『バイブ』っすか?」
そして両手のたなりんの高価な高価な『バイブ』を股間に押し当て、股間を操作しようとする田所。
「そっちじゃないですから!目の前に広がる女の子に向かってです!」
「え!?え!?」
そしてそのまま『VRヘイカノジョ』から『ホームプレイ』、『ハニセレブ』、『コイパツ』とゲームを変えていくたなりんと宮部。
「うおおおおおおおおおおお!迫ってくるううううううううううう!目の前に女の子がぁあああああああああああ!リアルなクチヅケえええええええええええええええ!けしからんです!いけませんよ!いけませんよ!そんなハレンチなあああああああああ!」
そう言いながら口をおちょぼ口にする田所。それを見ながら「ああ…。やっぱりVRは人前でやるもんじゃあない…。やる時は部屋の鍵をかけないと…」と思う飯塚。
そしてたなりんのゲーミングパソコンのお披露目が終わって一息つく四人。
「いやあ。最近のゲームはすごいですねえ」
「まあ、たなりんはMODでモザをアレですから。でもエロだけじゃなく他のゲームもすごいですよ。ネットに繋いでオンラインでですね」
「オンラインすか?」
「そうです。たなりんはオンラインゲームの世界ではかなり有名なんですよ」
「ハンドルネーム『RINATAN0721』は有名ですからね。あの義経君も結構やる方なんですが。たなりんには勝てないっていってましたし。なんならそれで仲良しになれたってのもありますし」
「ネットに繋いで対戦って将棋や囲碁とかするんすか?」
いやいや。それはSaiですよと思う飯塚。
「格闘ゲームとかで対戦したり、ロールプレイングゲームをみんなで協力しながらプレイしたり、協力して『狩り』をしたりですね。結構面白いですよ」
「へえ。勉強になるっす」
そう言いながらメモに書き書きする田所。勉強熱心である。
「てかさあ。たなりんの部屋って『お宝』多くない?」
「そうなりか?まあゲーミングパソコンと周辺機器にはお金を使ってるなりが…」
「いや。さりげなく飾ってある『デジタルガールズパラダイス』コレクションも。『お隣さん妻2』もコンプリートしてるけど、これって幻のお宝って言われてるし。確かネットオークションでも十万とか値が付くと思うよ」
「そう言われてみればそうっすねえ。食玩にエロ漫画の付録とかコミケの限定品とか…。普通じゃ手に入らないのが普通に飾ってますし…」
コンコン。
「たなりんさん」
「あ、ママンなり。なんなりかあー。今、友達が来てるなりよ」
「ジュースとかお菓子を持ってきたけどいらないの?」
「だからー、今は友達が…」
「たなりん君。せっかくお母様が用意してくれたんです。頂きましょう」
「そうだぜ。おふくろさんを邪険に扱うのはよくねえよ」
お母さんは大事にしようね、と思う飯塚。と、同時に、いやいや、こんな二次元美少女だらけの部屋でくつろいでいる野郎四人を見たら僕まで「変なお友達と付き合うのはやめなさい!」とか変な友達扱いされますからと思う飯塚。ツレの部屋に行ってエロいのを見てたら親が部屋をノックしてくるって昔からあるあるだなあとも思う飯塚。
「じゃあ取るからそこの廊下に置いといてなりー」
「はいはい。じゃあここに置いときますよ」
そして足音だけを残して去っていくたなりんママ。そしてちゃんと去ったのを確認してお菓子とジュースを部屋に運び込むたなりん。それらをご馳走になる田所、飯塚、宮部。
「でもこんな大量のお宝をたなりんは一体どうやって集めたの?」
「そうなりねえ。逆に手に入れて大事にしてたら後々価値が出るパターンばかりなりよ」
「正直まとめて売ればそのパソコンがあと二、三台買えるぐらいにはなるんじゃあ…」
「それは無理なり!これらのコレクションを手放すなんて考えられないなりよ!兄者なら分かるなりよ!」
「まあ…、分かるけどねえ…」
「逆に足りないなりよ」
「え?」
「『真・七つ目の大罪』無修正バージョンにしてもそうなりけど。欲しいものが次から次へと…。メーカーもオタクのお財布から上手くお金を搾取する方法を学習してきてるでござるよ」
「だよなあ。俺も中卒で働いてっけど普段のガス代とかできちいし。先立つものには苦労してますよお」
そこで田所の目がキラリと光る。
「君たちぃ。だからこその『組チューバー』だよぉ。ユーチューバーはお金持ち。『組チューバー』が成功すれば僕らもお金持ち。お金があれば何でもできる。欲しいものも思うがまま。いつかビックマネーを足元に叩きつけてやるのも思うがまま。モテモテで芸能人と結婚するのも思うがまま」
いや…、確かにそうですけど。何すかその例えは…と思う飯塚。
「…モテるなりか?」
「え?」
「その『組チューバー』が成功すればたなりんもモテモテになるなりか?」
「そりゃあもちろん…。世のユーチューバーはお金もそうだけどモテモテでチヤホヤされてるし。SNSのフォロワーもすごいでしょ」
「やるなり…」
「へ?」
「真剣に真面目に『組チューバー』を成功させるなりよ。今までのはお遊びなりよ」
おおおおおおお!半グレ『模索模索』とバチバチにやり合い、かなり修羅場を潜ってきたけどそれを『お遊び』と言い切るたなりん頼もしい!と思う飯塚。でもたなりんの切り口ってガチで面白いんだよなあとも思う飯塚。
「よっしゃ。俺も中卒でガス代に頭を悩ませてる場合じゃないっすね」
「田所のあんさん。あの一千万はどうしました?」
「あ、あれは最初にパソコンとかを買っただけであとは残ってますよ。メシ代も自炊で節約してますからね」
飯塚が世良兄から言われたことを思い出す。
(人を使うと『人件費』がかかります。経営者なら常識の考えです)
(本当の意味で成功するなら彼らにも『報酬』をきちっと払わないといけませんよ)
「これからは『組チューバー』もやったらやっただけ『お給料』をきちっと払いましょう」
「え!?」
飯塚の言葉に宮部とたなりんが食いつく。ついでに田所までも食いつく。
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