第307話汁男優
暫く走ったワンボックスカーが止まる。
「おろせ」
「はい。おい!降りろ!ごるあ!」
乱暴に蹴り降ろされるいじめっ子三人。普段、たなりんをいじめていようが普通の進学校に通う世間知らずのお坊ちゃんたちである。そして今自分たちに起こっているリアルは夢ではない。ただ想像するしかない。今、何が起こっているか。そしてこの後何が起こるか。そしてそれは自分たちをさらに恐怖へと導く。
「す、す、すびばせん!かんべんひてふだはい!」
「おいおい。日本語喋れよ。何だよ。『ひてふだはい』って」
いじめっ子三人は恐怖でボロボロと泣いている。
「すいません!ひっく、すいません!」
「だからよお。日本語喋れよ。お前らいい学校に通ってんだろ。主語とか助詞とか分かんだろ」
「お金は、返しますからあ!許してふださい!」
「え?お金は返す?あ、そうだ。俺、お前らに財布ごと獲られたんだっけ。強盗じゃん。お前ら。強盗して謝ったら許してくれんの?じゃあ俺も後からキッチリと謝るから。それとも先に謝っとこうか。ごめんな。これでいい?」
「すびばせん!すびばせん!」
「おらあ!並んで正座しろ!ボケぇ!ああ?お前ら間宮さんの財布をギッただと?」
「そ、それは…」
「返します!返しますぅ!」
急いで間宮の財布を取り出す一人。そして。
「おいおい。中身確認したら減ってんじゃん」
「はい?」
「だからよお。俺はね。几帳面だから財布にいくら入れてるか一円単位で把握してんだけどよ。あんたらにぎられた財布の中身がごっそり減ってんじゃん。これで謝って許してもらえると思ってる?ま、いっか。俺はあんたらの常識ってのが分かんねえからさ。あんたらの常識では『人からぎった財布の中から百万近く抜いてもいい』みたいだね。で。俺らの常識はあんたらに通用しようがしまいが好きにやんから。それでいいっしょ」
「すびばせん!かんべんひてふだはい!」
「そんなお金、とってません!」
泣きながら正座して謝る三人。
「ああん?うちのリーダーから財布ぎった上に中身を百万以上抜いといてごめんなさいだとお!舐めてんなー。とりあえず金は返そうぜ。ごめんなさいはそれからだろ」
「だから…、そんなお金とってませんので。ひっく」
「すげえな。頑張るねえ。人の金をぎっといてさあ。謝らずに言い訳だよ。もういいよ。金の件は。言い訳しかしねえもん。ぎられた俺が悪かったと思って諦めるわ。ここからは俺らの『常識』でやるから」
「かんべんひてふだはい!」
「で。何だっけ。さっき面白そうなこと言ってたよなあ。オナニー動画だっけ。確か、自分の顔にぶっかけるんだっけ?」
「すびばせん!すびばせん!かんべんひてふだはい!」
「どうしますか?先に殺しますか?」
「あ?殺したら動画撮れねえじゃん」
「あ、そうですね」
「とりあえず『剥け』」
「はい。おい!お前ら。服脱げや」
「すびばせん!もうほんとにかんべんひてふだはい!」
「いいからいいから。そういうのは。おい。とっととこいつら『剥いちまえ』」
「はい」
人気のない資材置き場で正座したいじめっ子三人の服を脱がせる半グレたち。抵抗するも普通の進学校へ通ういじめっ子と半グレでは戦闘力の桁が違う。
「おい。指の一本でもちぎると言うこと聞くんじゃねえの。痛いのも好きなんだろ。あんたらの『常識』では。おーい。裁ちばさみ持ってこいよ。あんだろ。奥に。職人が高いところの木の枝を切る時使うやつ」
そして素直に全裸となる三人。
「おい。手ぇ邪魔。見えねえだろ」
泣きながら全裸になるも股間を手で隠す三人に間宮が言う。
「おい。間宮さんが言ってんだろ。それともその隠してある凶器を裁ちばさみでチョキンといくかあ?」
真ん中にぶら下がる恐怖で縮み上がった『もの』をあらわにする三人。
「なんだよ。それじゃあ視聴者に不親切だろ」
「すびばせん…、すびばせん…」
「一分以内に勃たせてよ。プロの男優なら何十人の前でも普通に出してるじゃん。あんたらも『汁男優』目指してんならこれぐらい練習だよ。一分ね。一分で勃たねえなら横の奴にしゃぶらせるから。おい。動画撮れよ。顔にぶっかけねえと視聴者が納得しねえよ。はい、五十九、五十八…」
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