第226話しこしこ
「かしら、こんなもんしかありませんでしたが。これでいいですか?」
京山が一階から油性マジックと段ボール箱を一つ持って戻ってくる。
「ああ、それで充分や」
そう言って京山が持ってきた段ボールを綺麗に長方形になるよう一片を手で切りはなす。そして長方形の段ボールと油性マジックを忍の足元に放り投げる。
「小僧。今からわしが言うことをそのままそれでそれに書け。『ぼくはせんずり大好きなサルです。ぼくのせんずり姿をみんなで見てください』とな」
ちらつかせる住友の拳銃が忍を言いなりにする。そして汚い字で『僕はセンズリ大好きな猿です。僕のセンズリ姿を皆で見てください』と書く。
「あかんなあ。『せんずり』は平仮名の方がええし、『僕』や『猿』も平仮名の方がええし今のは字が汚いんで漢字が読みにくいわ。そう思わんか。健司」
「そうですね。おい。段ボールはまだあるぞ。書き直しや」
そう言って段ボールの一片を綺麗な長方形に手で切りはなし忍の足元へそれを放り投げる京山。そして指示通りに書く忍。
「よし。そしたら紐はあるか?その布でええやろ」
そう言って忍が纏っていた血だらけの布を拾い、引きちぎり紐状にする住友。そして段ボールと繋げそれを忍の首にかけてやる。
「いいですねえ」
「ほれセンズリが大好きなんだろ。小僧。しっかりしごかんか」
そして腫れあがった顔面のまま全裸で自分の股間のイチモツを握り、と言っても委縮して小さいままの皮被り状態のそれを三本指で掴み擦り始める忍。
「おいおい。カメラは回っとるんやで。しっかりしごかんかい。出るまでカメラは止めんぞ」
そう言いながら二人でスマホを忍へとかざす住友と京山。普段なら絶対にこういうことをしない二人であるが『目には目を歯には歯を年賀状には年賀状』の教えである。
「四つん這いになってケツを突き出した方がやりやすいんちゃうかあ」
「おい。小僧。かしらの言う通りちゃうか」
言われるがまま四つん這いになってケツの穴をカメラに向かって剥きだし状態でイチモツを擦り続ける忍。それでもあそこは一向に大きくならない。そして暫くの間恥ずかしい動画を撮り、住友が言う。
「もうええやろ。あとはSDカードの回収や」
そう言って京山が捨てた忍の財布や鍵が入っていた袋を回収したものを持っているものに電話をかける住友。
「ああ。ご苦労さん。それで袋ん中に鍵と財布はあるか。…ほう。それで財布の中にマイクロSDカードはあるか?…あるか。そうか。それは回収しとけ。それから鍵の方やがヤサの住所は〇〇〇丁目〇〇番○○。建物名が○○〇〇。部屋番号が〇〇〇や。向かってくれるか」
そしてすぐに折り返しの電話がかかってくる。
「おう、わしや。着いたか。中には入れたか?誰ぞおったか?ほう。誰もおらんか。ほな、本人にマイクロSDカードの場所を言わせるわ。お前は喋らんでええぞ」
そしてスマホをスピーカーモードにし忍へ事務所のどこにマイクロSDカードを隠してあるかをうたわせる住友。
「…奥にある机の、引き出し付きの机は一つしかありませんので…はあ、そこ一番下の引き出し…はあ、の内側にセロハンテープで貼ってあります…」
「やそうやで」
スマホのスピーカーモードのボタンをもう一度推し、スピーカーモードを取りやめる住友。
「あるか?おお。全部や。回収したら引き上げろ。監視カメラとかも気にせんでええ。こっちで何とかさせる」
そしてスマホを切る住友。
「ご苦労さんや。小僧。ほな、わしらはこれで行くんで。よかったのお、手を撃たれとったらセンズリ出来んかったところや。まあそのしぼんだままの情けないもんでは出るもんも出んがなあ。お前らが堅気さんのそういう動画が世に出たら『こいつ』も世に出ると思っとけ。全力でその間宮か。その小僧に頭下げて堅気さんの弱みをこっちによこすこっちゃ。まあ、お前がその前に消されたら知らんけど。やることやった精一杯逃げることや。伊勢もお前の口封じに出るやろ」
そして両足太ももを三発打ち抜かれ、血だらけで動けないまま全裸のままの忍を置き去りにしその場を後にする住友と京山。
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