第188話たなりんギャング手配度☆五つ
「へ?」
「あれ?飯塚ちゃん。たなりんが狂って来るって聞いてます?」
「いえ…。僕も聞いてません…」
そして二人の目前に来て思い切り息を切らし、膝に両手を突きながら「ぜえはあ」を繰り返すたなりん。そして。
「この関羽たなりん!遅れまして申し訳ござらんであります!」
いやあ…、マジですか…、そりゃあ同じ『組チューバー』の仲間だけど…、これから『族』の集会で『乱闘』だよ…。たなりん…と思う飯塚。
「あれ?宮部っちから連絡きたの?」
「はい!宮部っちからこちらで田所さんと飯塚の兄者と合流するよう連絡を貰ったでござる!」
ああ、宮部っちが呼んだのね、と思う飯塚。と、同時に、いやいや宮部っち、気持ちはわかる、確かに前はたなりんを『ハブ』にしたという前科がある。けれど今回のは明らかにたなりん向きではないでしょうとも思う飯塚。
「お、たなりん。気合入ってるっすねえ。これは頼もしいなあ」
「はい!昨日はアドレナリン全開で『ぐらんどせふとおーとばい』をやり込んでたなり!チートでランチャーぶっ放しでガトリングガンでパトカーを爆破して、手榴弾でドゴーンでござる!追っ手も盗んだバイクで片手用マシンガンを乱射!今のたなりんは近寄ると危険ですぞ!手配度☆五つでござるよ!」
うわあ…、あれってスカッとしたい時にやるよねえー、と思う飯塚。と、同時に、たなりん!ゲームと現実は違うんだよおー!と思う飯塚。そんな飯塚の肩をポンと叩く田所。
「(宮部っちもたなりんに本当の自分の姿を見せる覚悟をしたんでしょう。まだ曖昧なままなところもあるように思うんで。それにたなりんは同じ『組チューバー』の仲間でしょう)よし!それでは全員集合したところで、行きますかあ」
「はい!」
「なり!」
「全員集まってる?」
「オス。あとは新藤だけかな」
二ちゃん、コージ、エコ、冴羽、宗助、勝、長谷部。『蜜気魔薄組』フロント企業を襲撃したメンバーに情報収集隊の長谷部。ここに新藤、そして宮部を加えた九名が現十代目『藻府藻府』の正式メンバーである。
「オス。新藤ももうすぐ来るよ」
その言葉が終わると同時に新藤のバイクの音が聞こえてくる。
「お、来たみたい」
待ち合わせ場所に到着する新藤。
「あれ?俺が最後?わりい」
「別にいいよ。それより昨日、一人で比留間をぶっ飛ばしたんだって」
「ん?もう情報流れてんの?」
「そりゃあ長谷部の耳にはこの街の争いごとはすぐに入ってくるぜ」
「全員揃ったな」
「オス」
「じゃあ今夜『宇佐二夜』と鹿島をぶっ潰す。いいな」
「オス!」
「まあ鹿島のバカも今日俺らが突っ込むってことは分かってると思う。それを想定していつも通りのやり方でやってくれ。場所は広い狭いどっちになるか分からねえ。ただ人数揃えて道具振り回してくるやり方は変わらねえと思う。それ用のやり方で頼む」
「オス!」
「この件は以上な。あともう一つ。こっちのが大事かな」
ん?なんだろ?との表情をするメンバーたち。宮部は続ける。
「それとは別でこの十代目『藻府藻府』に今日から新しく『三人』のメンバーが加わる。歓迎してやってくれ」
「オス!」
そして興味津々なメンバーからの質問タイムが。
「で、三人って誰よ?」
「そうそう。『まとめサイト』にも載ってねーよ」
「うーん、そうだな。『核弾頭』クラスが三人って言えばいいかなあ」
「マジか!」
「ちょい待って。『核弾頭』クラスが三人ってあの三人じゃねえよな」
「ああ。三原に江戸川、天草。あいつらじゃねえよ」
そこで情報隊の長谷部が言う。
「あの三人は間宮専属になってるぜ。とっくだよ」
「今頃現役復帰かよ。ダセえ」
「まあまあ。それよりお前ら何回か会ったことがあるだろ。田所さん」
「え!?あの京山さんの兄貴分の!?」
「ああ。今は堅気なんで。最初は京山さんが現役に復帰するって言ってたらしい。それほどまでに間宮ら半グレはデカくなり過ぎたんだよ。それにこの件は『肉球会』の親分さんも本意じゃねえ。『肉球会』の親分さんは俺らに『未来ある若者たちがこんな問題に関わっちゃあいけない。これは「肉球会」の怠慢である。だから「肉球会」でなんとかする』と言ってくれている。でもな。暴対法ってのか。ヤーさんは筋が通ってようが何でもかんでも悪とされる。間宮らはそこを突いて暴対法の縛りを受けない半グレになってヤーさん以上のことをやってる。それなら『ヤクザ上等』で『暴対法』ってやつの縛りを受けねえ俺らが間宮どもをぶっ潰すのが筋だろ。そもそも俺があのバカをしっかり管理しきれなかったのがわりいんだしな」
「別に宮部は悪くねえよ」
「ま、粋がってる馬鹿をしめるだけだろ?今までとやることは変わらねえし。いいんじゃねえの」
「それで三人って言ってたけどよお。残り二人も田所さんや京山さんの関係者?」
「飯塚さんじゃねえの?」
「そう。飯塚さん。田所さんと五分の兄弟分の」
「え!?あの人ってあの田所さんと五分の兄弟分なの?」
「そう。そして三人目はその飯塚さんの兄弟分」
「ぴゅー」
冴羽が口笛を鳴らす。他のメンバーも同じく。
「飯塚さんの兄弟分かあ…。やべえな」
「早く会ってみてえ…」
「宮部。お前が兵隊集めるような奴じゃねえのは分かってる。それに何人かの馬鹿が抜けたけど今の『藻府藻府』は最強だ。そこに核弾頭クラスが三人。これじゃあ今日の『宇佐二夜』と鹿島はいじめになっちまうぜ」
そして。十代目『藻府藻府』にたなりんギャングが合流する。
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