第130話JDとJK
「やれやれだぜだぜ」
「どうしました?田所のあんさん」
「どっとこむっすよ。飯塚ちゃん」
いや、意味がまったく分かりませんよと思う飯塚。
「それは大変ですね。で?どうされましたか?」
「健司の野郎が新しい『動画』を持ってこねえんでこっちも作業が進まんじゃないっすか」
「ええ。まあ、最初はある程度の数の『ストック』を作っておくって決めましたし。手元にある動画で出せそうなものはほぼ完成してますからねえ」
「でしょ?飯塚ちゃんに教わって自分もパソコンでの作業もだいぶ身に付きましたし」
確かに田所は自分の『役』をしっかりと認識し、それを極めようと出来る限り頑張った。そして飯塚からかなり高度な技術まで教わり、しっかりとそれをノートに書き込み、一人の時も、飯塚が『コミケ』でハッチャけてる時もそれを何度も読み返し『動画編集』技術を身に着けた。今では田所一人でも動画の編集が出来るレベルまでになった。
「まあ、悪徳デリヘル『グッドフェラーズ』がJD使って違法営業をしていたのを『退治』した動画は確実に受けると思いますよ。今からすごく興奮してますよー」
「え?JD?」
「へ?田所のあんさん。JDもいましたよね?え?まさかJKの名簿まであったんですか!?」
「飯塚ちゃん。ちょっと話がかみ合ってないような…。JDって何のことだと思ってるんすか?」
「そりゃあ『女子大生』のことじゃないですか?JKはその前の『じょしこうせい』のことじゃないんですか?」
「飯塚ちゃーん…。何を訳の分からんことを言ってるんですか…。いいですか。おやじの教えではですね。JDは一部から三部のことですよ。ほら、『でぃお』でしたよね?」
ポカーンとする飯塚。と、同時にもしかして…、神内さん!なんてことを!と思う飯塚。
「すると神内さんの教えだと…、JKは…?四部ですか?」
「正解っす!飯塚ちゃん、勝ち抜けでセントルイス行き決定です!ほら『きら』でしたよね?」
「では五部も…、『JD』じゃないんですか?『でぃあぼろ』ですよ」
「ブブ―です。おやじの教えはそんなに単純じゃありませんよ。五部は『GD』です!」
確かに…と思う飯塚。『じおじお』だもんなー、思わぬ盲点だ…とも思う飯塚。と、同時に神内さんはやっぱりすごい!と思うと同時に僕は今何を言ってんだ?と思う飯塚。
「それで今日は飯塚ちゃん。なんか一人で『大事』な用事があるって遠出したみたいじゃないですか?どこ行ってたんすか?」
それを聞きますか?と思う飯塚。と、同時に『コミケ』ですー!とは言えない!絶対に言えない!と思う飯塚。
「あ、あれです。あのお…、特別な『機材』はやっぱり通販ではなく実際にこの『目』で見て買いたい派ですので。それを買いにですね…」
嘘は言ってないと自分に言い聞かせる飯塚。
「へえ。飯塚ちゃんも影で努力してるんすよね。自分も負けずに頑張るっす!」
すごく後ろめたい気持ちになる飯塚であった。
「おう。新藤。ご苦労だったな。忍は?」
「ああ。倉庫の奥で『おねんね』だぜ」
「あとの二人は?」
「ああ。二ちゃんもコージもよくやってくれたよ。奥で忍と一緒にいるぜ」
「他のメンバーは?」
「軍紀や他の元メンバー狩りに動いてる。何かあれば俺の携帯に連絡が来るようにしてる」
「わりいな。本来なら俺の仕事なんだろうけど。今日はちっと野暮用でな」
「ああ。おめえの『野暮用』は『大事』なことなんだろ?それはおめえにしか出来ねえことだろう。だったら俺たちは『自分に出来ること』をやったまでだ」
その言葉を聞き、すごーーーく後ろめたい気持ちになる宮部。
「(『大事』な野暮用が『コミケ』で同人誌買い漁って、飯塚さんやたなりん君と兄弟盃まで交わしたなんて…。言えねえ…!絶対に言えねえ…!)」
そう思いながら倉庫の奥へと移動する宮部と新堂。
「お。宮部。任務は成功したぜ」
「宮部よお。とりあえずこいつ起こすぜ」
そう言って二ちゃんがバケツの水を忍の顔面に浴びせる。
「ぷっぷはあ!」
「よお。ぐっもーにん。お目覚めはいかが?」
「み、宮部ぇ!つぅ…!」
「おいおい。おめえは『内臓破裂』してんだろ?運がいいんだかわりいんだか。即死してりゃあよかったのによお。これから『もっと』地獄見るぜ。分かるな」
そう言って軽く忍に触れる程度の蹴りを入れる宮部。
「ぎゃあああああああああああああ!」
「うるせえよ。おめえ。大袈裟なんだよ。『で』。ここからは繰り返しになるが『地獄』だ。おめえは俺に聞かれたことを馬鹿なお喋りのようにペラペラ喋りゃあいいんだよ。いいか。俺に『嘘』は通じねえ。おめえが『嘘』や『虚偽』の言葉を発した時に『こいつ』がおめえのどてっぱらに食い込むと思え」
宮部が履いている靴は『エンジニア』。工事用の先端が硬くなっているものである。『エンジニア』の先端で蹴ると素人でも簡単にコンクリートも粉砕出来る。嫌な汗を大量に書きながら忍が声を出さずに体を動かさないよう、首だけを何度も縦に振る。
「もしもーし。ああ。あいつさらわれたの?あ、そう。やばいね。で?要件は?」
かかってきた電話をすぐにガチャ切りする間宮。そして誰もいない事務所で一人悪魔の笑みを浮かべる。
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