第4話一時間三千円で飲み放題

「お兄さん!お店お探しですか!」


 キャッチの男がタバコを我慢して歩いている住友に声をかける。


「どうですか?一時間三千円で飲み放題ですよ!かわいい女の子もつきますよ!」


(キャッチか。うちのシマで…。どこの店や。最近はこういうのは相手にしてなかったなあ。堅気さんにもしつこくやってるようなら注意せんとなあ。ああ、タバコ吸いたいなあ)


「兄さん。ちょっとしつこいんちゃうか?付きまとっての呼び込みはあかんやろ」


「あれ?ひょっとして『警察』関係の方ですか?」


「いや、そうじゃないけど」


「なあーんだ。ね、ね、三千円ぽっきりですから!いかがですか!オープンしたばかりのお店なんですよー!オープン記念で今だけですから!」


(新店か…。聞いてないなあ。女もつけるって言ってたしなあ。普通の飲み屋じゃないだろう。ちょっと顔出してみるか…)


「兄さん。その店、タバコ吸える?」


「もちろんです!ではご案内しますね!すぐそこですから!」


 『肉球会』若頭の住友がキャッチに連れられて雑居ビルへ歩いていく。

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