第4話 微睡みと生徒会長

結局昼休みは沙羅関連で潰れてしまった。

まぁさっきのは事故であり、沙羅を責めるわけにもいかないだろう。

酷い例えになるが俺が沙羅を助けなければ昼休みは潰れなかっただろう。

助けたのは俺の意思であり、助けたからにはその責任が俺にはある。

よって俺のせいでもあるというわけだ。

責任転嫁するならば沙羅を転ばせた階段にだな。


そして俺は自分の机でゾンビと化していた。

購買は終わっており、俺は昼飯にありつけなかったのだ。

男子高校生にとって昼飯抜きとは地獄に等しい。

少しでもエネルギー消費を抑えるため、俺は動くことを放棄した。

幸運なことに5限は自習である。

俺は食欲を忘れるため眠りについた。


微睡む意識の中、俺は天使と思ってしまうような美しいソプラノの声が耳に響いていた。

まるで耳元で囁かれてるようである。


「基山くん、起きてくださいよ~」


頬をつつかれたり、前髪を撫でられたりする。

それがまた心地よくて起きる意思が消えていく。


「あと5分だけ……」

「もう……。えいっ!」


その声とともに俺は何者かに鼻を摘ままれた。

突然呼吸が出来なくなり、俺はすぐに目を覚ました。


「ぷはっ!ふぅー……ってえっ!榊原さんっ!?」

「はい、正解です。基山くんのクラスメイトの榊原真依ですよ」


榊原真依。

俺の現在のクラスメイトであり、容姿端麗、文武両道、更には生徒会長を務める才女である。

腰辺りまで伸びた黒髪が特徴の清楚系美少女ある。

所作は美しく、うちの高校の『将来嫁にしたいランキング』で二位とは圧倒的な差で第一位に君臨している。

ちなみにランキングは他にも『付き合いたい女子ランキング』や『罵って踏んでもらいたい女子ランキング』、など定番なやつからコアなやつまであるらしい。

俺は定番辺りしか知らないが……。


まぁそんな美少女である榊原さんなのだが何故か俺に構ってくるのだ。

俺は実は勉強が大の苦手であり、クラス最下位を争うレベルである。

完璧生徒会長な彼女はダメダメな俺を放ってはおけないのだろう。

決して俺に好意があるわけではないだろう。

そう思うのはさすがに自意識過剰だ。

俺は童貞だが自分に向けられた善意を好意と勘違いする糞雑魚童貞ではないのだ!

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