掃除ロボット宗次くん

「掃除がめんどくさい」


A氏は悩んでいた。いかんせん日々の事柄において掃除程非生産的な行為は無い。


自分が散らかした物を自分で片づけるという行動を繰り返していると自分があたかも賽の河原の住人になったかのように感じ気がめいる。


という旨の話を科学者のB氏に相談したところある機械を紹介してくれた。それが「掃除ロボット宗次くん」である。


宗次くんは物と片付けたい場所をインプットするとその日の夜12時に自動で物をその場所に移動してくれるという。


これがあればもう掃除する必要はない。A氏はB氏の言い値で宗次くんを買った。


説明書を見る。どうやら物と場所のインプットは手作業らしい。方法を見るが全く理解出来ないし時間もかかりそうだ。


結局B氏にまた金を払い宗次くんの設定諸々を何とか完成させた。服やら皿やらとにかく家の全ての物をインプットしたのでゆうに丸3日はかかった。


だがこれでやっと楽が出来る。明日からのバラ色の生活を夢想しながらA氏は床に着いた。


夜12時。物音で目が覚める。すると宗次くんが急に私を持ち上げた。何をすると叫んでもどこ吹く風。そしてタンスの前に移動した。


すると宗次くんはタンスを開けその中に私を押し込み始めた。そういえばパジャマもタンスの中に片付ける事にしていたか。


そんな事を考えたのも束の間。宗次くんはパジャマを私ごと強引にタンスに入れようとする。体が悲鳴を上げる。だんだん意識が遠のく…。


「昨夜未明、A氏がタンスの中で死亡しているのが発見されました。A氏が使用していた掃除ロボットが原因であるとみられ…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る