「いやー、やっぱ市場はいいねえー。いくらちゃん」

「はーい。早起きは苦手ですがそれだけの価値はあると思います。ばーぶー」

「お、貝もいっぱいあるよー。へー、殻付き牡蠣が百円だよ！いくらちゃん」

「はーい。あ、でも『加熱用』って書いてありますね。殻付きはやっぱり生食用がいいと思います。ばーぶー」

「へー。あ、つぶ貝も安いねえー。ハマグリも大きいねえ―。アワビが一個百五十円だよ！安いねえ！いくらちゃん」

「小さいですけど安いです。その横の大きいのでも四百円です。安いですね。ばーぶー」

「ほら！見て見て！アワビが吸い付いてるよ！！『きゅっ！』って！ひだひだが動いてるよ！ほらほら！くっきりだよお！」

「そうですねえ。ばーぶー」

「となりのあさりもすごいね！あ！潮が！潮吹いてるよ！」

「はーい。かかっちゃいました。ばーぶー」

「あらー。潮吹きすぎてびちょびちょだよー、いくらちゃん」

「・・・、あ、大丈夫です。よくあることですので。ばーぶー」

何故、こんなに差が開いてしまったのか理由が分からないけど、まあいいかと思ったいくらちゃんであった。

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