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「はじめまして。ねえちゃんの弟です。いつもねえちゃんがお世話になってます」


「どうも。あの兄貴の妹です。埋茄とは仲良くさせてもらっています、はい」


「あれ、どうしましょう」


「まあ、もうなんか、二人きりの世界入っちゃってるんで、放っておきましょう」


「ねえちゃん。遂に結婚のときが」


「はやいはやい。まだ付き合ってないから二人とも」


「ねえちゃん、女子高生だけど二十才なんです」


「知ってます」


「結婚、できるんですよ。まあお相手が班長ならいいんすけど」


「あ、うちの兄貴?」


「はい。凄い人ですよ、あなたのおにいさん」


「んなあほな」


「あ、そっか。班長言ってたな、普通の兄のふりしてるって」


「え」


「ごめんなさい。いまのなしで」


「兄貴。凄い人なの?」


「凄い人ですよ。何度も街の危機を救ってますし、今回も国の抱えた問題案件をひとりで独自に処理しようとしてます」


「まじか。全然知らんかった」


「僕なんか、ねえちゃんの足許にも及ばなくて」


「うそつけ。埋茄の治療費払ったんでしょあなた」


「いや、まあ、それはそうなんすけど。ねえちゃんが僕に教えてくれた技術で稼いでるんで。実質ねえちゃんのおかねなんですよ」


「ねえちゃん離れ、したら?」


「そうっすよねえ。この年でねえちゃんねえちゃん言ってんのもそろそろきつくなってきたし」


「でも人のこと言えんのよねわたしも。兄貴が、まさか、ダメ兄貴じゃなかったなんて。知らんかったし」


「おたがいさまですね」


「ほんとですね」


「夕焼け。きれい、ですね?」


「え、あ。はい。まあ。パスタ食べます?」


「いただきます」


「おいしいでしょ?」


「おいしいです」


「ジュースくださいっ」


「あっ」

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街の景色、とろける夕暮れ 春嵐 @aiot3110

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