第2話 いない日。

少し急な坂を登り切って、岳は珊里瑚高校の門をくぐった。教室に到着してもテンションが全く上がらなかった。直樹はずっとニヤニヤと笑っている。

「チャイム鳴ってるぞ!席に着け!」

隣から視線を感じた。高杉美晴が岳の顔を睨んでいた。

「何?」

「何でもない」

そう言って、黒板の前に立つ教師の方に顔を向けた。女はよくわからない。言いたいことがあるならお願いだから、言ってくれ。

 教室の窓から海を見たいが、岳が座ってる席は教室の中央にあるため、外を眺めることができなかった。それに、授業に全く集中できず、イライラしてきた。


 学校の途中にあるカフェ『憩いの間」には、学校に通い始めて、何回か行ったことがあった。高校生が好きそうなメニューも豊富で、パンケーキなど、女子が好みそうなものもあった。そこで勉強しいる人達もいる。

 今年の4月くらいから、学校に通う坂を登るたびに、カフェの中からあの笑顔が見ることが出来ると、一日が幸せな気がしていた。常に、笑顔を絶やさない感じがして、元気を貰うことがでいた。

 いつも朝しか働いていないのか、学校終わりに寄ることもあったが、姿がないことが多かった。たまに寄ると、働いている姿があるので、その時はラッキーだと思っていた。


お昼休みの食堂で、まだ直樹は茶化してくる。

「明日は、お店にお姉さんがいてくれたらいいね。」

「そうだな。」

「カフェのお姉さん綺麗だもんな」

「ああ」

適当に返答することにして、今日の日替わり定食を食べ進めることにした。

「じゃあ、明日は学校が終わったら、あの店に行かないか?」

まだ、その話をしたいのか。呆れてくる。

「別にいいけど」

行きたくないわけじゃないし、本当は明日、学校の帰りに寄るつもりだった。1人でいく、直樹が一緒だったほうが居てくれたほうが助かることもある。

「じゃあ、決まり」

それだけ言って、直樹は食べ終わった皿を乗せたお盆を持って下げて、そのまま食堂から出て行ってしまった。

ただ、明日、店で働てるという確証はなかった。

 



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