3-10

 霞がコンビニに行くと、ドアの前で子どもが二人遊んでいた。

「おはよう」霞は子どもたちに声をかけた。

「おはよう」と子どもたちの大きな声が返ってくる。

 男の子のほうがお兄ちゃんのようだった。

「ねえ、ぼく。おかあさんいるかな」

 霞は男の子にきいた。

「いるよ」

 男の子はそう言ってレジのほうを指さした。

「おねえさん、ママの友だち」

「そうよ。ありがとう」

 霞は男の子にお礼を言って店の中に入っていく。

「映美ねえさん、久しぶり」

「カスミ」映美は少し驚いたように声をあげた後、笑顔で霞を見ている。

「久しぶりじゃない。おじいちゃんのところに来たの」

「そう。おねえちゃんと」

「えーと、千草さんだっけ」

 映美は千草の名前がすぐに出てこなかったようだった。

 無理もない。映美は千草に会ったことはないのだから。

「かわいい子だね、二人とも」

「あの子たちのおかげで何とかやってる」

 そう言って映美が笑う。

「これサブおじさんから」

 霞はそう言ってトウモロコシの入ったビニール袋を渡した。

「ありがとう。三郎さんにはお世話になりっぱなし」

 霞はスナック菓子とお茶のペットボトルを買った。

「ねえ、まだこっちにいるんでしょう。午後には手が空くから、そのころまた来て」

 レジを打ちながら映美が霞に言った。

「話したいこといっぱいあるし」

「あたしも」

「若い人が手伝ってくれてるんでしょ。サブおじさんに聞いた」

「若いっていってもあたしと同じぐらいかな。去年の冬ここに来た人。三郎さんが紹介してくれて手伝ってもらってる」

「冬からずっと」

「一度前にいたところに戻ったみたいだけどね」

「そうなんだ」霞はほんの少し体が熱くなるのを感じた。

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