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 店の前の道路が海水浴場への抜け道になっているせいか、夏の時期はこのコンビニも忙しいようだ。夜になっても、お客さんがポツリポツリと入ってくる。最初は夕方からの約束だったけれど、結局寛太郎は午後から翌朝までコンビニにいることになってしまっていた。余計なことを考えている余裕もなく時間が過ぎていく。

 寛太郎は日が傾いて日陰になった岩場に腰をおろして、しばしの休憩を楽しんでいた。ケンタとサキが近くの岩場で遊んでいた。穏やかな海が夕日を受けてキラキラ輝いている。

「ヒロ兄ちゃんカニ見つけた」

 サキがそう言って寛太郎に近づいてくる。

「そうかすごいな」

 自慢気な顔をしたサキが、カニを持った手を寛太郎のほうに突き出した。

「オレだって見つけた。こっちの方が大きいよ」

 そう言って妹を押しのけるように、ケンタもカニを持った手を突き出す。

「本当だ、大きいな」

「そろそろ帰らないと、ママに叱られるぞ。カニは海に返してあげよう」

 ケンタとサキはうなずいて、カニを海のほうに放り投げた。

 寛太郎は砂浜に降りると、二人の手をつないでゆっくりと歩いていく。

「明日晴れるかな」

 ケンタがそう言うと、サキも同じように「明日晴れるかな」と言う。

「晴れるさきっと」

「晴れるといいなあ」

「晴れるといいなあ」

 寛太郎は二人の手を軽く握りしめた。

 店の裏にある井戸で手と足を洗って、体についた砂を払った。

「ヒロ君ありがとう」映美が店の裏口から顔を出した。

「事務室にスイカあるから食べてね」

「あなたたちの分はお家に持って行ってあるから」

 映美がそう言うと子どもたちは店の奥にある家のほうに走って行く。

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