第7話

すると拓人くんはニコッと笑って

「気にしなくて良いよ。来てくれてありがとう」

そう言われて遂に私は泣き出してしまう。

「ちょっと(笑)泣かないでよ~、こっち来て?」

促されるように病室の入り口から、拓人くんの隣まで足を進める。

「この前さ、新月を一緒に見るって約束してたじゃん」

「うん」

「行けなかった理由を話すとね....少し前よりも体が悪くなっちゃって...だから...凄く行きたかったんだけど看護師さんにそのことが見つかって行けなかったんだ。本当にごめん」

「ううん、謝らなくて良いよ。しょうがないじゃん。あの日の新月凄く綺麗だったよ。拓人くんの分まで沢山見ておいたから!」

「あはは、ありがとう」

拓人くんの笑顔はとても素敵だ。



病室を出る前に「また来るね。」

私がそう言うと拓人くんは笑って、「待ってる」そう言ってくれた。

とても嬉しくて帰路についてるとき、ついスキップしそうになるくらい。

こんなに嬉しい気持ちは久しぶりだ。空を見上げるとちょうど月は半月になっていた。あと少ししたら満月が見れる...。また、見れると良いな。2人で。


それからはほぼ毎日、拓人くんの所に行くようになった。

他愛のない話をしたり時々、裕太くんが来て一緒に遊んだり...

私としては放課後の楽しみになりつつあった。


「そう言えば、明日って満月だよね」

「よく知ってるね」

「まぁね」

拓人くんの影響で月について色々調べたとか少し恥ずかしくて言えない(笑)「ね、一緒に見ようよ!」

「嬉しい。また一緒に見れるなんて。」

言ったあとの拓人くんの表情は少し悲しげだった。

「私も嬉しいよ。」

「.......もしかしたら、これが最後かもしれないから...」

ふと溢したその言葉に私の胸はギュッと押さえつけられるような感覚。

「...そんなこと、言わないで。拓人くんはこれからも私と一緒に月を見るの。」「うん。そうだね。夏菜子ちゃんとならこの先もずっと見れる気がする」

その言葉は素直に嬉しくて照れくさかった。拓人くんも少し頬が赤くなってる気がした。

「楽しみだな」

拓人くんはそう言い、優しく微笑んだ。

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