第4話

約束の日。空を見上げると綺麗な満月が見える。

学校へ行くのも怖くない。きっとこれはまた拓人くんに会えるからだろうか。

教室に入るとまだ拓人くんはいない、まだ来てないのかな。

この前拓人くんが座っていた席の隣の席に腰掛け、頬杖をついて満月を見上げる。

___『あ、いた』


この声は。


振り向くとそこには拓人くんの姿があった。

「先に見てたよ」

「先越されちゃったか~」

笑いながら頭を掻く仕草。

「てか、この前なんで急にいなくなったの?あんな置き手紙までしてさ」

「ごめん。急用が出来て...置き手紙のことは何も聞かないで」

「え?何それ(笑)まぁ良いけど。早くこっちに来て一緒に見ようよ。満月」

「うん」本当は根掘り葉掘り聞きたいところだけど、辞めておく。拓人くんにも事情はあるだろうし。

「月っていいよね。」

「綺麗だから?」

「それもあるけど、月って欠けてもまた元に戻るじゃん。その繰り返し。......なんか、羨ましいなって」

「そうかな?人間で言ったら...「不死身とか?」

私の言葉を遮り笑いながら言った。

「ああ(笑)そうだね」

「......でも人間はいつかは終わりが来る。でもそのときも月は欠けたり元に戻ったりしてるんだよね」

彼の顔はとても切なげだ。どうしてだろう。

「いつか来るといいね。人間も月みたいになるときが来ればさ」

「それはそれで怖いよ」

「そっか」

お互いそう言い2人で笑い合う。このときを私は一生忘れたくない。


あの後、拓人くんが

___「...じゃあ次は、新月のときに」

そう言い残しその場を去った。半月、満月と来て、新月。何か意味があるのだろうか。そもそもどうして私を誘うんだろう。ただ単に、あのときたまたま出会ったから?月を一緒に見る相手が欲しかったとか。私と出会うまで独りだっただろうし。でも私自身、拓人くんと出会ってから月をよく眺めることがこんなにいいことだとは思わなかったし拓人くんと出会ってよかった思う。

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