第3話
まさか、、、いや足はある。ちゃんと生きてる。ってなに考えてるんだろう。「あの!」話しかけてみる。すると彼は此方を向き、キョトンとした表情。
「貴方ここで何してるの?私は忘れ物とりに来たんだけど、君もそうなの?」「....違うよ」
柔らかいという表現が合ってるような声で言った。
「じゃあ何?こんな所で怖くない?」
「怖くない。ほら、見て」
ニコッと笑い彼は夜空を指差す。
そこには綺麗な月が雲から顔を出していた。
「綺麗」
「でしょ。僕、これが見たくて、此処に来てるんだ」
「君は此処の生徒じゃないの?」
「実は違う。内緒にしといてくれる?」
人差し指を口に当て、シーのポーズをする。
「分かった。名前は?私は夏菜子」
「ありがとう。僕は拓人って言います」
「拓人くんね。あ、私忘れ物取りにきたんだった。ちょっと取ってくるね」
足早に自分のクラスへ行く。引き出しの中にスマホはあり、安堵する。
「拓人くんお待たせ!っていない...」
さっきまで此処にいた彼は既にいなかった。
でも何かメモ紙のようなものが彼が座っていた席に置いてあった。
____『次は満月の夜に』
それだけ書き残してある。
「満月の夜っていつだろ?」
月を見上げれば今日は半月っぽい。
だとしたらあと数日後ってことよね。
いつの間にか怖さもなくなり、また満月の夜、此処に来ようと決めた。
でも何だろ。不思議な人だなー。
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