その九
暖簾を潜ると、先ず目に入ったのはレトロなコインロッカーでした。ここに靴を仕舞えという訳です。
僕はお気に入りの『トロピカル柄があしらわれた黒いマリンシューズ』をロッカーに放り込み、ついでに貴重品も入れておきました。
友人は薄汚れたビーチサンダルと財布を仕舞い込み、用心深い僕がセキュリティのチェックを行なっている隙に、脱衣所の方へ向かいました。ですが、直ぐに戻って来て、何やら白いコンビニ袋に入ったモノを大事そうに仕舞っていたと記憶しております。
脱衣所は特に説明することも無いほど「いつも通り」でした。少しだけこじんまりしている風ではあります。こじんまりしたスペースに裸の男達が何人か居た筈ですが、僕はそういったものに普段からあまり興味が無いのでよく覚えていません。僕はあの空間では基本的に『トルコ風呂』を思い浮かべています。
そういえば、友人がコインロッカーに一度戻って来た理由ですが、この脱衣所は籠に衣服を入れておくだけのシンプルなタイプだったので『替えのパンツ』を盗まれてはいけないと考えたのでしょう。『大事なパンツ』を小汚いビーチサンダルと一緒に仕舞う羽目になってしまったのですが、もし男湯の脱衣籠にあの様なモノが剥き出しで入っていたとしたらパニックになるので、友人の判断は正しかったと言えます。
さて、皆さんお待ちかね。遂に脱ぎます。僕達はおもむろに服を脱ぎ捨て、いよいよ本陣『大浴場』へと向かいます。もう、この時点でお気付きの読者さんもいらっしゃると思いますが、僕達は既にここが洞窟内である事を忘れています。なんなら、ちょっとした銭湯にでも立ち寄っている気分でした。
いよいよ本丸『大浴場』ですが、その前に浴場と脱衣所の間にあるスペースですね。すいません忘れるところでした。ここも特筆する点はありません。強いて言えばこじんまりです。このスペースを何と呼ぶのか分からないのですが、例えばスーパー銭湯であれば『垢擦り屋さん』や『マッサージ屋さん』が収まっているスペースです。『洞窟風呂』には特に『そういうお店』はありませんでした。
因みに、僕はスーパー銭湯の『そういうお店』を利用した事が無いので、中では一体何が行われているのか非常に気になっています。
料金設定を見ると『スペシャルコース8000円』なんてのもあって非常に気になっています(僕の地元のスーパー銭湯には本当にあります。例のスペースにマッサージ屋さんが収まっていて、実際に料金表が貼ってあります。もちろん、あのスペースで服を着いるお客さんなんていません。流石に地元のスーパー銭湯では躊躇してしまい利用したことは無いです)
たまに浴場内に薄着のお姉さんが顔を出して、順番待ちのお客さんに「次の方どうぞ〜」なんて、声を掛けている姿を見かけるのですが(夜の街の話ではありません。男湯の内部での話です。当然、我々は丸出しです)中では一体何が行われているのでしょうか? 何故あのお姉さん達はあんなに薄着なのでしょうか? ご存知の方は是非コメント下さい。あと、自前の眼鏡は持ち込み可能でしょうか? 重ねてご教授頂けると大変助かります。
あ、もしかすると女湯には無いシステムかもしれないので、女性読者さんには伝わりにくい話かもしれませんね。もし気になるようでしたら、旦那さんか、彼氏か、お父さんにでも聞いてみて下さい。口籠るようでしたら間違いないです。常連さんの可能性があります。一緒に銭湯に行かれる際には、十分ご注意下さい。
また軸がズレそうなので話を元に戻してもいいでしょうか?
(続く)
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