Chapter7-ASTRAL GEAR FIELD/星の舞台
「この病院から一番近いギアフィールドはどこ?」
「いや、わざわざ移動する必要はない。ソルジャーゲームはここで行う」
「ここって……まさか病室でやるの?」
「ちょっと! いくらなんでも非常識なんじゃないの! ソルジャーゲームをやるならちゃんとギアフィールドでやんなさいよ!」
「アカメ、アストラルギアの準備を」
メイド服を着た白い髪の少女はアカメと言うらしい。
「それって……ソウルギア?」
「ただのソウルギアじゃないわ。中に大量の
チョコがギアシューターで
ガチャン。
『
「未知の次元へ君達を招待しよう、アストラルギアフィールド展開!」
アカメさんのギアシューターから射出されたソウルギアは回転し始め光を放った。
ソウルギアが回転すればするほど光は病室一体に充満し、周囲にある物が
「周りのものがギアフィールドに作り変わっていくわ……ッ!」
「プラネタリウムを知っているかな? 映写機によって星の動きを投影する
もはや病室の原型は無くなり病室だった場所には息を呑むほど綺麗で幻想的な空間が広がっていた。
やや薄暗い天井に散りばめられた光の粒が、スポットライトのようにギアフィールドを照らしている。
自然と感情が溢れて魂が震え喜ぶような星の舞台だった。
「周りにある物質を
「
「当たり前よ! ギアボーグとかいう機械人間の話といい、オーバテクノロジーが過ぎるわ! 私が今まで研究してきたものを鼻で笑われた気分よ!」
「それがまぁ普通の反応だろう。それに引き換え君はあまり驚いていないようだな。もしや経験済みだったかな?」
「……」
「まぁ答えたくないならいい」
ガチャン。
『
「
『
「あぁ……相手にとって不足はない! 最初から全力でいくぞ!」
『おう!』
フェニックスギアがニヤリと笑ったような気がした。
自分よりも格上かもしれない相手を前に、フェニックスギアは戦いを楽しむつもりでいるらしい。
俺は不思議とその姿にいなくなってしまった兄さんの姿を重ねていた。
ガチャン。
『
「レディーー! ファイト!」
両者ともギアシューターからリリースされた。
そして直後俺は固有ユニットを開放する。
「固有ユニット開放!
「えぇッ!? いきなり開放するのォ!?」
「小細工も様子見もしない! 最初から無敵
『チェーーリィーーッシュ!』
フェニックスギアが真紅の
太陽の力を宿した不死鳥の戦士フェニックスギアの本領発揮である。
「これが
『感傷に浸ってる場合か、来るぞ』
「そうだな、私は自らの役割に徹することにしよう」
「接近戦で勝負だ! そのまま突っ込め!」
『ハァァァァァァァ!』
ジェット機のような音と共にフェニックスギアは勢い良く飛び出した。眼前のドラゴナイトブレイヴはまだ何のアクションも起こさず、こちらの様子を伺っていた。
そして
「……」
「なっ!? 両眼を……閉じた!?」
「それに指示を出す素振りも見せないなんて! 舐められたものね! やっちゃいなさい
「いつでも来い」
あの余裕たっぷりな表情はなんだ。
何かを狙っているのか?
分からない……分からないがとにかく進むしかない!
『チェストォォォォ!』
近づくにつれて更に速度を増すフェニックスギアがとうとうドラゴナイトブレイヴの目の前まで辿り着き、その超速を乗せた拳を突き出した。
拳の先には空気の感触だけがあった。
フェニックスギアを上回るフットワークにより攻撃は完璧に躱される。
「フェニックスギアの攻撃が避けられた!?
フェニックスギアの攻撃に隙など無かった。
特に何かが不調ということも無い。
むしろ周りが
「きっと動きが直線的過ぎたんだ……逃がすな! もう一度だ!」
《くっ! チェストォォォォ!》
何度も攻撃を仕掛けてもドラゴナイトブレイヴはまるでこちらの動きを先読みしたかのような身のこなしで何度も何度も攻撃を躱している。
「何故だ! 攻撃が全然当たらない!?」
『覇ッ!』
『な、なんだ!? グォォォッ!?』
フェニックスギアの攻撃を華麗に躱しきった後でドラゴナイトブレイヴのカウンター後ろ回し蹴りがフェニックスギアを直撃し、大きく飛ばされた。
「フェニックスギアの超スピードに完全に対応できているばかりが、攻撃に合わせてカウンター攻撃を繰り出すなんて……」
「フェニックスギア!」
「君に改めて問おう、ソルジャーゲームにおけるコマンダーの役割とは何かを」
目を閉じたままの
「コマンダーの……役割?」
「フェニックスギアは潜在的に高い力を秘めている。パワーもスピードも申し分ない。だが君はコマンダーとして100%その力を引き出せていると言えるかな?」
「ギアソルジャーの後ろで指示を出すだけの存在をコマンダーとは呼ばない。正確で迅速な指示を出すだけならコンピューターにだって出来る。むしろ人間よりよっぽど専門家だ、そうだろ?」
『覇ァァァァァァァ!』
『グッッ!』
ドラゴナイトブレイヴは体勢を立て直したフェニックスギアへ近づき、飛び蹴りをくらわせた。
飛び蹴りを受けた胸部の装甲は痛々しく抉れていた。
ダメージは深刻だった。
衝撃はソウルギアまで達していたようで、
『どうした! その程度か!? 覇ァァァァ!』
『オレがパワーでもスピードでも押されている!? グッッッ!』
フェニックスギアの攻撃は最小限に抑えられ、ドラゴナイトブレイヴの攻撃は最大限に発揮される。
まだ固有ユニットを解放していないし上に、
実力の差は明らかであった。
これが世界レベルのコマンダーの実力なのか。
「心の通わぬ力では何も成し遂げることは出来ない。故にコマンダーは自らがギアソルジャーの心になることで真の力を発揮する。見せてやろう、これが君の目指す世界という次元だ!」
「なっ!?」
『
「この次元に踏み込んでみろ、魂と魂が共鳴する高次元……ソウルリンクへ」
直後ギアシューターに埋められたソウルギアの上に青く輝く左手を乗せた。
ギアシューターが青色のオーラで包まれ、それに呼応するようにドラゴナイトブレイヴにも青色のオーラが現れた。
二つのオーラは混じり合い、決壊したダムのように爆発的な
『正気か
「構わん。ギアボーグが表立って活動を始めた以上、ギアデウスの完全復活まで余り時間はないということは明白。それまでに
『出会ったばかりの少年に随分肩入れするな、いつもの気まぐれか?』
「この次元の未来のためだ」
『まったく……どうなっても知らんぞ!』
『
「ソウル……リンク?」
龍舞さんのギアシューターは更に
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