第4話

 「やあ、ひさしぶりだね。僕のことを思い出してくれたのかい。」

馬は僕にむかってそう言いました。僕は、最初はあっけにとられてみていましたが、そのうちに、なにかとてもなつかしくて、とてもあったかい気持がしてきたのです。なんだか、遠い昔に、この馬に会ったことがあるような、そんな気がしてきました。

 もうその時は、馬がしゃべっているなんてことは、別にふしぎでもなんでもないような気がしていました。

「ごめんね、まだよく思いだせないんだ。ねえ、ちょっと君にさわってもいいかい。」

と、僕が言いました。すると馬君は、

「ああ、いいとも。それより、よかったら僕の背中に乗ってみないかい。」

と言ってくれました。でも馬君はとっても背が高くて、僕には背がとどきません。それでためらっていると、馬君は僕のそばに来て、そっとかがんでくれたのです。

 僕は馬君の背中にさわってみました。それから、そっとその背中にまたがりました。僕は目をつむって馬君の首をなでながら、そのあたたかい、なつかしい感じを

あじわっていました。なんだかとてもやるせなくなって、なみだがでてきそうになりました。そして、ふいに思いだしたのです。

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