第3話
僕は
「こいつはおもしろい。ちょっと中へはいってやろう。」
そう思って、すすきの中へと分け入っていきました。すすきはだいぶ茂っていて、なかなかむこうがわへ出られません。そのうち、なんだかおかしな気持ちがしてきました。どうも、1歩進むたびに、だんだんすすきが大きくなっていくような気がするんです。はじめのうちは、頭よりちょっと上ぐらいだったのが、今では見上げるようです。でも、なぜだかそんなことは、たいして気にはなりませんでした。
どのくらい行ったでしょうか。急に目の前がひらけました。そこには緑の野原が、夕日をあびてひろがっていました。そして、あの馬が静かに立っていたのです。
最初、馬はじっと目をつぶっていたので、ひょっとしたら死んでいるんじゃないのかなと、心配になりました。でもしばらくみていると、馬は静かに目をあけました。そして僕をみると、そっとほほえんだのです。
みなさんは、僕がうそをついていると思っているんでしょう。でも、馬だってちゃんと笑うんですよ。もっともこんなふうにほほえむことができるとは、僕も思っていませんでしたけれど。ところがそればかりじゃありません。もっと信じられないことがおこりました。馬が口をきいたんです。
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